記事

今のネットでアニメ辛口批評なんてできたもんじゃない

1/2

メンヘラ.jpの小山さんが難しいことをツイートしていて、私も難しい顔になってしまった。

この手の「最近のオタクコンテンツは~」「ヒロインが可愛いだけ」「薄っぺらい作品」といったフレーズからは不穏な、そして間違った印象を受けずにはいられない。ヒロインが可愛い作品は多いまではいいとして、薄っぺらい作品ばっかりと言って良いものか……。もちろん薄っぺらい作品だって必要なので、この場合は、薄っぺらい作品ばかりかどうかが問題なのだけど。

「オタクは好きな作品の悪口を吐き続ける生き物」というのもわからない。そういうオタクもいるだろう。でも、大半のオタクはそこまでひねてはいない。90年代でもたぶんそう。また、私のように「一番好きな作品については上手く言えなくて、もどかしい思いを抱え続けている」オタクだっていたはずだ。

それでも、小山さんのツイートには頷かずにいられないところもある。

今は、アニメファン同士がタイムリーに作品について語り合い、「いいね」「シェア」しあう時代だ。辛口批評を独りでセコセコ作るより、みんなと一緒に「いいね」や「シェア」を共有したほうが、承認欲求や所属欲求を簡単・確実に充たせる。フォロワー数を増やしたい・広告収入につなげたいといった野心を持っている場合も、辛口批評でモノ申すより「いいね」や「シェア」を共有する人々におもねったほうが見込みがありそうだ。

そのうえ、辛口批評を繰り出せば多くの人に嫌われたり馬鹿にされたりするリスクも高い。たとえ、知識や文献にもとづいて辛口批評が行われていたとしても、「いいね」や「シェア」で共有されている作品に楯突くこと自体、リスキーであり、心理的障壁が大きく、報われにくい。

アニメがコミュニケーションの触媒として、つまりファン同士が承認欲求や所属欲求を充たしあうための触媒として用いられている21世紀のSNSやネットのなかで、「いいね」や「シェア」の環に背を向け、一人で「辛口批評」をセコセコと作り続けるのは、よほどタフじゃないと無理だろう。というよりそんな動機が簡単には生まれそうにない。

[関連]:Twitterにおける映画感想がダメなものになりがちな理由 - THE★映画日記

たとえば、ここでDavidRiceさんが述べている映画感想についての話を他人事と言い切れるアニメファンやゲームファンは、今のSNSにいったいどれだけいるだろう?

素人批評がサーチアンドデストロイされてしまう

それともうひとつ。
辛口に限らず、好きなように書いた素人の批評がすぐ発見されてしまい、手ごろな批判対象とみなされるや、駆逐されてしまうという問題もある。

たとえば2018年の12月頃、はてなブログで「ハルヒ美顔革命」という『涼宮ハルヒの憂鬱』評を若い人が書いた。

涼宮ハルヒ美顔革命論について各方面の反応 - Togetter
[B! オタク] ハルヒ革命と保守・新自由主義化するハルヒ世代 - 美少女と僕らのセカイ

この「ハルヒ美顔革命」は突っ込みどころの多い批評で、案の定、たくさんの人から否定的なコメントを集めていた。記事は、一週間ももたずに非公開となったように記憶している。

突っ込みどころの多い批評に注目が集まれば、たくさんの人から突っ込まれるのはおかしなことではない。一週間もたたずに非公開になったのも、少しスタミナ不足だったかもしれない。だがそれ以上に戦慄せずにいられないのは、今の時代、泡沫アカウントが初々しい批評をやらかしていても、嗅覚の利くベテランにあっと言う間にサーチアンドデストロイされてしまう、ということだ。

この「ハルヒ美顔革命」にしてもそうで、発見され、拡散され、たちまちベテランたちの知るところとなり、あっという間に消費、もとい批判されてしまった。

海千山千のベテランたちからみれば、稚拙で、雑で、間違いだらけの批評だったろうから、知られてしまえば八つ裂きになってしまうのはわかる。また、間違いだらけだからこそ、今のSNSでは絶好の狩りの獲物だというのも理解している。だけど、若いうちはああいった勘違いアニメ批評をやらかすのはよくあることで、いきなりベテラン勢に納得していただける批評を書ききれる人は少数派だ。

あわせて読みたい

「アニメ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    自民党内「国賓中止はやり過ぎ」

    赤池 まさあき

  2. 2

    綾瀬はるか交際報道 相手は憔悴

    女性自身

  3. 3

    「山本太郎は男を下げた」に反論

    早川忠孝

  4. 4

    医師が「コロナ慢性感染」の仮説

    中村ゆきつぐ

  5. 5

    都の感染急増 表面だけ報じるな

    青山まさゆき

  6. 6

    男子中学生と性交 40歳妻の素性

    文春オンライン

  7. 7

    関西のテレビが東京と違うワケ

    放送作家の徹夜は2日まで

  8. 8

    研究者に転身 いとうまい子の今

    NEWSポストセブン

  9. 9

    山本太郎氏は独自路線を自重せよ

    猪野 亨

  10. 10

    不祥事俳優カットせぬフジを称賛

    PRESIDENT Online

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。