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「飲酒・やけ食い・買い物」でのストレス解消は逆効果だ

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ストレス解消になるからといって、何をやってもいいわけではない。アンガーマネジメントに詳しい戸田久実氏は、「スポーツなど健康的な方法で発散するのがいい。飲酒、やけ食い、買い物は怒りを自分に向けている行為。自傷行為と同じで、やめたほうがいい」という――。

※本稿は、戸田久実『アンガーマネジメント』(日本経済新聞出版社)の一部を再編集したものです。

落ち込んでいる男は自宅でハードリカーを飲む

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tommaso79

真面目な人はメンタルヘルス不調になりやすい

イライラを感じると、自分に対して怒りをぶつける人もいます。どういった場合にそれが起こるのでしょうか。

たとえば、結果を出せなかった自分が情けなくなったときに、

「なんでわたしはいつもこうなんだろう」
「なんでこんなことができなかったんだろう」
「なんでこれをやろうと決めたのに、いつもちゃんと続けられないのだろう」

というように、自分に対してイライラするタイプです。

これを続けて、自分を責め続け、メンタルヘルス不調になってしまう人もいます。

じつは、これは真面目な人に多いのです。いつも自分に非があると思い、

「なんでこういうときにちゃんと言えないんだろう」
「なんでできないんだろう」

と考えすぎてしまうのです。

あるいは、上司の期待や親の期待に沿えなかったときに、

「なぜわたしはいつも、結果を出せないんだろう。本当に情けない。どうしてなんだろう……」

と、自分に対してのイライラを溜め込んでしまう人もいます。

イライラして前髪を抜いてしまう女性もいる

このようなケースでは、ひどくなると自傷行為をしてしまうこともあります。

わたしが相談を受けたなかに、30代前半の女性で、イライラし始めると無意識に前髪を抜いてしまうという人がいました。これも自傷行為のひとつなのですが、本人は無意識に行っているので自分ではとめられず、毛根が禿げてしまっていたのです。

症状が悪化すると、自傷行為を自分でやめられない人もいます。その女性は、職場の上司の理解があったので、専門医に通院して、数カ月後に癖がなくなりました。

髪が長かったので、髪型でごまかしていましたが、毛根がなくなると生えてこないので、一生残ってしまいます。症状が悪化していく前に、怒りをうまく扱えるようにしたいものです。

やけ酒も自傷行為である

身体に悪いと思っていても、やけ酒を繰り返す人もいます。

「こんなにお酒を飲んだら身体を壊す」とどこかでわかっているのに、自暴自棄になって過度に飲酒をしてしまうのです。このように自暴自棄になることも、怒りを自分に向けている行為のひとつ。つまり、自傷行為に該当します。

こうして自分の心や身体を傷つけてしまう人もいるのです。

よく「気分転換やストレス解消に何をしていますか?」と聞くと、飲酒やタバコが出てきます。でもじつは、イライラするからタバコを吸うという行為は、依存性が高まりますし、本数も増えてしまうので要注意です。

これは、ほかのことにも当てはまります。飲酒・やけ食い・買い物依存症なども同じです。イライラするたびに何かをしてしまうのなら、依存性が高い証拠です。

やけ食いの場合、イライラしたら食べるということを繰り返していると、無意識に習慣になってしまいます。そして刺激が足りなくなり、どんどん量が増えていくのです。このような場合、味わうわけではなく、ただ食べることが目的になっています。

結局、ストレス発散にもならないばかりか、どんどん症状が重くなるだけです。

ほかにも、ストレス発散のためにギャンブルをする、ネットサーフィンをする、TVゲームをする、といったことも依存性を高める行為です。これらに頼り続けていると、どんどん不健康になってしまうので気をつけましょう。

自覚がない自分への攻撃にも注意

怒りを自分に向けて、自ら心と身体を痛めるような行為をすることについて、なかなかピンとこないという人もいます。

以前、ある企業のアンガーマネジメント研修にて、40代の管理職の女性から質問を受けました。

「他人に暴言を吐いたり、暴力的な行為をしたり、物に八つ当たりをするというのはイメージがわくのですが、怒りが自分に向かうというのがよくわかりません」

と言うのです。ところが、この彼女こそが、自分の身体を痛めている人でした。

昼食を一緒にとったとき、職場の体制が古くて上司も理不尽なことばかり言ってくる。自分の部下たちは一生懸命仕事をしているのに、部下たちに申し訳ないと憤りを覚える日々。ここ数カ月は頭痛がするので、毎日頭痛薬を飲んでいる。強い頭痛薬を毎日服用するのはよくないとわかっていても、やめられない。

そんな状況だというのです。

それこそ、まさに自分に向けた攻撃的な行為なのだとお伝えしたら、彼女は、ハッとした顔をしていました。

組織や上司が変わらないことへの憤り。管理職として部下たちに何もできない自分自身の情けなさや申し訳なさからくる怒り。それらを、溜め込むことで、頭痛という反応が出て、身体には悪いと思っていても、薬を飲み続ける。

これは、本人は自覚していなくても、無視できない自虐的行為です。

このように無意識に自分を傷つけてしまう人も増えてきています。

あなたや周りの方々にも、心当たりがないか、振り返ってみてください。

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