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検察庁法改正案について

 私は、内閣委員会でも法務委員会でもなく、検察庁法改正案の法案審議に直接関わっている訳ではないですが、地元から尋ねられることに、どの様に答えているのかを綴ります。

 まず、「コロナで大変な時期に、どさくさに紛れて検察庁の定年延長に関する法案審議をするのはタイミングが良くない」とよく尋ねられます。

 今国会には、52本の法案と、16本の条約の審議が、既に成立したものも含め、行われています。

 私も所属する経済産業委員会で、5Gとデジタルプラットフォーマーに関する法案審議に立ちました。

 コロナ対策で必要とされる補正予算、そして、第2次補正予算の成立も含め、迅速な成立が大切ですが、それ以外にも国民生活に取り重要な法案は存在しています。

 同時進行で成立に取り組まなければなりません。

 三権分立に反するとの指摘もあります。

 しかし、検察は、司法ではなく、行政機関ですから、検事総長や次長検事、検事長の任命権はもともと内閣で、天皇陛下が認証します。

 検察官は起訴不起訴の公訴権の独占と捜査権を持ち、強力な権力を有するが故、国民社会にとり、監視やけん制を人事面から行うのは内閣に課せられた重要な役割でもあります。

 もちろん総理をも逮捕する強大な権力を持つ検察が、人事面で委縮し、国民の負託に応えられなくなるのは、本末転倒です。

 大切なことは政府と検察の牽制関係が適切に保たれることであり、どちらかが恣意的に権力を行使すると いうことはあってはならないし、適切な関係と検察の中立性と独立性を維持する為には何が大切かを模索することが、その本質であると考えます。

 その問題意識で、定年延長の検察庁改正案を考えるべきだと思います。

 また、今回の改正案は、黒川弘務東京高検検事長を次期検事総長にする為の内容という話もありますが、検察庁法改正案の施行は、2年後の令和4年4月1日です。

 1957年2月8日生まれの黒川検事長は、令和4年の2月8日に65歳となりますから、全く関係ありません。

 そもそも、この法案が存在しなくても、黒川検事長が検事総長となるのは可能です。

 しかも、検事総長の定年は今でも、65歳ですから、2018年7月25日に検事総長に就任した稲田信夫検事総長は、検事総長の平均在任が慣例で2年間とはいえ、65歳になる2021年8月14日まで、退官しないことは、制度的には可能です。

 稲田検事総長が退官しない限り、黒川検事長が次期検事長には当然なれませんし、検察庁法第25条に規定されているように、その意思に反して、解任することは不可能です。

 検察庁法改正案は、国家公務員の定年年齢を65歳にすることに合わせて、検察官の年齢も65歳とする内容です。

 一般の国家公務員の定年は60歳、検察官は63歳ですが、65歳までの定年延長は、年金支給開始年齢と連動しているので、現在の支給開始が64歳となっている現状で、今回の法改正が成立しなければ、検察官は64歳の1年間、年金が無い状態が生じます。

 勤務延長が、検察官にも適用されると解釈変更が生じたことに、批判がありますが、事の発端は、年金接続の問題が背景にあります。

 そして、論点として、改正案では、65歳までの定年延長に加え、最大3年の勤務延長制度の運営の基準が曖昧であることの懸念が指摘されています。

 この懸念の根底には、政権の恣意性と、検察の無謬性が暗黙の前提になっている気がしますが、核心は、民主国家として、双方の権力のバランスと牽制にあり、そのあるべき姿は、形式的な、静態的なものではなく、国民の関心と自由闊達な公開の場での議論で、動態的に模索し続けることが大切だと考えます。

 このテーマは、内容が深遠すぎるので、引き続き考えます。

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