記事

なめらかな社会、繊細な秩序にあなたはついていけるのか

1/2

昭和の日、繊細になりゆく令和の秩序について考える - シロクマの屑籠
 
先日の記事には、はてなブックマークで様々なコメントをいただき、進みゆく秩序について(はてなブックマークの)皆さんがどんな風に考えているのか参考になった。それらを記憶にとどめながら、社会ぜんたいの秩序がもっと繊細になっていった未来について、もう少し言葉を重ねてみたい。
 
社会秩序がどんどん繊細になり、暴力と呼び得るものが追放され、相手が傷ついたり不快になったりするかもしれない言動が制限され、自粛されるようになっていけば、その社会のコミュニケーションはどんどん円滑になり、トラブルも減っていくだろう。実際、昭和時代に比べれば令和時代のコミュニケーションは円滑だ。公の領域はもちろん、プライベートな領域でもコミュニケーションは円滑であるよう目指され、ノイズは少なくなった。DVやストーカーや体罰といった、古き悪しき言動も摘発されるようになった。それはとても良かった。
 
さて、そうやってトラブルの少ない、お互いに迷惑をこうむったり傷ついたり不快になったりする言動をもっともっと制限しあい、ますますノイズレスなコミュニケーションを実現していく社会、いうなれば、社会がなめらかになっていくとして、そのなめらかな社会のなかで私は、あなたは、他人に迷惑をかけたり他人を傷つけたりしない、不快な思いをさせない個人として、如才なく振る舞えるものだろうか。
 
社会がどんどんなめらかになり、私たちの通念や習慣が今以上に繊細になっていけば、コミュニケーションも人間関係もまたなめらかになり、トラブルや不快な思いも減るだろう。そのかわり、私たちはなめらかにコミュニケーションできる人間、他人に不快な思いをさせない人間、トラブルを起こさず他人に嫌な思いをさせることのない人間にならなければならない
 
社会から期待される要求水準は、高まらざるを得ない。一人の社会人としての言動・一人の親としての言動・一人の子どもとしての言動がハイクオリティであるよう期待され、そこからはみ出した言動が、批判されたり罰せられたり矯正されたりするようになるだろう。ときには、排除すらされるかもしれない。


粗い秩序の社会では社会人として・親として・子どもとして合格点がもらえていた人も、繊細な秩序のなめらかな社会では不合格になりかねない。というより、昭和時代と令和時代を比較する限り、社会人として・親として・子どもとして越えなければならないハードルはかなり高くなっているのではないか。
 
[関連]:テキパキしてない人、愛想も要領も悪い人はどこへ行ったの? - シロクマの屑籠
 
勤め人かくあるべし、パートナーかくあるべし、子どもかくあるべし──そのようにハイクオリティを期待して構わない社会は、当然、私やあなたにもハイクオリティを期待する。もし、社会から期待されるクオリティに私やあなたが達していなければ、勤め人失格、パートナー失格、子ども失格ということになる。あなたは採用しません、あなたとは縁を結びません、あなたは子どもをつくるべきではありません、そういう風にダメ出しされる可能性が高まっていく。
 
はてなブックマークのコメントをみる限りでは、なめらかな社会にふさわしい言動をこなせない人は、なめらかな社会の敵とみなされても不思議ではなさそうだ。少なくとも、なめらかな社会の敵とみなす向きは確実に存在する。そこまで極端でなくとも、繊細な秩序を当然の前提とみなし、秩序は繊細であればあるほど良いに決まっている、と思っている人なら結構いるだろう。
 
うらやましい。
 
なめらかな社会にふさわしい言動が苦も無くこなせる人、他人を傷つけたり不快がらせたりするおそれの無い人には、こうした変化は良いことづくめなのかもしれない。

あわせて読みたい

「日本社会」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。