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「久本雅美の名前で50万円借金」ワハハ本舗をクビになったクズ芸人・小堀敏夫の生き様

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エグさを浄化する吉岡里帆のナレーション

BLOGOS編集部

そして、番組のナレーションを担当した吉岡里帆の存在も特筆だった。お笑い界の下層を這うクズ芸人の生きざまを、天上から慈しみ深く見守る聖母の距離感で包みこんだ。果たして吉岡のナレーションが番組を横切るエグみまみれのワードをどれほど浄化したか――

< 同上より >

NA(吉岡里帆)「小堀さんがもうひとつ、命をかけてやっている・・・ということがあります。昨今世間を騒がせたギャラ飲み。芸人がお酒の席を共にすることで小遣い稼ぎをするのです。この夜のお相手は美容サロンを幾つも経営する5歳年下の実業家。年下のお金持ちを良い気分にさせ、食事をご馳走になる。こうして店を何軒もハシゴします。別れ際のお車代、これがギャラ代わりです」

ギャラ飲みの詳しい説明も吉岡里帆が発すると微笑ましさを帯びた。吉岡は番組全体の放射性物質除去装置だった。

というような、助演者の厚みと献身も含めてこの「ザ・ノンフィクション/52歳でクビになりました。~クズ芸人の生きる道~」は出色だった。

ラジオで語った裏話でドキュメントが完成

BLOGOS編集部

この「ザ・ノンフィクション」を話題に取り上げ、小堀敏夫をすぐさまゲスト出演させたのが深夜ラジオの「JUNKサタデー エレ片のコント太郎」(TBSラジオ 2020年5月2日放送)だった。世間は緊急事態宣言で外出自粛の真っ只中、小堀は電話で出演。エレキコミック(やついいちろう、今立進)とラーメンズの片桐仁が、この状況下で小堀はどう生きているのか近況を尋ねた――。

< 2020年5月2日放送「JUNKサタデー エレ片のコント太郎」(TBSラジオ)より >

やつい「ノンフィクション見て衝撃を受けて先週喋らせて頂いたんですけど、ネタ見せをサボってネタも作らずパチスロをやってらしたんですけど、今はちょっと厳しいんじゃないんですか?」

今立「もう全店舗(休業)ですよ」

小堀「(生活は)なんとかなってんだよね。パチンコもパチスロもね緊急事態宣言になる前に、ちょっと専門的な話になるけどいいかな?」

やつい「ちょっと聞くだけ聞かせてください」

小堀「(出玉率の)設定っていうのがあってさパチスロは。俺クラスになるとわかるの、設定が低いか(高くして)出してるなとか。もう一か月半ぐらい前かな、店が死んでるんだよね」

片桐仁「店が死んでる!?」

小堀「そこで金を入れたらもうダメなの。俺は(トータルで)プラス出してるからそこじゃもう打たない。だから打ってない。1か月半ぐらい触ってないかな」

(略)

やつい「小堀さんの主な芸人活動としてはギャラ飲みがあったじゃないですか、タンクトップの社長さんと飲むやつあったじゃないですか。あれとかちょっと厳しいんじゃないんですか?」

小堀「今はだから出来てないよね。番組(ザ・ノンフィクション)がけっこうみんな面白いって言ってくれて、あれで社長に振り込んでもらったりね。飲みもしないで」

片桐「あのタンクトップの社長が振り込んでくれたんですか?」

小堀「振り込んでくれる」

今立「飲まなくても振り込んでくれることになったんですか」

小堀「そうそうそう!」

片桐「クラウドファンディングみたいだな」

やつい「面白かったからってことですか、ご祝儀?」

小堀「ご祝儀ご祝儀。だから何とかなっちゃうんだよね。まあまあ借金返さなくちゃなんないけど。これ(コロナ)続くとキツイけどね」

そして、「ザ・ノンフィクション」の反響に言及。放送後、追い風が吹いているらしく小堀の語り口は弾んでいた。

< 同上より >

小堀「番組が終わってまだ10日ぐらいしか経ってないのに、連載が2本決まってね。そこにエレ片(の出演)でしょ。あとねAbemaTVの「長州力を笑わせろ」とかいう、クズ芸人代表とかいって俺それも出るんだよね」

やつい「売れてきちゃってるじゃないですか」

小堀「なんかクズ芸人ブームみたいなね。クズ芸人祭りっていうかね。すごいですよ、ちょいクズおやじとか、ね、そういうの流行るのかなと思って」

スタジオ「(爆笑)」

今立「(クズっぷりは)ちょいのレベルじゃないですよ小堀さん」

やつい「ちょいクズおやじで行こうとしてるんですか今?」

小堀「うん、ちょいクズおやじ。いいかなと思ってさ」

今立「レオン的なやつね」

小堀は「ザ・ノンフィクション」の中で、芸人の売れる売れないに関してこう発していた――

「(芸人を)結局辞めない最大の理由は、これね何が起こるかわかんないんすよ本当に。ボクは現場にいたから(そう言える)。絶対ムリだよこいつってヤツが何人も(表舞台に)出てきてんですよ。たいした努力もしてない芸でですよ。だから俺もあきらめることねぇなって」――。

芸ではなく生き様で、バラエティではなくドキュメンタリーで耳目を集める小堀。果たしてここからさらに何かが起きるのか? その行方にかかわらず、R-1もM-1もくだらないと言い切った彼にはこの時点で暫定的に、「N-1(ザ・ノンフィクション芸人)グランプリ」の称号をと思う。

そして、この「エレ片」では、バカバカしくも重要な知られざる真実が明かされた。

< 同上より >

やつい「(サラ金で)自分の名前だとお金が5万までで、久本雅美って出すと50万円借りられるって」

片桐「あれホントなんですか?」

小堀「ホントなんだよ! だから辞めたくなかったんだよね。でも、ホントあのシーンは残ってないけど、『おまえ何でワハハに残りたいんだよ』って、そしたら『喰さんと一緒にネタを勉強して』とか言うと思ったんじゃない? 『社長(喰さん)と一緒に勉強するのが僕は大好きなんです』って言うと思ったんだよ。テレビカメラ来てるし。そしたら俺サラ金の話しちゃってさ。(喰さんに)怒られてさ」

やつい「久本の名前出すと金借りられるんですよって言っちゃったんですね」

小堀「そうそうそう」

片桐「それウケたでしょう」

小堀「周りはウケたんだけど社長キレてさ」

スタジオ「(爆笑)」

小堀「本当に言うとそれなんだよね」

片桐「未公開シーンですね」

やつい「本当のクビの理由はそれなんですか?」

小堀「それそれそれ!」

どっちにしろたまらなく可笑しい。この「エレ片」での小堀出演は約45分という長尺となった。「ザ・ノンフィクション」を覆う独特の緊張を抜け出て、小堀のC調さ、持ち前の愛嬌が溢れた。今立が「金言の連発でしたね」と感想を述べたがまさしくだった。

もし、「ザ・ノンフィクション/52歳でクビになりました。~クズ芸人の生きる道~」をすでに観たか、これから観るとしたら、この「エレ片」を必須版の本人コメンタリーとして、切り離さずのワンセットにしましょう。

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