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立民・福山幹事長が固執した尾身副座長の発言 “失礼対応”で抗議ツイートがトレンド1位に

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写真AC

11日の参院予算委員会で、立憲民主党の福山哲郎幹事長が新型コロナウイルス感染症対策専門家会議副座長である尾身茂氏に対して行った質疑の姿勢が物議を醸している。

直前の週末に500万件近くツイートされた「#検察庁法改正に抗議します」というハッシュタグに倣い、「#福山哲郎議員に抗議します」というハッシュタグが拡散。一時トレンド1位を記録した。

まず問題となったやりとりを簡単に紹介する。

福山議員は、4日に開かれた専門家会議の会見上で「実際の感染者は把握している数の10倍いるか」という質問に尾身氏が「おっしゃる通り」と答えたとして質問を進めた。現在PCR検査で報告されている感染者数と比較して、実際は10倍以上の感染者がいるのではないかと指摘すると尾身氏は「大事なポイントだ」としたうえで、

「東京都の陽性率の分母分子は今まで不完全だったが、しっかりした分母が出てきて、分子、ある程度正確に7%とかという数字が出た」

とし、4日の専門家会議を踏まえた見解を述べようとした。しかしそこで福山議員が、「私が言っていることについて答えてください」「10倍(というのは)、おっしゃる通りって言われたんですから」「短くしてください」などと立て続けに口を挟んだ。

尾身氏が何とかまとめて答弁を終えると、福山議員は「まったく答えていただけませんでした。残念です」と言い放った。

この態度が感染拡大対策に奔走する第一線の専門家に対して不適切なのではないかと抗議の声が上がっている。

実際にどのようなやりとりが行われたのか、福山議員が引用した4日の専門家会議会見における尾身氏の発言とともに振り返る。

冒頭で「大変なご尽力に感謝申し上げます」

共同通信社

参院予算委員会で2人目の質問者として質問に立った福山議員は冒頭、新型コロナウイルスの死者へのお悔やみ、患者へのお見舞い、医療従事者への感謝を述べたあと、まず週末に話題となった検察庁法改正案について安倍首相らに質問。

質問開始から約10分経過後、新型コロナのPCR検査にテーマを移して尾身氏に答弁を求めた。

福山議員:今日、尾身専門家会議副座長に来ていただいています。まずはこの間の大変なご尽力に心から感謝申し上げます。

尾身先生、ひとつ教えてください。
先生は5月4日の記者会見で、「日本の陽性の感染者は、PCR検査で捕捉できない無症状の感染者も含めると10倍以上いるという推測ができる」というある専門家の指摘に対して、

「無症状、あるいは軽症の人を見落として、実際は10倍とおっしゃいましたかね?おっしゃる通りです。当初から無症状、あるいは軽症の人が多くて、そういう人を我々の今のシステムでは探知できないということはおっしゃる通りです。今の方法では本当ならやるべき人が検査をやれていない人がおられますよね」

と答えておられます。

尾身先生、無症状あるいは軽症の感染者は結果として陽性者の10倍、つまり今、日本全体で症状出てる人も無症状、軽症の人も含めて、10万人程度いるという認識ですか?教えてください。

会見での「おっしゃる通りです」発言の真意

共同通信社

ここで福山議員が引用した、4日の会見での尾身氏の発言を検証する。

専門家会議の質疑応答の中でインターネット報道メディアのIWJが、総理会見での「感染の第1波は乗り越え、第2波はピークアウトしつつある」という現状認識について楽観的ではないかと指摘。WHO事務局長上級顧問・渋谷健司氏の「PCR検査で捕捉できない無症状の感染者は、検査で陽性と判明している感染者数の10倍以上いる」という見解を紹介し、専門家会議の認識について聞いた。

これに対して尾身氏は、

「PCRをやっていないから、無症状・軽症の人を見落として、『実際は10倍』っておっしゃいましたかね?おっしゃる通りです。それは当初から、無症状あるいは軽症の人が多くて、そういう人を我々の今のシステムでは探知できないというのはおっしゃる通りです。そうなのかと聞かれたら、それはおっしゃる通りです」

さらに「今後改善されることはないのか」という質問に対しては、

「いまの我々の方法では、それでもまだ本当ならやるべき人が、必ずしも(PCR検査を)やれていない人がおられますよね。そういう意味で、必要な人にしっかりした医師の判断でできる人がすべて(検査できるレベルに)いっているわけではなくて。PCRのキャパシティがまだ少ないので、それを解決するために6つの方策をやらなくちゃいけないので、なるべく早く、レベルを上げて、スピーディーに必要な人に迅速に検査をできることが必要だと申し上げています」

と答えた。

この発言を引用して、福山議員は尾身氏に対して「実際の感染者は10倍いるという認識か」と尋ねたが、ここに誤解があったようだ。尾身氏が「おっしゃる通り」と発言した真意は、「10倍いる」ではなく「無症状・軽症者が多く、そういう人を今のシステムでは探知できない」という点だった。それについては実際に、予算委員会で尾身氏自身が以下のように説明している。

尾身副座長:お答えいたします。

先生の質問は2つのことがあると思います。1つは、感染者が実際報告されたものに対して10倍いるのかということ。それから、今のシステムがすべての感染者を捕捉しているかという話であります。

私は当初からこの感染症は症状が軽い、あるいはない人がいるということを申し上げていて、今のシステムがすべての感染者を引っかけている(わけではない)…これは当初から言っていることで、実はこれは感染症の…

(福山議員が大きく頷いて「はい」)

“10倍”という話は、私はそれについて「おっしゃる通り」と言ったわけではなくて。
それはもしそう(受け取られたの)であれば、私の説明が下手だったのかもしれませんが、私の意図は、10倍か15倍か20倍というのは今の段階では誰でも分かりません(ということ)。

したがって私が申し上げたのは、報告された感染者をすべてを捕捉しているわけではないというのはおっしゃる通りというのはこれはこの感染症の特徴からして、まあそういうことだと申し上げました。

クラスター班・西浦博氏の「10倍以上かも」は推定にすぎない

共同通信社

これを受けて福山議員は、会見での尾身氏の発言について「わざわざ10倍と確認した後“おっしゃる通りです”と言われた」などと指摘。

一方で、同じ政府専門家会議・クラスター班の西浦博氏が4月末に「現在確認されている感染者数は氷山の一角。実際は10倍以上かもしれない」と見解を示していたとし「約10万人いるということになる」と説明した。そして、他国では感染者数の中に軽症者・無症状者が含まれるとして、その感染リスクについて尾身氏に再度、

「感染者は10万人前後いるというのは、蓋然性があるということでよろしいんでしょうか」

と質問した。

答弁に立った尾身氏は、西浦氏の発言は統計学に基づいた「推定」にすぎないと語り、席から福山議員が投げた「だから10倍の蓋然性はあるということですね」という質問には、「私は10倍かどうかと言うことはできない」と明言を避けた。

続いて福山議員は安倍首相に対しても「西浦先生が10倍、(尾身)先生は10倍か20倍か30倍か分からないとおっしゃった」と「10倍以上」という発言をもとに、現在の感染状況について認識を尋ねた。

安倍首相は、PCR検査で把握されている感染者数よりも実際の感染者数が多いと思われる点は自身も認識していると認めた上で、

「尾身先生がおっしゃったように、それがどれくらいいるのかと確たることは申し上げられない」

と説明している。

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