記事

コロナで経営難のラブホテルは緊急支援の対象外 「職業差別だ」と経営者らから怒りの声

1/2

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛のあおりで、ラブホテル(以下、ラブホ)が経営難に陥っている。そうした厳しい状況にもかかわらず、公庫特別融資やセーフティネット保証、5月から申請が始まった持続化給付金といった緊急支援の対象からことごとく除外されている。

「支援するのにふさわしくない業種だから」との理由で、国は「性風俗はダメ」との方針だ。ラブホ業者からは「生きるか死ぬかというこの緊急時に職業差別を持ち込むのか」と怒りの声が上がっている。



「ラブホ業界を潰す気か」マネーの虎が怒った

2月末、ラブホテル業界に衝撃が走った。コロナ禍における経済危機のなか、政府は日本政策金融公庫など公的機関に要請して、旅館業や飲食店を営む事業者に向けて「新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変特別貸付」を開始した。ところが、業績の悪化を補填するよう低金利で貸付する制度のはずが、風俗業界はその対象外となったのである。

この〝門前払い〟に、いち早く声を上げたのは、ホテルセーラグループの社長・市東剛さんだ。かつて、起業家を目指す人が各界の実業家に事業資金の協力を求める企画で人気を集めたテレビ番組『¥マネーの虎』(日本テレビ系)。市東さんは実業家として出演した一人だ。

群馬県などで6軒のラブホテルを経営する事業家として、今回の貸与対象からの除外に対して意見表明した。「ラブホはコロナ経済対策対象外!?」と題してブログに綴った動機は、強い憤りだった。

今般新型コロナウイルス感染症特別貸付に際し、我々レジャーホテル業界は対象外とされていることについて断固抗議します。現在はまさに有事であり、一般のホテル業者と同等の扱いを要望するものであります。

そう始まる文章では、旅館業法による営業許可を得て適法に運営しているにもかかわらず、各種の緊急支援策でもラブホ業界がことごとく対象外とされている異常事態に異を唱えた。1ヶ月経ったいまも怒りは収まらない。

「ラブホは一兆円市場と言われ、この国の経済の一翼を担ってきたと自負しています。ところが、公金を投入するには〝ふさわしくない業種〟だと言う。いや、これまでも助成金と名のつくものはすべて対象外だったので、差別されるのは毎度のことなんです」

そう振り返り、続けた。

「ですが、今回ばかりは黙っていられません。コロナによる経済危機を未然に防げなかったのは国の責任、人災ですよ。経営難に陥った理由に業界の落ち度はない。国は、自然淘汰に任せてこの業界を潰してしまえと言っているように感じます。やり方が狡猾じゃないでしょうか」

市東剛さん

市東さんのホテルは従業員100人以下で規模は中小企業だ。しかし、まさに中小企業向けに創設された持続化給付金でもラブホは対象外となっている。4〜5月は売り上げが半減。いまは内部留保で凌いでいるが、それも底が尽きかけているいま、借り入れができなければ社員に給与を支払う原資もないと案ずる。

「この業界は、建物や減価償却費の重みが大きく、売り上げが見込みより3割落ち込むと赤字になってしまうのです」

市東さんは懸念を示す。

「コロナ特別融資ダメ、セーフティネット保証ダメ、固定資産税の減免ダメ、持続化給付金ダメ。唯一、雇用調整助成金は受けられるようになりましたが、あまりにみみっちくて社労士の謝金にも足りません。いずれ景気は戻ることでしょう。ただその間に、経営的に体力のないラブホとか、競争の激しい都市部のラブホは、淘汰されて半減すると思います」

議員に100本 メールを送ったラブホ・オーナー

長野県安曇野市に開業42年という歴史あるラブホがある。親から受け継いだ2代目経営者の瀬戸悦さんはゴールデンウィーク明けから、経営難の苦境を訴えようとTwitterを始めた。

アカウント名は「ゴメンね、ラブホテル守れない@haigyoumadika」。それは冗談のつもりではなく、現実そのままだと語る。

「うちは13ルームあるラブホです。主にカップルステイで月に平均500〜600組、年間1万人にご利用いただいていましたが、客足は2月から半減しました。固定費に100万円かかるので、資金繰りが苦しくなった3月に信用金庫に相談。4月に固定資産税を納税するため100万円を借りました。無利子に近いコロナ特別融資に比べたら高金利ですよ。これまで、なんのために税金を納めてきたのか。訳が分からなくなりました」

瀬戸さんが経営するラブホテル

4月中旬から、瀬戸さんは議員やメディアに話を聞いてもらいたいと、メールで陳情を始めた。その数100通。追加分を含めると130通余りに上る。返信はわずか6通だったが、寺田学衆議院議員や、複数の立憲民主党所属議員からのものは心強く感じたという。しかし、ある県議会議員の対応には衝撃を受けた。

「支持者の手前、風俗業の後押しはできないと遠回しに言われました。つまり、ゴメンね(保身が大事だから)ラブホは守れないと。情けなかったです」

さらに、「話は長くなりますけど」と前置きしながら、瀬戸さんが風俗営業法(以下、風営法)が改正された2011年を振り返ってくれた。

「ラブホを続けるか否か、二択で考えたことがありました。風営法の改正のときに、いわばラブホ経営の既得権を得るには、警察に届出をする必要に迫られたのです。考えた末、堂々とラブホを続けようと決めて、届出をして許可をもらいました。そうやって国の制度に従ったのに、いまその制度がなかったかのように職業差別される。もう驚きと悲しみしかありません」

あわせて読みたい

「ラブホテル」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    GoTo批判派に「楽なポジション」

    やまもといちろう

  2. 2

    やる気ない安倍政権に怒る尾身氏

    メディアゴン

  3. 3

    尾身氏「緊急宣言のときと違う」

    BLOGOS しらべる部

  4. 4

    東京コロナ警戒レベル「最大」に

    ロイター

  5. 5

    中国の弾圧を見逃す感覚は捨てよ

    倉本圭造

  6. 6

    合宿所でSEX 韓国アイドルの暴露

    文春オンライン

  7. 7

    GoToの旅行に税金使われる違和感

    中川 淳一郎

  8. 8

    まるで恫喝 島根県警の不当捜査

    郷原信郎

  9. 9

    白人側言い分 差別問題の難しさ

    fujipon

  10. 10

    浅田真央 彼氏がいた過去を告白

    文春オンライン

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。