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与党賃料支援PTが作成した「事業継続のための家賃補助スキーム」に対するコメント

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【1.ハイブリッド型の家賃補助制度の創設】②に書かれてある「自助・共助・公助」。これはページ0に書いてある事を強調する為に再度書かれてあります。私も4月11日のブログ(一社でも多くの企業が生き残る為に「家賃支払いモラトリアム法」が必要)に書いた事です。
しかし、「自助・共助・公助」を謳うならば、例え1ヶ月50万円(半年で300万円)だったとしても、お金をあげてしまうより、「家賃支払い猶予(立替払い)」という考え方で、テナントが少額ずつでも返済をしていく方が理念に沿っているのではないでしょうか。他に道が無い個人事業主や小規模企業者以外はそうするべきだと今も思っています。

また、給付の流れとして政策融資(公庫融資・制度融資)が前提となっていますが、融資にとって一番重要なポイントは「使途」です。
元銀行員だった私から言わせて頂くと、
「立替払い」をした方が確実で、審査も簡単になります。不動産を所有するオーナーの方がクレディビリティが高いからです(個別のテナントに融資金を振り込む方が、与信判断も使途の管理も難しくなります。オーナーは不動産を持って逃げる事も出来ません)。

【2.地方創生臨時交付金の拡充と地方での独自の取組への支援】
これは良いと思います。これで充足が可能ならば、1社あたり全国一律50万円という不平等をカバーできるかもしれません。但し、言うまでもありませんが、相当規模の交付金が必要になります。返済の必要がない給付金(協力金)なら、ほぼ全社が申請するでしょう。単純に事業所数と平均家賃をかけると半年で約20兆円。その半分の社数が該当するとしたら、予算は約10兆円必要になります。

【3.賃貸借契約の維持への取組み強化】
これは裁判所の過去の判例を引き合いに、コロナ禍のような事態の時に不動産オーナーは契約解除を言い出せないはずだとして、政府にその周知を徹底させようとしているものです(民法の解釈)。
これをPTで言い出した自民党の議員(弁護士あがり?)は良かれと思ったのでしょうが、リアルな事業の世界をあまり知らないのでしょう。
確かに最近まで、日本の建物の賃貸借は通常の建物賃貸借契約(普通借家)が一般的でした。そして、普通借家では賃借人の保護が重視されていました。しかし、定期建物賃貸借契約(定期借家)の制度が導入されてからは徐々にその概念が浸透し、今となっては一定規模以上の不動産オーナーは定期借家を導入しています。そして、その契約の中身は普通借家より厳しく設定できる為、テナントを退去させたり、退去する際には残りの賃料を全額払わせたり、が可能になっています。私のまわりには、定期借家に認められているルール〔*借賃の改定に係る特約〕を盾に強硬な態度をとられていて、猶予・賃料交渉ができないという経営者が多く存在します(因みに、私の会社は7割が定期借家契約です)。

* 借賃の改定に係る特約-
普通借家の場合は賃料増減請求権(借地借家法第32条1項)が認められており、これは当事者間の合意があったとしても排除することができませんが、定期借家契約ではこれを特約により排除することが可能です(借地借家法第38条7項)

いずれにせよ、与党家賃補助スキームの
全国一律で50万円という上限は、中堅企業(特に家賃が高い都市部展開をする)にとっては全く足りないものですし、小規模企業(特に家賃が安い地方展開をする)にとっては必要以上の金額かもしれません。つまり平等ではないのです。もちろん、これで多くの事業主が助かるのはありがたい事ですが、より多くの雇用を生み出し、より納税額が大きい中堅以上が置き去りにされたら経済へのダメージも計り知れません。

エリア別や事業所数別の上限設定が難しいというなら、野党案(家賃支払い猶予法案)とのフュージョンか、劣後ローンや優先株での資金注入を幅広に、思い切った額で実現する必要があります。

39県の緊急事態宣言解除と共に気を緩める事なく、これから数日内で明確な施策を決定して頂きたい。そうしなければ、また多くの企業が消えて無くなっていきます。

飲食業、その他、お客様に来て頂いて商売が成り立つ業種にとっては、これからが正念場なのです。

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