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新型コロナウィルスの影響で石油価格が下落してとうとうマイナスを記録した4月の消費者物価をどう見るか?

本日、総務省統計局から4月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は昨年10月の消費税率引上げの影響がまだ残っているにもかかわらず▲0.2%を示した一方で、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は+0.2%でした。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により石油価格下落が背景です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の全国消費者物価、0.2%下落 下落は3年4カ月ぶり、コロナ禍で
総務省が22日発表した4月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は生鮮食品を除く総合指数が101.6と前年同月比0.2%下落した。下落は16年12月以来、3年4カ月ぶりとなる。QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.1%下落)より下げ幅は大きかった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が顕在化し、原油安を背景としたガソリン価格の下落などが押し下げた。

他にも、新型コロナの影響で宿泊料や外国パック旅行費などレジャー関連の消費が引き続き低調だった。式典の自粛で切り花などの価格も下がった。4月から始まった高等教育無償化で私立大授業料が下落した。19年10月からスタートした幼児教育無償化の影響で幼稚園や保育所の保育料も下落した。
生鮮食品を除く総合では379品目が上昇した。下落は128品目、横ばいは16品目だった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は101.8と前年同月比0.2%上昇した。生鮮食品を含む総合は101.9と0.1%上昇した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。

寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。


まず、コアCPIの前年同月比上昇率は日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲0.1%の下落でしたので、やや下落幅が大きいとはいえ、まずまずジャストミートしたといえます。ヘッドラインCPIの上昇率が+0.1%であったのに対して、生鮮食品を除くコアCPI上昇率が▲0.2%の下落、生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI上昇率が+0.2%ですから、広く報じられているように、石油価格の下落の寄与が大きいと考えるべきです。総務省統計局のリポートでもエネルギーのヘッドラインCPI上昇率に対する寄与は▲0.37%に上っています。

なお、私の計算ではコアCPIに対するエネルギーの寄与度は▲0.39%です。もちろん、COVID-19に起因する経済的影響が宿泊料や外国パック旅行を下落させて、コアCPI全体の下落幅を大きくしていることは事実ですが、石油価格によるサプライサイドからの、まあ、経済学的には奇異な言葉かもしれませんが、私なんぞが学生のころに習った「コストプッシュ・インフレ」の反対で、コストプル・デフレと考えることが出来ます。

加えて、4月から高等教育無償化が実施されており、ニッセイ基礎研のリポート大和総研のリポートなどを見る限り、▲1%近いの寄与があったと試算されています。こういった特殊要因を数え上げればキリがないんですが、いかにして物価目標を達成する道筋に戻るのか、日銀は今日の金融政策決定会合の臨時会合において、中小企業等の資金繰り支援のための「新たな資金供給手段」の導入を決めましたが、どこまで効果あるんでしょうか。誠に申し訳ないながら、私はそれほど見識ないエコノミストですので、少なくとも、COVID-19の影響については、ケインズの表現を借りて "when the storm is long past, the ocean is flat again." という感じでしょうか。

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