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【新型コロナウイルス感染症シリーズ14】名だたる日本の企業がなぜ医療機材の生産をしてくれないのか- 効率一点張りの政策が冷たい企業ばかりを生んだ

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 安倍首相が記者会見で何回も、PCR検査を増やすと断言したにもかかわらず、PCR検査がいつまで経っても1日当たり2万件にならないのがなぜなのだろうか。幸いにして、コロナ騒ぎは少しずつ収まってきたし、手作り布マスクで国民が自衛策を取り始めたのか、医療機関を除いたらマスクは一応行き渡ってきている。しかし、PCR検査は依然として諸外国と比べてもさっぱり増えていない。

当然視され続けた海外投資・工場の海外移転

 理由は、日本の産業界が高い人件費を嫌い、生産拠点を海外に移し、国内で生産しなくなっていたために即応できなかったのだ。例えばPCR検査に使う植毛綿棒は国内にはなく、伊・米からの輸入に全国的に依存している。これでは自国優先であり、日本に回ってこないのは当然である。また、マスクはスギ花粉症を防ぐのに必要ということから、まだ2割が国内生産されていたが、防護服も医療用ガウンも国内生産はゼロといった具合である。つまり、日常生活や医療活動に不可欠なものを、国内で造り続けるなどといったことは少しも眼中になく、ただひたすら競争原理ばかりが働き、労賃の安い中国や東南アジアに移して平気でいたのである。

グローバリゼーションに歯止めのあるアメリカ

 他の先進国も多かれ少なかれ大体同じだが、日本は度が過ぎていた。

 資本主義国の権化の国であるアメリカには、国を支えるために不可欠なものはアメリカ国内で造る、という厳然たるルールがある。例えば、「ジョーンズ法」により、アメリカ国内の拠点間の物品輸送を行う船舶は、アメリカ国内で建造され、アメリカ人が所有し、アメリカ船籍で、アメリカ人が乗っていないとならないと決められている。トランプ大統領のいうアメリカ・ファーストどころの話ではない。

 そこまでアメリカ国産にこだわる理由は、戦争状態になった時には、船舶は絶対に必要であり、その製造能力を国内に残しておくためである。軍艦や潜水艦だけでは需要が限られて、造船産業は維持できないことから、裾野を広げて造船関連産業をアメリカ国内で維持するためなのだ。

国難に協力する世界の企業

 今回トランプ大統領は、1950年朝鮮戦争時にできた「国防生産法」に基づき、全く異業種のフォードやGMにも医療器材の生産を命じた。5月21日、トランプ大統領はその一つのミシガン州のフォード工場を訪問、人工呼吸器の製造過程を視察した。州の指針では工場内はマスク着用が義務付けられていたが、トランプ大統領がルールに従わなかったことが日本でも報じられた。

(トランプ大統領の徹底したマスク嫌いは、失笑せざるを得ないが、私は日本で記者会見でも国会の質疑応答でもマスクをしたままのほうが異様に思える。各国の元首や国民の前でマスク姿では失礼だ、というトランプ大統領の依怙地さに一理ありと思っている。ただ、その前にさんざん失礼なツイッターや発言はしているが。)

 日産自動車を傘下に置くルノーは、フランス政府が強く係わる企業であり、フランス政府の方針には忠実である。マスクシリーズで触れたが、イギリスもダイソンやロールスロイスに人工呼吸器の生産を要請し、イタリアでも世界に名の知れたアルマーニ、グッチ、プラダ等アパレルメーカーが国難に対して、すぐにマスクや防護服を製造し始めている。

 ところが、日本にはそうした協力をしている企業は少なく、従って安倍首相の視察もない。日本のマスメディアが報ずべきはむしろ動き出さない日本企業の問題なのに、全く触れられていない。

高度経済成長下、次々と消えていった労働集約型産業

 日米通商摩擦は、日本の繊維製品の洪水的輸出に音を上げたアメリカが日本に輸出規制を迫ったことに始まる。佐藤栄作首相、田中角栄通産相、時あたかも沖縄返還交渉と重なっていた。日本の生産量を抑えるため、織機を1台壊せば1万円を補償するという荒業(「ガチャマン」と呼ばれた)で乗り切り、後にこの大妥協は「縄を糸」で買ったといわれた。

 当初は、構造不況業種とかいわれ、消えゆく産業にも報いの手が差し伸べられたが。いつの間にか、競争に勝てない産業は見向きもされなくなっていった。その結果あれだけ栄華を誇った繊維産業はすっかり中国にとって替わられてしまった。

その後日本の主要輸出産業は家電製品、機械、半導体等の電子機器、自動車と変遷していった

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