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「歯を食いしばって前進」開催延期続くJリーグ、苦しいクラブの現在をアルビレックス新潟社長に聞く

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多くの熱狂を生むスポーツ・サッカーの舞台裏を取材する森雅史さんの連載『インサイド・フットボール』。今回は新型コロナウイルスの影響で開催延期が続くJリーグからアルビレックス新潟の代表取締役社長・是永大輔氏に話を聞きました。通常なら見込める収入が断たれるなかでどのような舵取りをしているのか、苦しい現状を明かしています。

新型コロナウイルスの影響で依然として開催延期が続くサッカー・Jリーグ。そのなかで、もっとも厳しい状態に立たされているのがクラブチームだ。入場料やグッズ販売をはじめとした収入源が断たれている状態で、クラブを維持していくことは容易ではない。今回はJ2リーグの中でも多くのサポーターを抱える人気クラブ、アルビレックス新潟の代表取締役社長・是永大輔氏にクラブ運営の現状を聞いた。

アルビレックス新潟のサポーターのようす 試合の際はスタンドがオレンジに染まることも Getty Images

平均観客動員数はJ2平均の2倍以上 地域に愛されるクラブチームの現在

——アルビレックス新潟はJ2リーグに所属するクラブチームです。チームの特色について教えてください。

私たちは成り立ちが市民クラブに非常に近いと思います。どこか特定の大企業に支えてもらっているような形ではなく、たくさんの人たちの力を集めて出来上がっているクラブです。

J1リーグに昇格した2004年には平均37,000人以上の観客のみなさんに来ていただきました。ピークを超えてから観客数は減っていますが、それでもJ2リーグ平均観客動員数の7176人に比べると、2倍以上の1万4497人の方にご来場いただいています。また、去年からはデータを重視したチケット戦略を行っており、有料観客数が平均1000人ほど増えています。

——新潟の収益構造はどうなっていますか?

営業収益の約40パーセントほどのスポンサー料に加え、シーズンパスを含めたチケット収入が私たちの中では約25パーセントという大きな割合を占めます。チケット収益の中でシーズンパスが占める割合は60パーセントぐらいですね。昔からずっと愛し続けてくださるみなさまがいらっしゃるので、それは本当に助かっています。グッズ売上や、スタジアムでの飲食販売でもたくさんのみなさんにご協力いただいており、そのロイヤリティ収入も重要な収入源です。

アルビレックス新潟とカテゴリ別Jクラブ平均売上(2018年)

営業収益 スポンサー収入 入場料収入
アルビレックス新潟 24億9300万円 11億2700万円 5億0700万円
J1平均 47億5500万円 21億3000万円 8億0400万円
J2平均 15億4100万円 8億1000万円 1億9900万円
J3平均 4億4400万円 2億4100万円 2900万円

新潟の特長は、J1からJ2に降格した初年度はスポンサー料があまり減らなかったことです。もちろん、スポンサーのみなさまとデータで共有している広告露出の回数や質という部分には影響があるのですが、リーグのカテゴリーが下がったことで減額に結びついた割合は少ないと言えるでしょう。これは私たちのことを地域のインフラとして認識していただいているからだと思います。他のクラブのことをすべて知っているわけではありませんが、おそらく新潟はかなり恵まれていると思います。

アルビレックス新潟代表取締役社長・是永大輔氏 画像提供:森雅史

チケット収入が断たれ、手元キャッシュに不安

——Jリーグは2月21日に開幕した直後の25日、新型コロナウィルス感染防止のため28日から3月15日までの試合を延期すると発表し、その後まだ再開できずにいます。現在のクラブの状況を教えてください。

手元のキャッシュが問題です。本来であれば、試合ごとに入ってくるチケット収入がありません。シーズンパスとしてチケット収入の一部はいただいているものの、試合ごとのチケット収入はもちろん重要です。

グッズに関しては、インターネットショップや新潟駅に「アルビレックスショップ オレンジガーデン」というオフィシャルショップがあるのですが、やはり試合日にスタジアムで売れる比率のほうが圧倒的に高いです。また試合が開催されないため、会場での飲食販売のロイヤリティ収入もなくなっています。

——現在はどのような資金繰りで会社を運営しているのでしょうか。

ほとんどのスポンサー料は通常どおり2月から5月の間にいただきます。ですから今は、ほぼそのスポンサー料とシーズンパスの収入だけでクラブを運営している状態です。

あとは育成組織のアカデミーやサッカースクールからの収入はあるのですが、それ以上に育成組織には費用がかかりますので、基本的にアカデミーは大きな赤字です。

——どのような対策を練っていますか?

まずはキャッシュをいかにショートさせないかということが、現時点での全てです。そのためにキャッシュを増やす、たとえば政策金融公庫含めて国が出している新型コロナウィルス対応策にアプローチをしています。

また、これからそれぞれの金融機関がどんなメニューを出してくるのか正式に決まるでしょう。それぞれの策が揃ったら金融機関にお願いをする場面があるかもしれません。

あとは、新潟はたくさんのサポーターに支えていただいているので、甘えるわけではないのですが、経営が厳しいという現実を共有させてもらっています。幸い新潟にはクラブの後援会という組織があります。「みんなでクラブをもう一度盛り上げましょう」と、後援会が主体となって「クラブ緊急支援特別募金」を開始していただきました。心から感謝しています。

公式サイトでは「クラブ緊急支援特別募金」をはじめ、さまざまな取り組みの案内がはじまっている

——資金ショートの可能性はいかがですか?

何も対策を取らなければ、今はどの企業であっても資金ショートの可能性があると思います。ゼロベースで様々な策を取ることでそうならないように努力しています。

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