記事

「出社鬱」に企業は備えてほしい 注目すべきはマインド

2/2

地域差のある対応の難しさ

しかし、この時間コスト、対面コスト感覚も、一律でなないことに注意が必要です。会社として「対面の商談はストップ」をかけている企業もあります。しかし地方都市で、感染者が少なく、働き方への変化も少なかった地域では「早くきてください。商談を進めましょう」と通常の対応を待ち望んでいる人もいる。そこが難しいところです。例えば東京から、感染がゼロの地域に商談にいくことが企業の対応としてどうなのか? 利益と防疫のどちらを優先するか、目先なのか長期的課題なのか、企業が問われるところです。

今回の「リスク」は個人によって、また地域によって、そして、何よりもフェイズの変化によって、全く感覚が違うというところが課題です。例えば第二波が酷かった北海道では「自粛解除は怖い」という声もあるし、感染が比較的少ない北陸などは「全国の自粛中に普通に飲み会をしていた」という話も。

一つの解としては、今後は「働き方」をどう整備するかだけでなく、まずは多様な「マインド」に注目していくことが今後の大きなポイントになります。

心理的な危機に対応せよ

心の声3)感染への恐怖はまだ去っていません。この状況を招いたのは「100年に一度のパンデミック」という災害です。戦争のように目に見えるものではないこの災厄を、ある人が「感染症ではあるが、心理的な事象でもある」と言っていました。つまり「心」への影響がすごく大きいのです。

[ブログで画像を見る]

先日、企業のメンタルヘルスを支援するピースマインド株式会社が「新型コロナウィルス感染症に関する相談傾向の分析」を発表。同社のサービスである企業向け心理相談は3月から4月で4倍に増えたそうです。

注目すべきは相談のフェイズです。「1月から2月は「感染に関する不安」「検査」などに関する相談が中心的でしたが、3月や4月に入り在宅ワークが始まり出した時期には、「在宅勤務によるストレス」に関する相談が増える」となっています。ぜひ緊急事態宣言解除後のデータも欲しいですね。「通常勤務への不安や不満」なども出てくるかもしれません。

私はドラッカースクールの准教授ジェレミー・ハンターさんの「トランジション」という講座に何回か出ています。世界が「緊急事態」のなか、3月の西海岸からのオンラインセミナーは印象的でした。「怖い」「不安」という気持ちを受け入れなさいと教えてくれた。その感情を無視してしまうと、次のステップに進むことができないからです。

人間の心は落ち込んだり、高揚したり(まさにコロナハイともいうべき期間もありました)、浮き沈みを繰り返す。「トランジション」は大きな振れ幅があるのが当たり前です。そして、浮き沈みの中でだんだんに自分の「レジリエンスゾーン」(心が平安でいられる状態)の幅を広げていくこと。それはスキルによってコントロールできるのです。

私の場合は両親が高齢なので、最初はすごく怖かった。「恐怖」と「コロナハイ」ともいうべき、「何か誰かのためにしなければ」という気持ちが交互にやってきました。その間、友人の島田由香さんが日曜ごとにやってくれるオンラインマインドフルネスや、3月6日の7時に全世界でWe are the worldを歌う「567ability」という企画に助けられました。

心はだんだんに自粛の日常に慣れ、今は自粛後の世界とどう折り合いをつけるのか、と少々不安に思っています。また心の状態はアップダウンすることもあるでしょう。でも、このフェイズの変化を知っておくだけで、心はかなり楽になります。

そして本当に心の問題が顕在化するのはこれからです。経済の状況もあり、「レジリエンス」ができる人とできない人の格差が現れてくる。不思議なことに「自粛期間中の多幸感」を語る人も結構いました。誰もが「引きこもって過ごすしかない期間」は、ある意味誰もがなんらかの「我慢」をしているからです。みんなも同じと思えば耐えられる。

しかし緊急事態が終わり、経済が動いてくると、取り残される方は非常に孤独です。震災後にも同じレジリエンスの格差問題が起きました。経済的不安、仕事の状況、出社を強いられることへのストレス、または在宅へのストレス…。そしてコロナは終わったわけではなく、日本で収束しても国境が開けば、また襲ってきます。

備える意味でも、今こそ企業は「マインド」への対策をして欲しい。まずは社員の心がどう変わったのか? 変わっていないのか? 広く声を聞いて欲しい。それをしないで、「さあ、コロナは終わった。働き方を元に戻そう」と強制する会社は「変化できない会社」です。データ収集と検証、そして働き方の「型」だけではなく「マインド」に注目して対策してください。

※Yahoo!ニュースからの転載

あわせて読みたい

「雇用・労働」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    蓮舫議員が炎上 選手応援と五輪運営批判は両立すれど行き過ぎれば非難殺到もまた当然

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    07月25日 21:53

  2. 2

    東京五輪「手のひら返し」が驚くほど早かった理由 - 新田日明 (スポーツライター)

    WEDGE Infinity

    07月26日 08:17

  3. 3

    配信が充実した東京オリンピック 無観客開催でも十分なお釣りが来る内容

    企業法務戦士(id:FJneo1994)

    07月26日 08:32

  4. 4

    五輪開会式でNHKアナが台湾として紹介したことに波紋 中国国政メディアは抗議せず

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

    07月25日 14:40

  5. 5

    ファクターX 新型コロナワクチン副反応が日本で少し強いのはこのため? 日本のファクトを!

    中村ゆきつぐ

    07月25日 10:34

  6. 6

    “愛国芸人”ほんこんが「デマツイート」で訴えられた! 原告代理人・米山隆一氏が怒り「テレビでは立派なことを言っておられるが…」

    SmartFLASH

    07月26日 09:58

  7. 7

    中田敦彦氏、出版社抜きで電子書籍Kindle出版!著者印税は7倍に!出版社スルー時代の契機になる

    かさこ

    07月25日 08:41

  8. 8

    新入社員の不自然な3連続「忌引」 相次ぐ親戚の“危篤”に職場困惑

    キャリコネニュース

    07月25日 14:06

  9. 9

    大坂なおみの聖火最終点火に感じた「逆方向の政治的なバイアス」

    企業法務戦士(id:FJneo1994)

    07月25日 08:28

  10. 10

    世間の話題は東京五輪だらけ 無関心派はうんざり

    かさこ

    07月25日 21:12

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。