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北極海の氷面積が最小 - 北極での石油開発を考える

観測史上最少となった北極海の氷面積

27日、北極海の氷の面積が過去最少となったと米航空宇宙局(NASA)が発表した。NASAの衛星データによる記録で過去最小だった2007年9月の417万平方キロを下回ったという。

北極の氷は北半球の冬に成長し、夏に縮小することを繰り返すが、気候変動の影響が主要因となって例年面積が小さくなっている。今後数週間にわたって氷が溶けるシーズンが続くため、氷の面積最少記録は大きく更新されることとなる。

溶ける氷で広がる脅威

北極海では、氷が溶けることによりこれまで手つかずだった海域に人間の資源開発が及ぶという悪循環もはじまっている。

特に石油や天然ガス、そして漁業資源が開発のターゲットとなっており、北極海周辺の国々が北極海に進出を始めた。

ロシアの政府系企業であるガスプロムは、同国のペチョラ海に北極圏における初の石油掘削基地を設置し、まもなく掘削を始めようとしている。

ロシアの石油開発は、自然環境の厳しい土地で行われているためパイプラインのメンテナンス不備などによる原油流出が頻繁に起こっている。グリーンピース・ロシアの調査によれば、1万件以上、合計500万トンの原油漏れが毎年起きているという。

この量は、2010年に大問題となったメキシコ湾での原油流出事故の7倍の原油に当たるというから驚きだ。

メキシコ湾で起きたような流出事故が北極の海上石油掘削基地で起これば、厳しい気象条件においての作業は困難であることから、北極海の脆弱な生態系は取り返しのつかない被害を受けることとなる。

ロシアの北極圏での石油掘削にスポットライト――グリーンピースの活動

ロシア企業によって、人類史上はじめて北極圏に恒常的な石油掘削基地が設置され、いよいよ石油掘削が始まろうとしている。

グリーンピースは、世界が十分に注目していない中、このような北極圏の開発が進むことを危惧している。そこで保有する砕氷船アークティック・サンライズ号を、石油掘削基地への抗議活動のためペチュラ海に派遣した。

これは、危険な北極での石油採掘の問題点に世界中の注目を集めるためだ。

先週から始まったこの活動には、グリーンピース・インターナショナル本部の事務局長自らが船に乗り込んで参加した。掘削基地に15時間ぶら下がるなどの抗議で世界中の注目を集めた。ニューヨークタイムズ、BBC、ガーディアンなどの主要海外メディアだけではなく、日本のNHKなどでも報道されている。

北極海を保護区に

グリーンピースは、北極海における資源開発をやめ、北極海を保護区として定めるように国連に訴えるキャンペーンを6月に開始した。すでに、ポール・マッカートニーなどの著名人とともに世界中から150万人以上の署名が集まっている。

キャンペーンについてはこちらから。

原発問題に揺れる日本では、北極海開発問題への注目度は低いかもしれない。

しかし、北極の氷が観測史上最少を記録した年に、北極における本格的な石油開発が始まることの意味を考えることも重要だろう。

グリーンピースの北極での抗議活動がそのきっかけとなればと思う。

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