新型コロナウイルスの感染拡大を受け、予防として手洗い・うがいの重要性があげられている。
鼻をかんだり、くしゃみや咳を手で覆ったりすることによってウイルスは手に付着する。その手で電車のつり革や手すり、水道の蛇口、ドアノブを触ることで結果的にウイルスを広げることになる。このように「手」を介して感染のきっかけを作ってしまっているケースが多い。
手からの感染を予防する方法として、4月には陸上自衛隊の公式YouTubeチャンネルでダイヤモンド・プリンセス号に派遣された隊員も実践したという手洗い方法が紹介され、注目を集めていた。「『自衛隊式感染症予防』手洗い編」と題したこの動画の中では、隊員が蛇口を操作する際、肘を使って水を出す動作をとっており、なるべく蛇口を触らない工夫がされている。
また、島根県邑南町では、手洗い後の蛇口へのウイルスの付着を懸念する見方があることから、小中学校や公民館の水道蛇口を手回し式からレバー式に交換することを決めたというニュースも伝えられている。
感染予防の観点では手回し式よりレバー式の方が適しているのか、公共の場で使用される蛇口には手回し式のものも多いが、もし不特定多数の人が触れる蛇口を使用する際に気を付けるべきポイントはなにか。宮城大学特任講師、東北大学大学院医学系研究科非常勤講師を務め、感染症予防の専門的な知識や技術を持つ感染管理看護師の松永早苗さんに話を聞いた。
医療施設の蛇口はペーパータオルを使用すべき
――新型コロナウイルスやインフルエンザなど感染症対策として、手洗い時に蛇口をなるべく触らない方がいい理由を教えてください。
水場は湿気が多く、多くの菌やウイルスが住み着きやすい場です。そのため、手をきれいに洗った後で、多くの人が接触するであろう水道蛇口を、きれいにした後の手で触れない方が良いです。
肘やタオルで蛇口を閉めることは、感染対策上において有用です。肘で顔を触ることはないので、肘で閉めても感染は広がりません。
――蛇口が手回し式の場合、手を洗った後、水を止めるため再度蛇口に触れることになりますが、なにか対処法はありますか。
日常生活においては、定期的に水場の清掃が行われていれば、神経質になる必要はありません。気になるようでしたら、個人持ちのタオルで蛇口を閉めると良いでしょう。その際、手を拭くタオルと顔の汗を拭くタオルを別に持っておくと尚良いと思います。
ただし、不特定多数の患者や利用者に接する医療関連施設等では、蛇口をペーパータオルで閉めた方がより効果的です。
感染防止に効果的な手洗いのポイント

――感染症予防として、手洗いで気を付ける点、有効な洗い方などはありますでしょうか。
有用な感染症予防、手洗いの方法として、以下のポイントがあげられます。
1. 洗い残しがないように正しい手洗い方法を学ぶ
2. 歌などリズムに沿って時間をかけて丁寧に洗う
3. 手洗いにブラシなど使用して皮膚を傷つけない
4. 手に残る石鹸をしっかりと洗い流す
5. 手の水分をしっかりと吸い取る
6. 軽くたたき拭きすると皮膚がこすれず、あれない
7. 手の保湿に心がける
8. 手荒れは治療する
9. 共有する石鹸の容器は定期的に洗浄,乾燥させる
上記のポイントをおさえ、丁寧な手洗いをすることが感染防止につながります。
自分で簡単に実践できる感染予防として、手洗いの際に意識してみてはどうだろうか。