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「9月入学」移行は、いまじゃない!

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緊急事態宣言にともなう外出自粛が延長されましたが、休校期間が長引いていることへの対策として学校の始業や入学を9月に移行する、いわゆる「9月入学」の案がにわかに盛り上がっています。

本年度4月からまともに授業ができていない地域が多いので、いまの学年を来年夏まで延長して、来年9月から新年度を始めることにすればいいじゃないかという話です。なるほど、一見「魔法の杖」みたいです。しかしこれ、そんなに簡単な話じゃないんです。

パッと思いつくだけでも以下のような社会的影響が予測できます。

・生まれ月による学年の区切りが9月に変わる

・国や自治体の会計年度とのズレが生まれる

・就職活動の時期やしくみを変えなければいけない

・国家試験の時期やしくみを変えなければいけない

・保育園の入園・卒園のタイミングがズレる

・カレンダーや手帳の年度始まりが3種類になる

・教科書に描写されている季節感がズレる

・塾や予備校のカリキュラムの全面見直し

・習い事や通信教育のサイクルの全面見直し……etc.

挙げ始めれば、きりがありません。

文科省マターを中心に膨大な数の法規・制度改正が必要になることは言うにおよばず、会計年度や人材供給時期という経済面での影響もさることながら、保育園の入園・卒園の時期がずれれば待機児童問題に混乱をおよぼすことは間違いないし、ただでさえ経営難に陥ることが予測される塾・予備校業界への打撃は計り知れないし、就活制度が変わる過渡期にはなんらかのバグが生じ、落とし穴にはまる学生も増えるでしょう。

また、教科書を全面改訂しなければ、真冬に水遊びの文章を読まされることになるかもしれない。これ、笑い事じゃないんです。子どもの学びにとっては実感ってとても大事なんです。

この案が何より罪深いのは、いま休校期間中においても子どもたちの学びを止めないためにオンライン授業実施などを含めてあの手この手の方法を試行錯誤していている現場の教員たちに、さらに甚大な負荷がかかるということです。6月に方針が発表されたとして、8月末までに各学校の教員たちは以下のような対応に追われることになります。

・1年間の臨時カリキュラムを策定

・運動会、学芸会などの年間行事予定のつくり直し

・修学旅行、遠足、社会科見学などの再手配

・学費、教材費、給食費など諸費用に関する方針策定

・PTAなど関連団体の運営・人事対応

・地域活動、ボランティアスタッフなどとの各種調整

・教職員の定年、育休、正規採用などの人事的なタイミングの調整

・上記に伴う、教育委員会や文科省との膨大な事務手続き……etc.

全国の学校の教員がそのための事務手続きに忙殺されたら、ますます目の前の子どもたちに対するケアが手薄になる可能性が高い。それが本当に子どもたちのためになるのでしょうか。

たとえるなら、川の堤防が決壊しそうになって村人総出で土嚢を積んでいるところに「ちょうどいい。洪水対策で上流にダムを造るから全員集合!」と号令をかけるような愚行です。

そもそも新型コロナの第2波がやってきてまた長期にわたって休校したからといって、そのたびに学年を半年延長し続けるわけにもいきません。その意味でも、新型コロナウィルス対策として「9月入学」を持ち出すことはちぐはぐだということがわかるのではないでしょうか。

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