記事

ビジネス書は本当に役に立つのか?田端信太郎氏「司馬遼太郎だって参考になる。他ジャンルの棚にも目を向けるべし」

1/2

 コロナ禍でコミックや児童書、学習参考書とともに売り上げを伸ばしているという「ビジネス書」。

 ビジネス書評家の土井英司氏は「苦しい中で次の一手をどうするか、あるいは株価が落ちている中で次はどこに投資すべきか。また、自己啓発、精神安定剤的な意味もあって、昔からビジネス書は不況になると売れると言われている」と話す。

・【映像】元Amazonカリスマバイヤーの書評家に聞く"良いビジネス本の見分け方"

 ただ、「読んだからって成功するの?」「著者しか実践できないようなことしか書いていないものは出版しないでもらいたい」など、ビジネス書に対する疑問は尽きない。そんな中、「100人分のエッセンスを取り入れれば、100倍成功できる」との仮説を立て、起業家が書いた100冊のビジネス書を読み漁り、教えを全て実行するという企画を試みたのが、フリーライターの堀元見氏だ。

100冊読破にチャレンジも「似たような教え、矛盾する教えばかりだった」


 堀元氏は古書店で100冊(約1万8000円分)のビジネス書を購入。「鏡の中の自分に笑いかける」「夢や希望をどんどん語る」「年下の女性も“さん付け”にしろ」「写経をしてみる」などの気になった言葉をGoogleスプレッドシートに記録し、日々の行動に取り入れていったという。「例えば“ベッドから出る勢いが1日の勢いになる”って書いてあったので、起きる時は飛び起きるようにした」。

 ところが36冊目、書き留めた教えが564に達したところで、試みは挫折してしまう。「似たような教えばかりが出てきて、もう100冊読んだことにしていいんじゃないかと。逆に、“カフェではマルチタスクで仕事を進めろ”という教えと、“カフェではマルチタスクは絶対に避けろ”という教えなど、矛盾するものもたくさん出てきてしまって、むしろ生活が良くなるどころか、ちょっと暮らしにくくなってしまった。それまで読んだ本にも“諦めるあなたもすばらしい”と書いてあったので…」と笑う。

 得られた成果について尋ねると、「変な教えみたいなものを見つけられたのは面白かった。結果としては体験したことをまとめた記事がバズッたので、書籍代は回収できたかな」と話す堀元氏。最も納得できた教えは「成功本を捨てよ」だと明かした。

「古本はダメ。条件設定によって役立つかどうかは異なる」


 数多くのベストセラーを手掛けてきた幻冬舎の編集者・箕輪厚介氏は「“この本さえ読めば成功できる”というようなことは100%あり得ない。必死に仕事をし、生きていく中でヒントが一つでもあればいいなと思って読むものだ。その意味では、戦っていない人にとってはただの文字の羅列だ。猛烈に答えを望んでいない状態で読んでも意味はないし、アウトプット前提で読むのが効果的ではないか」とアドバイスする。


 前出の土井氏も、堀元氏の経験談に対し「古本を買っている時点でダメだ。最近のものでなければ使えないし、逆に古典で良いものは古本屋にはなかなか出てこない。また、36冊を読まれたということだが、一つの業界のものや同じ職種に関してのものを30冊読んだ方が良かった。そうすれば、大体成功する。また、ビジネス書を読む時は、素直さがないと吸収できない。おそらく最初から半信半疑で読んでいる気がするので、“素直さ”が大事だと説いている松下幸之助の『道をひらく』を読むといいんじゃないか」と指摘。

 「残念なことだが、ビジネス書が売れる理由には、皆が成功してないからということがあると思う。僕がAmazonでバイヤーをやっていた時も、ある決算の入門書を買った人の6割ぐらいは別の出版社の入門書も買っていた。やはり解決できずに、次の手、次の本…となっているのだろう。

しかし、たとえば“朝を活用しろ”という教えは定型業務には向いていても、僕みたいなクリエイティブな仕事をするには向いていない。クリエイターは、情報やアイデアの組み合わせが起こる瞬間を捉えるために夜を活用することが多い。そのように、まず条件設定があると思う。また、ビジネス書は必要条件については教えてくれるが、最期は本人と話をしたり、実践して隙間を埋めていくしかない」。

あわせて読みたい

「読書」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    れいわの甘い危機管理が致命傷に

    田中龍作

  2. 2

    国際法秩序破る中国に世界的反発

    WEDGE Infinity

  3. 3

    橋下氏「熊本知事の後悔分かる」

    PRESIDENT Online

  4. 4

    東出の自虐発言に長澤まさみが涙

    女性自身

  5. 5

    河井氏問題巡る検察と朝日の癒着

    青山まさゆき

  6. 6

    供託金300万円没収も「勉強代」

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  7. 7

    研究者に転身 いとうまい子の今

    NEWSポストセブン

  8. 8

    自民党内「国賓中止はやり過ぎ」

    赤池 まさあき

  9. 9

    男子中学生と性交 40歳妻の素性

    文春オンライン

  10. 10

    日本にも「テスラ」は出現するか

    ヒロ

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。