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「新型コロナとたばこ」その3―国際社会に広まる“たばこ包囲網”

新型コロナウイルス感染の拡大防止に向け、東京・港区は屋外の指定喫煙所28ヵ所を4月14日から来月6日まで閉鎖した。感染しやすい「3つの密」(密閉、密集、密接)を避けるのが狙いだが、4月1日からの改正健康増進法の施行で屋内は原則禁煙となり、ほとんどの自治体が路上喫煙やたばこのポイ捨てを条例で禁止している。喫煙場所を見つけるのは至難の業で、テレビニュースの中で若者が漏らした「これはきつい」一言に喫煙者の実感がこもっている。

一方のたばこ産業。日本も批准する「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」(WHO・FCTC)は広告や販売促進だけでなく、たばこ産業が行う研究助成や人道支援など社会的活動も厳しく規制している。事業でたばこのイメージがアップするのを防ぐのが狙いだが、FCTCの解釈で行くと、日本たばこ産業(JT)が全国で取り組む「JTの森」など森林保全活動やプロスポーツチームの運営は条約に違反する形となる。

次いで近年、「次世代型たばこ」として広がりを見せている加熱式たばこ。たばこの葉を使用するが、燃焼させずに加熱により発生した蒸気を吸引するため煙や臭いが少ない。受動喫煙が生じにくいとされ、喫煙専用室や加熱式たばこ専用喫煙室で喫煙でき、屋外は規制対象となっていない。しかしニコチンを含む有害物質を生じることに変わりはなく、規制を強化する国が増えている。

このほか「新型たばこ」といわれる電子たばこ。専用カートリッジ内の液体を加熱し、発生する煙霧を吸入する方式で、日本ではニコチンを含有する電子たばこは承認されていない。健康被害ははっきりしないが、米国では肺の免疫系が機能不全になるといった研究結果も報告されており、規制を求める声が高まる気配だ。

世界は紙巻きたばこに限らず、“たばこの名が付いたすべて”を規制していく流れにある。しかし日本はJT株の3分の1(33.5%)を財務省が保有することもあってか、WHOからも取り組みの弱さが指摘され、国際条約であるFCTCと日本の法律にズレも生じている。

新型コロナウイルス禍では喫煙の悪影響のほか、テレワークが増えたのに伴い自宅喫煙が増加している、といった指摘もある。新型コロナ禍は、たばこ問題を改めて考え直すきっかけになるよう期待している。

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