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米「脱中国」新型コロナで加速

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トランプ米大統領と習近平中国国家主席 出典:flickr : White House

古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)

【まとめ】

・感染拡大は中国という国家の特殊性がもたらした人類の悲劇。

・アメリカは脱中国を加速。被害国の中国見る目も根幹部分で変化。

・コロナ大感染は、政治・外交安保の領域にも切迫した課題を生む。

日本を、そして世界全体を危機へと追い込む中国発の新型コロナウイルス感染をどう考えるべきか。私はこの大事件が少なくとも二つの異なる課題を突きつけていると思う。

第一の課題は当然ながらウイルス感染の防止である。

コロナウイルスの大感染という事件は表面だけみれば、あくまで人間とウイルスの戦いである。恐ろしい伝染性のウイルスをどう止めるか、が最大の課題となる。人間の命をどう救うか、である。

そのために国家はどうするべきか、国民はどうするべきか、緊急な対策を進めねばならない。この課題にはいまどの諸国も必死で取り組んでいる。

第二の課題は中国への対応である。

今回の感染は中国から起きた。その中国の特異な対応こそが感染をグローバルに広げた。

だから自国のこんごの対外的なあり方を考えるとき、中国にどう対処するかが課題となる。こんごの世界とか、国際秩序を考えるとき、どうしても中華人民共和国という特殊な国家の存在にぶつかるわけだ。

その中国に対する世界各国の態度はどうなるのか。

この課題は日本のいまの国政レベルでの議論ではふしぎなほど言及されていない。

以上の二つの課題がたがいに密接かつ複雑にからみあっていることは当然である。

私は以上の二つの課題などについて「新型コロナウイルスが世界を滅ぼす」(ビジネス社刊)という新著のなかで詳述した。だがここでは第二の中国という課題について論考したい。

▲写真 中国・習近平国家主席(2020年5月6日 北京)出典:中国政府ホームページ

このウイルス大感染が一段落した時点で世界での中国はどんな立場におかれるだろうか。

世界各国は中国をどうみるだろうか。

今回の事件は中国という国家の特殊性がもたらした人類の悲劇だともいえる。繰り返すが、コロナウイルスは中国で発生し、全世界へ広がっていったからだ。

だからアメリカなどの諸国では自国内のウイルス感染への防疫に全力を尽くしながらも、中国との過去、現在、未来にわたる関係に言及しながらの議論が続く。

どうみても、いまのアメリカにとっても、日本にとっても、国家の根幹にツメとキバをくいこませるコロナウイルスは中国という国からやってきたのである。この国難の原因は中国から飛来したウイルスなのだ。その意味だけでもこの大感染は世界の各国にとって中国に対する認識に大きな変化をもたらすことになるだろう。

その「変化」はこれまでの中国への警戒や懸念を一層、増すこととなるかもしれない。あるいは中国の強大なパワーを改めて認め、これまでの対中姿勢を融和的な方向へと変えるという「変化」になるかもしれない。

この点でやはり最重要なのはアメリカの反応だろう。アメリカはこのウイルス事件の前から中国には厳しい対決姿勢をとるようになっていた。中国の言動はアメリカの基本の利害や価値観を否定するに等しいとして、その抑止に力を入れていた。中国も激しく反発していた。そんな米中関係の対立構図のなかで起きたウイルス事件だった。

アメリカがウイルス拡散に際しての習近平政権の隠蔽を激しく非難し続けていることは、すでに広く報道されてきた。この非難の姿勢は時間が過ぎても変わらないだろう。いや時間の経過、ウイルスの拡大とともに、アメリカ側でのその非難はより先鋭に、より強固に、なったといえよう。

このアメリカの態度の険悪化はたぶんに中国の感染拡大後の言動によってあおられた。

▲写真 トランプ米国大統領(2020年4月8日 ホワイトハウス)出典:flickr / The White House

中国政府は感染の当初での隠蔽工作の非など、いっさい認めていない。むしろ逆にコロナウイルスが中国で発生した事実をも曖昧にし、否定までするようになった。「武漢にきた米軍将兵がウイルスを拡散した」とまで述べる中国政府高官が出てきたのだ。

その一方、中国政府は自国内でのコロナウイルス感染症はもう克服できたと宣言するようになった。その克服の方法は共産党独裁政権らしい大都市の武漢の完全閉鎖という、有無をいわせぬ強硬で大胆な措置だったことを誇るようにもなった。

住民の意思とか権利をおもんぱかる自由民主主義の国家の政権には、そんな効果のある方法はとれないだろう、と示唆するほどにまでなった。

中国政府はさらに他の感染諸国の防疫を支援する構えさえ、みせ始めた。被害の甚大なイタリアに中国人医師団を送りこんで、支援にあたるようにもなった。マスクや人工呼吸器をヨーロッパの感染諸国に提供すると申し出るまでにもなった。

▲写真 イタリアに到着した中国の感染症対策専門の医療チーム(2020年3月18日 ミラノ)出典: CDCCA

正体不明で危険なウイルス感染症を自国内で発生させ、大あわてだった被害国から余裕のある支援国へと立場がすっかり変わってしまったかのようなのだ。

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