記事

【新型コロナウイルス感染症シリーズ10】地方は工夫しながら一刻も早く授業を再開すべき(休校・9月入学 1) - 学習の遅れは夏休み返上と学習指導要領・標準授業時数の修正で対応

1/2

<世界中で休校再開時に入学時期をずらす議論などしていない>

30万円給付から一発逆転10万円給付になり、膨れ上がった補正予算が通った途端、次は9月入学の議論が沸騰している。国民の生活が苦しいからもっと手厚い救済措置を、というのならまだわかるが、9月入学はとってつけた話でしかない。政府側がわざわざコロナ対応の失政から目を逸らすといった批判を受けるといけないので、自ら検討しないと素直に(?)言っているのに、野党が飛びついている。信じがたい構図である。国民の関心をひきたいという見え透いた魂胆が見えてしまう。

欧米諸国は、ようやく感染者数も減り始めたので、外出規制を解き学校も再開され始めた。しかし、しばらく休んでいて学習の遅れが生じたから、この際入学時期をずらすなどというとんでもない議論はしていない。「不要不急」ではないからである。

<子供は唐突な一斉休校の犠牲者>

そもそも安倍政権の最初の大きなコロナ対策は、2月27日の突然の全国一斉休校である。通常は緊急事態宣言と同時なのに、1ヶ月以上早い。国民にとっては全く寝耳に水だった。最初に中国からの入国制限等の水際対策をしないとならないのに、しなくていいことを先にしたのだ。東京オリンピックと習近平主席の訪日が気になり、対策を打たず後手後手に回っていた状況を一気に覆そうとしたのだろう。犠牲になったのが子供であり教育である。

経済対策と違い、一斉休校は国民生活の根幹に関わることである。官邸官僚(私はずっと「政僚」と呼んでいる)の入れ知恵で、萩生田文科相と菅官房長官も蚊帳の外の決定だったという。経済政策の乗りでの勇み足である。毎冬にインフルエンザの流行で、全国各地で学級閉鎖されたり学校閉鎖されるのと重みが異なる。

<休校の感染防止効果はもとから少なく>

3月の一斉休校は、子供を感染から守るという大義名分で唐突に行われたが、感染蔓延防止にどれだけ効果があったのだろうか。

西浦北大教授は、新型コロナウイルスは学級や友達同士で感染が拡がるインフルエンザとは相当違うとしている。また、世界各地の症例を見ても、欧州では高齢者施設での死者が4~5割であるのに対し、若者は感染者も少なく、死者はもっと少ないことがわかっている。日本でも20才未満の感染者は527人(3.8%)しかなく、重症者2人、死亡者ゼロである(4/28現在)。

子供は無症状(不顕性)感染者になって免疫力の低い高齢者に移すことが懸念され、その機会を減らしたとは言えるだろう。他に国民を警戒させるというショック効果だけはあったかもしれない。しかし、卒業式も入学式もゴチャゴチャになり、徒に現場の混乱をもたらしただけだったのではないか。教育の機会を奪った責任は大きい。

<天然の隔離施設の過疎地の休校は全く不要>

岩手県は日本チベットと言われるだけあって今でも感染者ゼロ、2月下旬は長野県もゼロ。私の選挙区で過疎地区を担当する秘書が、「登下校で人に会いたくても会えず、猿や狸に会う機会のほうが多い地区の小学校がなんで休校しなくてはいけないのですか。(まだ8割接触削減とか、三密を避けるとか言われていなかったが)教室でも20人もいればいいですが、数人。山に囲まれた天然の隔離施設にいるようなものなのに」と、東京の大都会のことしか考えていない愚策に憤慨した。

私の秘書を長くしていると、どうやら発想も似てくるようである。

<地方の現場に責任を転嫁するずるい手法はしてはならない>

4/22現在休校率は公立校93%に及ぶ。諸外国の国民と比べ『お上』のすることに従順な日本では、強制もしていないのにほとんどが従った。私は感染者の少ないあるいはゼロの県や市町村は、卒業式までは休校にしない学校が多いと予想していたが、日本の「同調性」がこれ程とは思わなかった。首長も休校しないでおいて感染者が増えた場合のことを恐れ、独自路線はとらなかったのだろう。日本人のこうした横並び意識に乗じて、責任を現場に転嫁する狡い手法である。

<学習指導要領を修正すれば足りる>

二言目には学習の遅れ、そして教育格差という言葉が出てくる。全国が一斉に遅れたのである。文科省の定めた学習指導要領を金科玉条としているから対応がおかしくなる。この1~2ヶ月の遅れを勘案して、学ばせるべき事項を選び直して、それに合わせて標準授業時数を今年に限り少なくすればすむことである。

パンデミックという異常事態である。戒律の厳しいイスラム教のラマダンもモスク礼拝なしとしている。先輩たちより学習内容が少なくなっても、今後の人生に大きな狂いなど生ずるはずもない。9月入学を国際標準というが世界165ヶ国で大半が緊急事態・非常事態宣言をしており9割が休校していた。何も慌てることはない。

あわせて読みたい

「学校教育」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。