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時は来ている。

先日の財務金融委員会でのこと。ドイツでは、中小企業等への給付金が極めてスピーディに支払われたことを表(下表)を作って示しながら、麻生大臣に

「副総理でもあるからお聞きするが、日本も折角良い経済対策(持続化給付金)を作ったのだからもっとスピーディにやれば良かったのに、この辺り改善したら国民にも喜ばれるし、政府にもプラスになるのでは」

と質問した。

 そうしたところ、普段は質問に割と正面から自分の言葉で答えられる麻生大臣が完全に質問をはぐらかし、「日本の死者数が少ないのが不思議だ、万全の準備をしたドイツよりも、CDCがあるアメリカよりも全然少ないのだから」と不思議な答弁をされた。

 何なのだろう?と思っていた。

そしてその日の質疑ではもう一つ不思議なことがあった。持続化給付金の準備について経産省に質問したところ、「給付金支援のためのシステム作りは入札で行なったが、落札者が正式契約前から準備をしてくれたので、補正予算が成立した翌日である5月1日にはスタートできた」との政府答弁があったのだ。

その時には、日本の政府も企業もやるときはやるな、正式契約前・予算成立前に動くなんて、と善意で解釈していた。


 ところが、だんだんこの話が「いい話」どころか「怪しい話」になってきた。

 立憲民主党の川内議員が、5月22日の衆議院決算行政監視委員会で幾つかの事実を独自調査で明らかにされた。

持続化給付金の事務を委託されたのは平成28年に出来たばかりの「サービスデザイン推進協議会」という会社。これは電通、パソナ、トランスコスモス(アウトソーシングの会社らしい)の三社が作ったものだという。

この「協議会」という変わったネーミングの会社は平成28年に設立されるとすぐに経産省から事務委託を受け始めるが、その請負業務をほとんど全てを再委託する単なるトンネル会社(川内議員が住所地を訪ねたところ小さなビルの2階で誰もおらず、「リモートワーク」の貼り紙がなされているだけで無人だったという。まるでサスペンス映画だ)。

今回も、電通に再委託し、電通が「コールセンターや申請受付業務の管理」や「広報の実施」をしており、サービスデザイン推進協議会は「全体の統括業務」と「給付金の振り込み業務」を行っているとのこと。

そして、契約金額は何と769億円(以上は全て川内議員の質疑による)。

 持続化給付金の補正予算の計上額は2兆3176億円なので、1件平均100万円の給付をするとなると給付件数は231万7600件。手数料として考えると、1件あたり3万3千円が「サービスデザイン推進協議会」(実質的には電通か)に転がり込むことになる。政府答弁によれば、もっとも手間と費用がかかりそうな「審査業務」は受託範囲外のようなので、「協議会」はボロ儲けをしていそうだ。

 百歩譲って、ここまでの儲けを挙げたとしてもそれに見合った仕事の質が伴えば、緊急事態においてはそれも止むを得ないとも言えるかも知れない。しかし、巷にはいつになったら給付金が入ってくるのか、という声が溢れている。

制度開始から1〜3日で給付が実現し、在ドイツの日本人から「信じられない」という声が上がったドイツは、ベルリン州開発助成銀行という公的銀行が内部で準備を整えたとのこと。

日本では769億円かけて、3週間経ってもまだ120万件の申請に対し5980億円しか支給されていない(財務金融委員会での本日の答弁による。予算の4分の1の消化率)。

 このような事情があってのことか、先日に続いて今日も財務金融委員会で麻生大臣に、

「どんなにいい政策でもスピードに欠ければ意味がない。質の問題もある。フランスでは、4月28日に首相がマスク着用義務付けを発表したら5月11日には配布された。しかもお洒落で付けたくなるようなものが。日本ではアベノマスクも本来はいい政策だったがいつまで立っても届けられない上にデザインも悪いので今日も委員で着けてる方は誰もいない。給付金も電通、パソナが作っている協会が700億円もの巨額で請負われた。であるならばドイツ、フランス並の仕事の質を確保して欲しい。折角の政策を活かすようトップダウンで指示して欲しい」

と先日と同じような質問をしたところ、麻生大臣は先の数字や第二次補正予算の概要を紹介された後、またも

「日本の死者数が少ない。結果を出している。アメリカはベトナム戦争の死者数を超えて10万人になる。日本は800人。終わった後検証が必要。」

と全く関係ないところに話を振ってごまかした。この時に、この件は完全に「怪しい」と感じた。

 アベノマスクの時も契約先のうち1社がよくわからない企業で、そこを含めてどう考えても高い値段で品質が悪いマスクが契約され、しかも遅配された。経済的合理性もへったくれもないお粗末さで、国民の怒りを買った。

そして、またもや、である。

 国民が苦しんでいるこの時期に、巨額の利益を政商のような存在の企業が挙げたことが推認され、そして、肝心の国民への提供が遅れてしまっていることが2度繰り返されている。

検察庁法改正という、三権分立を揺るがしかねない暴挙が謀られ、それが不祥事で潰えたばかりでもある。

いくら寛容で我慢強い日本国民であっても、流石に我慢の限界だろう。

既得権益と関わりが薄く、かつ実務能力に長けた行動力のある人物に舵取りを任せるべき時が来ている。

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