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「最低限の安心がほしかった」、不登校の私が高認受験した理由

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 文科省が年2回実施している「高等学校卒業程度認定試験」(以下、高認)。合格すると、高校卒業と同程度の学力があると認められる。高認経験者に当時のようすやその後について、大崎梨加さん (仮名・27歳)にお話をうかがった。

――現在のご職業からお聞かせください。

 保育士として勤務しています。現在はコロナウイルスの影響もあって、在宅勤務もこなしつつという毎日です。

――不登校のいきさつは?

 私が学校へ行かなくなったのは中学1年生の4月なので、中学は2週間くらいしか通っていません。

 生徒の数が急に増えたとか、自分の名前をからかわれたとか、勉強が難しいとか、今になってみれば理由はいろいろ思いつきますが、当時は「とにかく行きたくない」という気持ちでいっぱいでした。

――高認を取ろうと思ったきっかけは?

 高認を受験したのは19歳のとき、一番の理由は母からのプレッシャーですね。

 不登校になったあとは3年くらい家でひきこもっていたんですけど、それを心配した母親がフリースクールを見つけてきてくれて。

 そこですごした時間は楽しかったんですけど、母からは「せめて高校は出てほしい。それが無理なら高認を取ってほしい」とよく言われていて。

 当時は、大学へ行きたいとかこの仕事に就きたいとか考えたことはなかったんですけど、「いつまでもここに居るわけにはいかない」と思っていたし、何より中卒のままでいることが怖かったんです。

 もちろん、高認に受かっただけでは最終学歴は中卒のままということは知っていましたが、最低限の安心がほしかったんです。

 なので、フリースクールは高校を卒業する18歳で辞めると決めてから高認の勉強を始めて、2年かけて合格することができました。

――高認の勉強を始めるうえで不安は?

 いろいろありましたけど、まずは勉強そのものですね。フリースクールでも勉強らしい勉強なんてほとんどしてこなかったし、なかでも数学は大の苦手でした(笑)。

 それに「高認はそんなに難しくないよ」という周囲の声もプレッシャーになりましたね。

 励ましのアドバイスということはわかるんだけど、かんたんと言われれば言われるほど「そんな試験に落ちてしまったらどうしよう」って不安になるんです。

 勉強への苦手意識があったぶん「やると決めたからには100点を取らなきゃ」っていう強迫観念みたいなものもなかなかぬぐえませんでした。

――そうしたなか、どうやって高認の勉強を始めたのでしょうか?

 母が買ってきてくれた参考書をとにかく読みこむことにしました。高認の試験は年に2回あるんですけど、まずは国語と現代社会だけ受験しようと決めました。

 なんでこの2科目に絞ったのかというと、参考書を読んで「これならいけそうだ」と思ったからです(笑)。

 最初の受験で2科目に絞り、それに合格した後はフリースクールのスタッフに教えてもらったり、進学校に通っている妹に教えてもらったりしながら勉強を続けました。

 あくまで私の場合ですけど、「1回の受験で全科目に合格しよう」という目標を立てなかったことがよかったんだと思います。

 2科目に絞ったことで勉強の範囲も狭まりますし、集中力も持続します。何より「2科目に合格した」という事実が自信につながりました。

 もし、最初から全教科に合格するというモチベーションで始め、それで何科目か不合格になってしまったとしたら、ますます自信をなくしていたかもしれませんし、高認も途中であきらめてしまったかもしれません。

 ただ、母としては、全教科を受けてササっと合格してほしかったみたいなんですけど。

――お母さまの影響は大きかったんですね。

 そうですね。「中卒のままだと怖い」というのも、私がそう思っているというより、家庭内での視線を気にしてそう感じていたというほうが正しいかなって。

 母も妹も学歴にこだわるタイプだったので、世間からどう思われるかということより、中卒のままで家族にどう思われるかということのほうが私にとって重要だったんです。

 高校へ行こうと思って学校見学にも何度か行きましたが、ここに3年間通うというイメージがどうしても持てなくてあきらめました。

 母からの期待、家での肩身の狭さ、そういう状況を少しでも変えられるかなっていう思いもあり、高認を受けることにしたんです。

 母はいつも「不登校したことをリカバリーしてほしい」と願っていました。でも、私は自分の過去をそんなふうに考えたことはありません。

 その点で母とはいまだに折り合いがつかない部分もありますが、結果的には高認を取ることでできることも増えましたから、高認をすすめてくれた母には感謝しています。

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