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「大恐慌到来」というフィクションに騙されるなかれ。

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何が黄金なのかよく分からないまま、「ゴールデンウィーク」が明けた。

おそらく、4月上旬の段階で「今日から元通り」という前提でいろいろ仕込んでいたけど、改めていろいろと調整しないといけなくなった、という人々も多かったのだろう。今日は、先月末と比べると、街に出ている人もはるかに多かったような気がする。

幸いにも政府が中途半端な延長ではなく、「宣言」の期間を月末までガッツリ延ばしてくれたおかげで、「テレワーク体制維持」と割り切って、明日or来週から再び籠城戦に突入する会社も多いだろうし、自分もそれでいいと思っている。

把握される感染者数は減少傾向にあるとはいえ、首都圏では一歩間違えば大クラスタになってしまうリスクはいたるところに存在するし、現時点では、万が一感染した場合にタイムリーな治療を受けられるほどの余裕も各医療機関にはない。

だから、一気に人を動かして収まりかけている火種を再び燃え上がらせるよりは、人の動きを止めた状態で、世の中をちょっとずつ動かしていく方がよほど理にかなっている。

今日は、大規模な飲食チェーン等が続々と休業期間の延長を発表していたが、その一方で、個人経営の小規模飲食店を中心に、日中時間帯の営業に限るとか、テイクアウト主体の営業をメインにする等の変化を付けつつも、店を本格的に再開させる動きも出ているわけで、海外で回復軌道に乗っている一部の国がとっているような施策が自発的に行われていく、というあたりがさすが「空気」を最高権力者に抱くこの国らしいのだけど、すっかり定着したソーシャル・ディスタンスの規範等、新しいスタイルが浸透してきていることとも合わせて考えると、少なくとも街中の風景が「正常化」する時期は、思いの外早く訪れるのではないかな、と感じるところである。

連休中、いや、その前から、様々なメディアが景気の悪いニュースばかり流していて、遂には「大恐慌再来」といった極端な見出しまで飛び交うようになってきた。

「経済に強い」ことを売りにしているSNSメディア上ですら、エキセントリックな叫び声を目にすることが多い。

だが、この1週間、すっかり習慣になってしまったZoom飲み会等々で、実際に現場でビジネスに携わっている人々と話をする中でまとまったのは、そういった類の風説は「悪意ある煽り」でしかない、ということ。

・確かに、目に見えるところで、飲食店が休業しているとか、陸海空で旅客輸送が悲惨な落ち込みを見せている、旅行・観光業や催事系の業界は壊滅的な打撃を受けている、という状況はあるが、そういった産業分野が、これまで日本の産業の世界で「主役」になったことなど一度もなかった。


・「主役」といえば、自動車や産業機械系の会社の状況も通期の決算は軒並みひどいことになっているが、そういった業界は「コロナ」以前に米中貿易紛争の影響でダメージを受けていたところも大きく、これをきっかけに一気に膿を出し切って体制をスリム化した上で反転、という可能性は当然あり得る。


・そして、何よりも、この1,2年で天井が見えかけていたドラッグストア業界や、しばらく低空飛行を続けていたスーパー、ホームセンター業界が、ここ数か月で完全に息を吹き返したことのインパクトは大きい。 


・元々、ここしばらく好調だった不動産、建設等の内需産業やインバウンド需要は、今年の五輪前後の時期をピークに一気に谷底に落ちても不思議ではない状況だった。それが一足早く谷が来て、盛り返す契機が1年先に延びたことで、かえって国内景気の”寿命”は長くなるんじゃないか。                    等々

今後の先行きへの見方は、人それぞれ、バックグラウンドによってもまちまちで、早ければ夏からV字回復、という人もいれば、反転するのは年末くらいだろうね、という人もいるのだが、共通していたのは、”瞬間風速”以上に深い谷に落ちることはないし、来年の今頃は間違いなく2桁以上の超絶回復を遂げている、という見立て。

そして、今世界中でヘリコプターからバラまかれているマネーがこの先どこに向かうのか、という話題も当然出てくる*1

類は友を・・・で、基本的に自分の周囲は逆張りで生きているひねくれ者が多いものだから、こういう時も”世間の裏をかく”方向へ話が流れて行ってしまう面があることは否めないのだが、「これまでの歴史上、量産型エコノミストや経済ジャーナリストたちが口を揃えて唱えた予測が的中したことが果たしてあるのか?」ということには、もっと目が向けられてよいような気がする。

本当の不況は、多くの人が予測していない時、油断している時に来る、というのは、「バブル後」や「リーマン・ショック」が典型で、特にリーマン・ショックの時などは、海の向こうの金融市場の話でしょ・・・と思っているうちに、じわじわと世界規模で毒が回って製造業が大打撃を受け、結果的に相当広い範囲にまで影響が及ぶ話になってしまった。

逆に、「この先日本はどうなる?」と思わせた数々の災害の場面等では、多くの会社が身構えた分、思いのほか早く回復軌道に乗った、という歴史もある<*2

こと「生活への影響」という点でいえば、全ての国民があまねく影響を受けていると言っても過言ではない今回のコロナ禍だが、「直撃」を受けた業界はほんの一部に過ぎないし、平行して「特需」を享受している業界すらある。そして、多くの業界は、まだ直接、目に見えるような影響は受けていない。

当然、これだけの大きなインパクトのある出来事に遭遇すれば、常識的な経営マインドを持つ者なら、「次に襲ってくるかもしれない波」に備えて、コスト削減か、はたまた機を捉えた攻勢か、いずれにしてもこの場を勝ち抜く戦略に知恵を絞ることになる。それゆえに、致命的な打撃を受けた業界、会社が沈んでいく一方で、戦略を磨き上げた会社の伸びしろの総和でマイナスを埋めて余りある結果となる・・・というストーリーも十分想定できるはずだ*3

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