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【佐藤優の眼光紙背】ソン・イルグク氏に関する山口壮外務副大臣の発言を支持する

佐藤優の眼光紙背:第141回
 山口壮外務副大臣が、24日、韓国の俳優ソン・イルグク氏が、「光復節」(8月15日を韓国では日本の植民地支配から解放された記念日としてこう呼ぶ)に韓国体育大学水泳部学生らと一緒に慶尚北道蔚珍郡竹辺から竹島までのリレー遠泳に参加したことをめぐって、「申し訳ないが、これから日本に来るのは難しくなるだろう。それが国民的な感情だと思う」と述べたことを、韓国のマスメディアが大きな問題にしている。

 25日付、韓国・中央日報日本語版(電子版)は、こう記す。

ソン・イルグク、山口副大臣の「日本に来られない」発言に「大韓、民国、万歳!」

俳優ソン・イルグクが、「今後日本に来るのは難しいだろう」という日本外務副大臣の発言対し、「大韓、民国、万歳!」とすがすがしい言葉を送った。

ソン・イルグクは24日午後、ツイッターに、「日本外務副大臣『ソン・イルグク、これから日本に来られない』、何とも言う言葉がない…。ただ、私の3人の息子の名前でも呼んでみよう。大韓(テハン)、民国(ミングク)、万歳(マンセ)」とコメントした。

この日、日本の山口壮外務副大臣が、光復節(解放記念日)記念独島(ドクト、日本名・竹島)水泳で話題になったタレントのソン・イルグクについて「日本訪問は難しくなるだろう」と述べた直後に出てきたコメントだ。

ソン・イルグクは不快な感情をごちゃごちゃと表現する代わりに、自分の三つ子の息子テハン、ミングク、マンセの名前を呼び、日本への怒りを表したとみられる。

24日の共同通信によると、山口壮副大臣はある放送に出演し、独島水泳行事に参加したソン・イルグクについて、「申し訳ないが、これから日本に来るのは難しくなるだろう。それが国民的な感情だと思う」と述べた。一国の副大臣が韓国人俳優の行動をめぐり感情混じりの報復性発言をするのは極めて異例と評価されている。

ソン・イルグクは15日、光復節を迎え、歌手キム・ジャンフンや韓国体育大学水泳部学生らと一緒に慶尚北道蔚珍郡竹辺−独島間(直線距離220キロ)をリレーで泳いた。すでに日本の衛星テレビはソン・イルグク出演の韓国ドラマ「神と呼ばれた男」の放送を延期している。

 27日の朝日新聞も、韓国の報道を受けて、山口副大臣の発言に関して、「韓国で反発が広がっている」として、こう報じている。

竹島問題、韓流スター来日阻む? 外務副大臣発言で波紋

 韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領の竹島(韓国名・独島〈トクト〉)上陸を機に日韓関係が悪化するなか、山口壮外務副大臣が24日、竹島関連のイベントに参加した韓流スター、ソン・イルグクさんの訪日が「難しくなる」と述べたことに対し、韓国で反発が広がっている。

 韓流ドラマ「朱蒙(チュモン)」に主演した俳優のソンさんは歌手や学生らとともに、植民地支配からの解放を祝う8月15日の「光復節」に合わせて竹島までリレーで泳ぐイベントに参加。山口副大臣は24日、民放テレビでこのことに触れて「申し訳ないが、これから日本に来るのは難しくなるだろう。それが国民的な感情だ」などと述べた。

 これに対し、ソンさんがツイッターで「言葉がない」「大韓民国万歳」などとつぶやくと、「日本は俳優とまでけんかするのか」「(日本に)行かなくたって、韓流スターは多くの国で名を上げられる」といった反応が相次いだ。

 25日付の韓国紙もこぞってこの問題を取り上げ、「政府高官が特定個人の行動に報復するような発言をしたのは極めて異例」(国民日報)などと報じた。

 ソンさんのイベント参加をめぐっては、BS日テレとBSジャパンが、21日に予定されていた主演ドラマの放送を延期している。(ソウル=貝瀬秋彦)(8月27日、朝日新聞デジタル)


 筆者は、山口副大臣の発言を支持する。

 竹島は、わが国固有の領土であるにもかかわらず、韓国によって不法占拠されているというのが日本政府の立場だ。10日、李明博氏は、韓国大統領としてはじめて竹島に上陸し、日本国民の感情を著しく傷つけた。

 さらに14日には、天皇陛下への謝罪要求を行い、15日には慰安婦問題について、「2国間の次元を超えた戦時の女性人権問題であり、人類の普遍的価値に反する行為」と主張した。慰安婦問題がナチス・ドイツによるユダヤ人女性に対する強制避妊、人体実験、虐殺などと同列に扱われる流れを李明博大統領はつくろうとしている。

 さらに17日に野田佳彦首相が李明博大統領に宛てて送った親書の受け取りを韓国外交通商部は拒否し、23日に返送してきた。友好国の関係においては、考えられない外交的に非礼な行為である。

 このような事情を背景に、山口副大臣は、ソン・イルグク氏に関して、「申し訳ないが、これから日本に来るのは難しくなるだろう。それが国民的な感情だ」と述べたのである。国民感情を正しく伝える機能を山口副大臣は果たしている。きちんと仕事をしているということだ。

 山口副大臣は、もともと外務官僚(英語研修)だ。外交官として能力が高いのみならず、腹も据わっているので、外務省に残っていれば確実に局長級以上の幹部になっていた人物だ。戦略的思考もできる。ソン・イルグク氏に関する発言も、現時点で日本の国民感情を伝える上で必要と考え、山口副大臣は行ったのである。

 一部に山口副大臣の発言を撤回させようとする動きがあるが、それは間違いだ。山口副大臣には、是非、筋を通して欲しい。(2012年8月27日脱稿)

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プロフィール

佐藤優(さとう まさる)
1960年生まれ。作家。1985年に外務省に入省後、在ロシア日本大使館勤務などを経て、1998年、国際情報局分析第一課主任分析官に就任。 2002年、鈴木宗男衆議院議員を巡る事件に絡む背任容疑で逮捕・起訴。捜査の過程や拘留中の模様を記録した著書「国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて」(新潮社、第59回毎日出版文化賞特別賞受賞)、「獄中記」(岩波書店)が話題を呼んだ。
2009年、懲役2年6ヶ月・執行猶予4年の有罪判決が確定し外務省を失職。現在は作家として、日本の政治・外交問題について講演・著作活動を通じ、幅広く提言を行っている。近著に「功利主義者の読書術 (新潮文庫)」がある。

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