- 2020年05月20日 13:50
安倍内閣の支持率が33%へ下落 生活困窮者層での政策支持率は15.8%であり危機感を持つべき水準
安倍内閣の内閣支持率が33%に低下
緊急経済対策を次々に打ち出す安倍内閣であるが、なかなか支持率が上がってこない。
今日の以下の報道では各種調査でも同様に30%台前半の支持率まで著しく低下していることがわかる。
安倍晋三内閣の支持率が報道各社による世論調査で3割台に下落した。
検察庁法改正への反対の声が目立ったほか、新型コロナウイルスへの対応についても厳しい見方をする人が多い。
朝日新聞社が16、17両日に実施した世論調査によると、安倍内閣の支持率は33%で、4月調査の41%から下落した。
不支持率は47%で、4月調査の41%から上昇した。
2012年12月発足の第2次政権以降で、内閣支持率が最低だったのは森友・加計問題への批判が高まった18年3月と4月調査の31%で、今回の33%はそれに次いで低い。
同調査では、検察庁法改正案について、「賛成」は15%にとどまり、「反対」が64%だった。新型コロナウイルスの感染拡大の防止に向け、安倍首相が指導力を「発揮している」と答えた人は30%(4月調査は33%)で、「発揮していない」の57%(同57%)の方が多かった。
ANNが18日に公表した世論調査でも、安倍内閣の支持率は32.8%で、前回の3月調査から7.0ポイント下落した。
検察庁法改正案についても「反対する」が68%で「賛成する」の15%を大きく上回った。
政権の新型コロナ対策を「評価する」は31%にとどまり、「評価しない」は57%だった。
出典:安倍内閣支持率33%に低下、6割超が検察庁法改正案に反対-調査 5月18日 Bloomberg
まだ30%も支持層がいるのか、と思う方もいるかもしれないが、私はこの結果を妥当な水準だと思っている。
近年は「自己責任」「自助」が重要だとされてきており、政治や政策に期待しない層が存在しており、内閣や政権にも多くを望まない。
期待すれば裏切られた時の反動も大きく、過去の民主党政権のように短期で瓦解する結果になるが、そもそも今の日本では多くが政治に期待感を有していない。
一向に届かない支援策と現金、苛立つ当事者たち
政府や内閣に頼っても仕方がないという一定の諦めは社会全体に蔓延しており、政府が権限を行使しなくても問題視しない傾向がある。
例えば、生活に困っていても政府や社会に頼ることは「悪」であり、生活保護に頼ることも控える風潮が2012年からの生活保護バッシング等で、執拗に作りあげられてきた。
本来、政府の大きな役割は所得の再分配であり、困っていない人、企業から資金調達をして、困っている人へ配るものである。
実際に、政府は今回のように、1人10万円を給付することも可能な大きな権限を有している。
つまり、政府は富の配分、調整に強制介入し、ある程度の公正さを求めて、人々の暮らしを下支えできる。
具体的に言うと、生活保護を含む社会保障給付は、政府が大きな権限を有しているのだが、もはやその役割や機能にさえ、期待しない市民は多いのである。
極端に言えば、もう政府は何もしなくても、政府に「期待しない民」を作り出したので、簡単に潰れることはない。
期待をしないから非難も批判もしない。そもそも何も存在していないかのように。
しかし、さすがにこの局面に来てさえ、なおマスクも現金も給付金も届かない市民が大多数だ。
なかなか政策案が現場で実行に移されない状況が続けば「期待しない民」も黙ってはいないのではないだろうか。
私は労働相談、生活相談の現場において、電話やメールで相談を受けているが、どれだけ積極的で肯定的に政府を支持しようと思っても、その箇所を探す方が難しい状況である。
給付金の支給前に倒産や事業廃止を決意した事業者、休業補償が何もされていない労働者、生活困窮者の声を多数聞いてきたからだ。
現実として、事実として、今のところ、政府は市民を有効に助けられていない。
生活困窮者層の政策支持率は15.8%
いのちとくらしを守る何でも相談会実行委員会が開催した4月18日、19日の相談会には、全国25地域31会場で、5009件の電話相談が寄せられた。
弁護士、司法書士、社会福祉士、労働組合、NPOなどが述べ598人体制で相談を受け付けた。
そのうち「国の施策を評価しますか」という問いにも応えてくれた方は2788人である。
その2788人の中で「評価する」(377件)「高く評価する」(66件)は、合わせると443件だった。
約1ヶ月前の現金一律10万円の給付が決定した直後のタイミングであり、その評価を含めても、政策支持率は15.8%だった。
いろいろな施策に期待する声がある一方で「遅すぎる」「スピードが全然足りない」という声が相次ぎ、政府批判の声が大多数であった。
生活相談の現場では、政策が届いていて「助かっている」という実感に極めて乏しいのである。
今後も政策に実効性が伴わず、生活困窮者の増大を招けば、内閣支持率は危険水域に突入することになるし、さらなる支持率低下は避けられないだろう。
与党・自民党の若手グループのリーダーからは「このような中途半端な政策なら下野する覚悟を持つべきだ」という厳しい意見も以前から出ている。
「期待しない民」に甘えることなく、政府は引き続き懸命に政策を実行してほしい。
※Yahoo!ニュースからの転載