- 2020年05月07日 07:05
なめらかな社会、繊細な秩序にあなたはついていけるのか
1/2昭和の日、繊細になりゆく令和の秩序について考える - シロクマの屑籠
先日の記事には、はてなブックマークで様々なコメントをいただき、進みゆく秩序について(はてなブックマークの)皆さんがどんな風に考えているのか参考になった。それらを記憶にとどめながら、社会ぜんたいの秩序がもっと繊細になっていった未来について、もう少し言葉を重ねてみたい。
社会秩序がどんどん繊細になり、暴力と呼び得るものが追放され、相手が傷ついたり不快になったりするかもしれない言動が制限され、自粛されるようになっていけば、その社会のコミュニケーションはどんどん円滑になり、トラブルも減っていくだろう。実際、昭和時代に比べれば令和時代のコミュニケーションは円滑だ。公の領域はもちろん、プライベートな領域でもコミュニケーションは円滑であるよう目指され、ノイズは少なくなった。DVやストーカーや体罰といった、古き悪しき言動も摘発されるようになった。それはとても良かった。
さて、そうやってトラブルの少ない、お互いに迷惑をこうむったり傷ついたり不快になったりする言動をもっともっと制限しあい、ますますノイズレスなコミュニケーションを実現していく社会、いうなれば、社会がなめらかになっていくとして、そのなめらかな社会のなかで私は、あなたは、他人に迷惑をかけたり他人を傷つけたりしない、不快な思いをさせない個人として、如才なく振る舞えるものだろうか。
社会がどんどんなめらかになり、私たちの通念や習慣が今以上に繊細になっていけば、コミュニケーションも人間関係もまたなめらかになり、トラブルや不快な思いも減るだろう。そのかわり、私たちはなめらかにコミュニケーションできる人間、他人に不快な思いをさせない人間、トラブルを起こさず他人に嫌な思いをさせることのない人間にならなければならない。
社会から期待される要求水準は、高まらざるを得ない。一人の社会人としての言動・一人の親としての言動・一人の子どもとしての言動がハイクオリティであるよう期待され、そこからはみ出した言動が、批判されたり罰せられたり矯正されたりするようになるだろう。ときには、排除すらされるかもしれない。

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勤め人かくあるべし、パートナーかくあるべし、子どもかくあるべし──そのようにハイクオリティを期待して構わない社会は、当然、私やあなたにもハイクオリティを期待する。もし、社会から期待されるクオリティに私やあなたが達していなければ、勤め人失格、パートナー失格、子ども失格ということになる。あなたは採用しません、あなたとは縁を結びません、あなたは子どもをつくるべきではありません、そういう風にダメ出しされる可能性が高まっていく。
はてなブックマークのコメントをみる限りでは、なめらかな社会にふさわしい言動をこなせない人は、なめらかな社会の敵とみなされても不思議ではなさそうだ。少なくとも、なめらかな社会の敵とみなす向きは確実に存在する。そこまで極端でなくとも、繊細な秩序を当然の前提とみなし、秩序は繊細であればあるほど良いに決まっている、と思っている人なら結構いるだろう。
うらやましい。
なめらかな社会にふさわしい言動が苦も無くこなせる人、他人を傷つけたり不快がらせたりするおそれの無い人には、こうした変化は良いことづくめなのかもしれない。
- シロクマ(はてなid;p_shirokuma)
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