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【社内でデジタル追跡アプリ!?】

感染拡大防止と経済活動の再開の両立に向けて世界的に注目されているのが、デジタル追跡アプリです。ですが、ダウンロードする人が少なかったり、政府から見るとIT企業の制限が強く使い勝手が悪かったりして、普及が進んでいないという報道が相次いでいます。

それでは、国家ではなく、企業が社員にデジタル追跡アプリの使用を求めるという報道も。

(The Economist)

FTは、Coronavirus contact tracing apps struggle to make an impact(新型コロナウイルスの追跡アプリ、意味ある存在になるために苦戦)の中で、各国が停止した経済活動を再開するためにコンタクト・トレーシング・アプリの導入を進めるものの、苦戦していると報じています。民主国家の中でデジタル追跡アプリのダウンロードを国民に義務化したのはインド

従業員はオフィスに入ったり、出張するには必ずダウンロードせねばならず、拒否すれば犯罪になりかねないということで、感染拡大を防止しながら経済活動を再開しようとしているインドにとって、さらなる国家的な監視のプレリュードになる可能性があると指摘しています。

インドのアプリではGPSの位置情報とブルートゥースと呼ばれる無線技術を使って感染者に接触した場合に通知し、情報は中央で制御するということです。

英オックスフォード大学の研究では、アプリが効果を発揮するには人口の60%がアプリをダウンロードする必要があると警告していますが、人口13億のインドでは4月2日の開始以来、Aarogya Setu(ヘルスケアの橋の意味)アプリは1億人しかインストールしていないほか、アイスランドのRakning C-19アプリは40%、ノルウェイのSmittestopp(感染ストップ)アプリは成人人口の20%、シンガポールのTraceTogetherアプリは人口の25%しかダウンロードしていないとしています。

The Economistは、Don’t rely on contact-tracing apps(コンタクト・トレーシング・アプリに依存するな)の中で、各国政府が米アップルとグーグルの情報のグリップ度合いに眉を細めつつ、彼らが開発を進めるデジタル追跡アプリに期待を寄せていると報じています。

臨床疫学者は人口の60%が使用すれば効果があると言いますが、ヨーロッパですらスマホや携帯電話でインターネットにつながっているのは76%に過ぎず、中でも新型コロナウイルスにぜい弱な高齢者はとかくつながっていないと指摘。ダウンロードする人が少ないという問題のほかに正確性も問題だと強調。

さらに、仮にアプリを信頼し過ぎると、安全が確認される前に国民が外出してもいいや、と思うかもしれないし、プライバシー保護も争点だといいます。

アップルとグーグルが情報を中央で制御するのではなく、スマホ端末に保存することで匿名性を担保できると主張していることで「シリコンバレーのコード技術者が医療専門家や選挙で選ばれた政治家よりも決定権利を持つなんておかしくない?」と締めくくっています。

Washington PostはApple and Google are building a virus-tracking system. Health officials ay it will be practically useless.(アップルとグーグルはデジタル感染アプリを構築していると言うが、感染専門家は実際には使えないと主張)の中で、アップルとグーグルが先月、スマホを使ったデジタル感染アプリを開発すると発表するや感染専門家の間で期待感が広がったが、両社が詳細を発表するにつれ、使い勝手がよくないことがわかってきたと報じています。

というのは、アップルとグーグルの厳しいプライバシー保護策に伴って国の保健当局には感染者や感染者と接触した場所などの情報はシェアされないからだそうです。

カナダやイギリスは両社に対してより情報を提供するよう訴えたが、両社はそんなことしたら利用者のプライバシーが脅かされかねないとして拒否したとしています。

デジタル感染アプリをめぐってはプライバシーと公衆衛生のトレードオフの議論が活発になっていますが、専門家の中には、これまで利用者のデータを大量に収集してきた両社が感染拡大防止という公衆衛生の重要な目的に使わせないというのは皮肉だという意見も出ているといいます。

ドイツ、イタリア、オランダなどはアップルとグーグルが開発したシステムを活用すると言う一方で、ノルウェイやイギリスなどはより中央制御的なアプリの開発を急いでいます。

CNBCは、経済活動の再開に向けて、企業は社員に対してデジタル追跡アプリのインストールを義務づける可能性があると伝えています。

米コンサルタント会社のPwCは、法人顧客向けに社員どうしの距離感などを測ることができるアプリを開発していて販売するだけでなく、自社の27万5000人の社員にも搭載させるためにまずは上海の支店で試験的に使っているということです。

企業にとってのメリットは、仮に感染者出た場合、会社全体を閉鎖せずに感染の場所をピンポイントで特定できることだと言います。

PwCは5月中旬にもCheck-inと呼ばれるこのアプリを販売する計画で、リモートワーク機能付きだとしています。

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