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【110カ月目の福島市はいま】原発事故から10年目の「小鳥の森」。3密無いが散策すれば被曝リスク…依然として放射能汚染続く〝オアシス〟

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野鳥の鳴き声がこだまする森に「密」は無かった。しかし、放射線は今なお飛び交っている─。「愛鳥週間」にあわせて、今年も「小鳥の森」(福島県福島市山口)を歩いた。原発事故で汚染させられた野鳥のオアシスは、生態系保護のため除染作業を最小限にとどめ、自然減衰に任せているが、依然として高い所で0・4μSv/hを上回った。原発事故前の空間線量と比べると10倍だが、地元住民からは「この程度で『被曝リスクがある』なんて言わないで欲しい」との声も。原発事故から10年目のオアシス。放射能汚染の現実がそこにはあった。


【高い所で0・4μSv/h超】

 静まり返った森。ウグイスなど野鳥の鳴き声がこだまする。木々の葉は濃い緑色になった。そのすき間から真夏のような強い陽射しが照り付ける。入り口に立つだけで、森の素晴らしさを毎回、実感させられる。しかし、残念ながら空間線量は最高で0・4μSv/hを上回る。原発事故による汚染が今なお続いている。

 車が通れるようなアスファルト舗装の道路は0・2μSv/h前後だった。原発事故の翌年、2012年5月に初めて訪れた際には手元の線量計は1・3μSv/hを上回っていたから、除染の効果があったとはいえる。だが、原発事故が起こる前の福島市は0・04μSv/h前後だった事を考えると、依然として事故前の5倍の空間線量であるのもまた、事実だ。

 散策用に整備された小径に入って行くと、手元の線量計は0・3μSv/hを上回り、場所によっては0・4μSv/hを超えた。黒い蝶が花の蜜を吸っている。都会の喧騒も新型コロナウイルスの感染リスクも忘れさせてくれる〝オアシス〟だが、ここを散策する時には被曝リスクが付きまとう。

 7年前、2013年5月に訪れた際には高い所で2μSv/h前後あった場所が今は0・4μSv/h前後だから大幅に下がったと言えなくも無い。原発事故直後の2ケタを軽々と上回る空間線量を知っている住民からすれば「0・4μSv/hを気にしていたらここで生活出来ないよ」と言うだろう。だが、汚染は続いている。森は「鳥獣保護区」に指定されているが、動物たちは「保護」されているどころか、ずっと被曝リスクにさらされているのだ。



1μSv/hを上回るような地点は無かったが、依然として「小鳥の森」の空間線量は場所によって0・4μSv/hを超える。測定結果はホームページでも定期的に公開されている=2020年05月12日撮影

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