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憲法改正の国民投票をAIによる「ハック」から守れ

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5月28日、憲法審査会が開催され、憲法改正の手続きを定めた国民投票法について議論が行われました。私は、国民民主党の改正案の審議を求めました。

【国民投票法はメディアの激変に対応できていない】

国民民主党は、昨年5月に国民投票法の改正案を提出しています。(具体的な改正案を出している唯一の政党です。)

私たちは法改正自体には賛成です。ただ、与党が考えている7項目の改正案だけでは不十分です。国民民主党案を与党案と並行して審議することを求めています。

なぜなら、国民投票法の成立当時(2007年)には想定していなかった新しい大変化に、早急に対応しなければならないと考えているからです。

その変化とは「メディアの激変」です。

インターネット、SNSの発展とともに、ネット広告が極めて有力な宣伝手段になり、広告費もネットがテレビを上回ったとの統計もあります。

とりわけ、SNSが選挙や国民投票に与える影響は年々大きくなってきています。しかも、ビッグデータ分析を駆使し、有権者の行動変容を目的とした広告が拡大しています。

具体的には、2016年の米国大統領選挙「プロジェクト・アラモ」やEU離脱「リーブEU」に関与し、結果にも大きな影響を与えたと言われる政治コンサルティング会社「ケンブリッジ・アナリティカ」の活動です。

【ケンブリッジ・アナリティカ事件】

ケンブリッジ・アナリティカは、Facebookから収集した8700万人のビッグデータを活用して政治広告を行ったとされています。

プロフィールから「いいね!」した情報など個人データを収集し、「ファイブ・ファクター・モデル」と呼ばれる人格分類モデルによって、性格など5000もの属性に基づいて類型化。その中からまだ意思の固まっていない「意見を変えられそうな人(persuadable)」を抽出し、その有権者の感情につけ込む「おすすめ記事」を効果的に打ち込んだとされています。

例えば、精神的に不安定な有権者には恐怖を煽る動画を見せるなど、単に「広告を出す」という行為だけでなく、ビッグデータを駆使した内心の操作が行われているのです。

民主主義は、有権者が「表現の自由」によって発信された情報を的確に分析し、合理的に判断できるとの前提に立っています。

しかし、データ社会の高度な進展、とりわけAI(人工知能)の発達は、こうした民主主義の前提そのものを変質させつつあるとも言えます。

【民主主義が「ハック」される】

いわば、「民意」や「民主主義」そのものが、ビッグデータやAIによって「ハック」される可能性が出てきているのです。

2013年に行われたトリニダード・トバゴ共和国の選挙にもケンブリッジ・アナリティカの前身であるSCLが関与したとされています。

同国ではインド系とアフリカ系の政治的対立があり、同社はインド系を勝たせるために、アフリカ系の「無関心」を高める(increase apathy)広報を行い、アフリカ系の若者の大量棄権を実現したとされています。

その結果、18歳~35歳の年齢層で投票率に40%もの差が出て、それが6%差でのインド系の勝利をもたらしたとも言われています。

✳︎こうした実態は、ドキュメンタリー映画「The Great Hack」(2019/米国/119分)に描かれています。

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