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官僚が不祥事を起こせば「内閣が悪い」の欺瞞

■「官僚の不祥事」で「内閣の総辞職」は必要か?

 東京高等検察庁の黒川検事長が緊急事態宣言が出ている最中に新聞記者宅で賭けマージャンを行っていたことが判明し、辞任の意向が伝えられている。

 一見すると人の良いオジサンという感じで憎めないキャラクター風の黒川氏だが、検事長という責任あるポストに就いている人物が「緊急事態宣言中に賭けマージャン」、確かにこの行為自体は批判されても仕方が無いとは言える。

 少し前に「緊急事態宣言中に風俗通い」で党を除籍処分になった政治家もいたが、公人は自ら範を示すためにも「緊急事態宣言中」は大人しくしていなければならない。確かにこれはその通りであり反論する余地がない。

 しかし、この一件で、「内閣は総辞職するべきだ」という意見が出ているのは疑問符が付いてしまう。

 なぜ、お役人の1人が不祥事を起こす度に、内閣全てが悪いという判断になってしまうのだろうか? 不祥事を起こした当の本人、所属する検察組織、または同じく賭けマージャンを行っていた新聞記者が真っ先に批判されるというなら理解もできるが、なぜ、毎度毎度、責任転嫁の如くに、いきなり「内閣の総辞職」となってしまうのだろうか?

 さらに不思議なのは、「政治家と検察はそれぞれ距離を置くべき」と言っておきながら、「検察が起こした不祥事は内閣(政治家)が責任を取るべきだ」と言う。これでは全く支離滅裂だ。距離を置くべき組織なら、責任の所在も距離を置くということにしなければ辻褄が合わないのではないだろうか。

■正義や公正さよりも欲得が支配する社会

 ある企業に所属する1人の従業員が不祥事を起こすと、「その企業自体を解体してしまえ」となるだろうか?

 ある学校の教師がいじめ問題を起こした時に「その学校を解体してしまえ」となっただろうか?
 先の風俗通いをしていた政治家が所属していた政党は「解体してしまえ」となってもよいということだろうか? そういう批判をかわすために除籍処分にしたというのだろうか?

 罪や不祥事を起こした当の本人ではなく、別のものに批判の矛先を持っていこうとする行為には“偽善臭”が感じられる。

 そう感じられるのは結局のところ、それらの行為は、正義や公正さを求めることを目的とした批判ではなく、他者を批判することで自らの立場を優位にしたいという、全くの別の目的(自己の欲得)がベースになっているせいなのだろう。

 しかし、世間一般の良識ある人々は、そういう偽善臭を上手に嗅ぎ分ける嗅覚を有している。

 従業員が不祥事を起こせば「会社が悪い!」、教師が不祥事を起こせば「学校が悪い!」、官僚が不祥事を起こせば「内閣が悪い!」、こういう目くらましのような偽善行為に世間一般の人々は「またか…」と閉口しているのではないだろうか。

 検事長が緊急事態宣言中に賭けマージャンを行っていた行為よりも、そういう目くらましのような偽善行為が蔓延る社会にこそ、多くの国民は心底うんざりしているのではないかと思う。

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