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主張/「原発ゼロ」と財界/国民の安全はどうでもよいか

野田佳彦政権が進める「エネルギー・環境戦略」の検討作業の中で「原発ゼロ」の決断を求める国民世論がいよいよ明白になり、決断を引き延ばす野田政権や、原発推進に固執する財界・電力業界など「原子力ムラ」との矛盾が浮き彫りになっています。経団連、経済同友会などの財界団体は、「原発ゼロ」を選択肢の一つにした「エネルギー戦略」についてさえ「実現不可能」と切って捨てる態度で、原発からの撤退を求める国民を敵視する立場を露骨にしています。

国民に追い詰められて

 「きわめて残念」(長谷川閑史(やすちか)経済同友会代表幹事)、「原発ゼロでどういう事態になるか正しく理解されていない」(岡村正日本商工会議所会頭)―政府の「エネルギー・環境戦略」の検討作業の中で、国民の多数が「原発ゼロ」を求めていることが明らかになったことに対する財界首脳の発言です。国民世論に追い詰められ、敵意をむき出しにしているのは明らかです。

 野田政権は「エネルギー・環境戦略」の検討作業で、2030年の原発依存度として「0%」「15%」「20~25%」の3案を示して国民の意見を募ってきました。原発からの撤退の決断を先送りするものですが、その結果は明白です。

 各地の意見聴取会では「0%」支持の発言希望者が68%、参加者へのアンケートでも81%が「0%」を支持。電話で調査した人に集まってもらい討論したうえであらためて意見を聴く討論型世論調査でも、「0%」支持が46・7%と最も多く、しかも討論後のほうが高くなった。約8万9千件集まったパブリックコメント(意見公募)でもこれまでの集計で89%が「0%」を支持している―。

 討論型世論調査の報告書は、「国民一人一人の熟慮が進めば進むほど、国民は自らの発想を転換し、原発からグリーンに向かう政策転換や、そのためのライフ・スタイルの変革とコスト負担を引き受ける用意がある」と分析します。エネルギー選択でなにを重視するのかの質問では、「安全の確保」が8割を超え断然トップです。

 財界など「原子力ムラ」は、こうした世論が気に入りません。経団連(米倉弘昌会長)が政府に出した意見書は、「経済性ある価格でエネルギーが安定的に供給されなければ、成長戦略が進められない」と主張します。経済が第一で「ゼロ」を含む3案はいずれも「実現可能性が乏しい」と全面否定です。経済同友会の意見書も、原子力依存度は「柔軟に」と、原発の「更新・新設」も視野に置くよう求めます。国民が願う「安全の確保」は脇においても、原発をもっと推進したいという姿勢は露骨です。

問われる野田政権の立場

 原発推進の口実は破綻しています。「電力不足」は、ほとんどの原発が停止しても電力が賄われている現実を前に成り立ちません。経済は「停滞」どころか、省エネルギーや自然エネルギーに力を入れれば生産も雇用もふえます。それでも危険な原発を推進するのは、原発の建設や輸出でもうけを増やすためというしかありません。

 首相官邸前で毎週抗議行動をしている市民が野田首相と会見した際にも「経済ではなく命を基準に決断してほしい」との声が相次ぎました。野田政権が財界ではなく国民の安全のために決断するかどうかが鋭く問われています。

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