- 2020年05月14日 07:43
東京都の出口戦略案を小池知事に提言
1/2こんにちは、都議会議員の鈴木邦和です。昨日、都民ファーストの会として「東京都の出口戦略(ロードマップ)案」を小池知事に提言しました。資料の全文は党公式noteで公開していますが、私自身この戦略の策定を担当してきたこともあり、本記事では出口戦略の全体像と共にどのような考えに基づいて作ったのか解説します。
♦︎東京の現状認識と出口戦略の必要性
東京都内のコロナ感染流行は未だ予断を許さない状況ですが、直近の感染者数は確かな減少局面に入っています。これは一重に都民の皆さまお一人おひとりの行動変容と、事業者の方々のご協力による結果です。
緊急事態宣言に基づいた行動制限・休業要請は、医療崩壊による死者の多発を防ぐことが目的でした。一方で、この間の個人の生活・企業活動・子供たちの教育などへの影響は、一刻の猶予も許さないほど厳しい状況にあり、多くの方々は出口の見えないトンネルの中で不安を抱えていらっしゃると思います。
東京都は、現時点で全ての制限を即時に解除することは出来ません。しかし、どうしたら解除できるのか、そして、いつになったら解除できるのか、この先の見通しを都民の皆さまにお示しすることが、わたしたち政治家の仕事だと考えています。そうした思いから、4月末より都民ファーストの会としての出口戦略の検討を進めてきました。
♦︎出口戦略には解除の基準と段階が必要
今回の戦略の策定にあたって、国内の事例に加えて25ヶ国ほどの海外事例を調査して、専門家の方々からもご意見を伺いました。国内の出口戦略の議論では「解除基準」に注目が集まっていますが、多くの諸外国では基準よりも「段階的な解除」が戦略の柱となっています。以下に一例としてスペインの出口戦略図を紹介します。
各国の出口戦略に共通するのは「感染拡大リスクの低い行動・施設から段階的に解除していく」という基本的な考え方です。この段階的な解除は、リスクの低い活動を早めに解除できるという点だけでなく、性急な全面解除によって感染が再び急拡大するのを防ぐという点からも有効です。よって、今回の私たちの出口戦略案でも「①段階的な解除」と「②解除基準」の2つを柱として構成しました。
♦︎各施設・行動の段階分け
まず1つ目の柱となる「段階的な解除」についてです。以下の表は、諸外国が各行動・施設をどのような段階分けしているのか一例を示したものです。
この表にもあるように、公園利用・屋外スポーツ・学校などは各国共通して早期に解除している傾向があります。その次に博物館・美術館などの公共的施設や飲食店以外の商業施設、娯楽施設が続きます。その後に、飲食店や大規模イベントなどが全面的な解除となる国が多いです。
本来はこうした海外事例も踏まえた上で、日本のクラスター班が収集している感染経路データに基づいて、各施設や行動のリスクを評価して最終的に段階分けを確定させるべきです。しかし、この感染経路のデータは現在公開されていません。データが非公開だとリスク評価が難しいだけでなく、外部から専門家会議の検証も難しい状態です。私たちとしても、迅速にデータを公開するように関係各所に求めており、データ公開後にさらに詳細なガイドラインの策定に入りたいと考えています。