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AVでセックスを学ぶのはやっぱり害悪だらけ【夫のHがイヤ③】

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夫を愛しているのに、夜の営みが苦痛で仕方なく、セックスレスを経て離婚に。そして別居中に別の男性と交わる経験も経て、夫のセックスが自分本意な“ジャンクセックス”だったことにも気がついた……。

そんな赤裸々な体験を綴った『夫のHがイヤだった。』にはセックスと夫婦関係・男女関係を考えるうえで、示唆に富む話も、身につまされる話も数多く登場する。「コロナ離婚」というワードが話題を呼ぶ一方で、海外ではコンドームの売れ行き急増も報じられる昨今。

仲が悪くなってセックスレスへと近づいている夫婦も、セックスの機会が普段以上に増えている夫婦も、読んでおいて絶対に損のない内容だ。

今回、同書の著者で、行政書士・カウンセラーとして離婚相談も多く受けているMioさんにロングインタビュー。3回目のテーマは「AVでセックスを学ぶことの害悪」について。

自分本位に楽しむセックスをどうしてもAVから学んでしまう男たち

夫の自分本意なセックス(ジャンクセックス)により、自身が傷ついてきた体験を綴ったMioさんの『夫のHがイヤだった。』。男性読者からすると「自分は大丈夫だろうか?」と自省を迫られる内容だが、『読んでよかった』という声が多く届いているそうだ。

「女性と付き合った経験がなく、『交際は結婚を前提に』と考えている真面目な男性から、『この本を読まずに結婚をしていたら、僕は自分の愛する女性に絶対ジャンクセックスしていました』という感想をいただいたことが印象に残っています。それはある意味で仕方のないこと。AVでしかセックスの情報に触れてこなかった人は、何も考えずにセックスをしたらジャンクセックスをになってしまう可能性は高いでしょう」

なお、ジャンクセックスとは、男性が女性に十分な前戯もせず、自分の性欲のままに挿入し、射精のために激しく腰を振るような男性本位のセックスのことのこと。

そうした場面が主体の日本のAVは、「現実のセックスとは違うもの」「実際にセックスで同じことをして女性が喜ぶと思ったら大間違い」と言われて久しいが、その影響は今も根強いわけだ。

「そもそも大半のAVは『男性の自慰行為のため』に作られているので、男性が自己中心的な視点からセックスについて学んでしまう危険性も高いです。たっぷり前戯のシーンが用意されている作品もあるでしょうが、興味のないところは早送りして、自分が興奮するポイントばかりを選んで繰り返し見られてしまうのも、現実のセックスにおいて弊害になっていると思います。先日、60代の方から『映画館でピンク映画を観ていた俺の時代は、早送りもできないし、好きな場面だけ見ることなんてできなかったよ』という話を聞いて、なるほどな、と思いましたね」

またネットでAVの動画を検索可能な今の状態では、自分の好みの女性やシチュエーションの動画にたどり着きやすくもなっている。

「自分が興奮する場面を繰り返し見ていれば、AV=ファンタジーと理解している人でも、それはサブリミナルな刷り込みになるはずです。そうやってAVでセックスを学んだ人が、実際にセックスをすることになったとき、相手ときちんと向き合い、思いやりをもってセックスできるのかというと、難しさは出てくるでしょうね」

そして女性のなかにも、AVのようなセックスを普通のものだと思っている人は実は多いという。

「男性とのお付き合いの経験も少ないまま結婚し、相手がジャンクセックスをする人だった場合、それを『普通のもの』と考えて受け入れてしまう可能性はありますね。その後に自分でAVを見る機会や、パートナーとAVを見る機会があった場合、AVのジャンクセックスで気持ちよさそうに声を出している女性を見たら、同じようにフリをする人も出てくるでしょう。でも、それはセックスを盛り上げて男性を喜ばせたいための演技であって、本人が気持ちよくない状態は変わらない。結果として、『私ってセックス自体が合わないのかも』という思いが強まってしまうんです。実際に私はそういうタイプで、AVで気持ちよさそうにしている女性を見て、『羨ましいな』と思っていました」

結婚相手とのセックスがそうやって辛いものになれば、夫婦関係はやはりギスギスしてしまうだろう。

「すごく真面目なご夫婦からうかがった辛い話がありました。奥さんは旦那さんとのセックスが嫌で、『私はセックスが好きじゃないし、もう無理』と伝えたのですが、それを聞いた旦那さんがショックでうつ病になり会社にも行けなくなってしまったんです。結婚生活も先が見えなくなったことで、奥さんの側から『私が慰謝料を払うから別れましょう」と提案したそうです。この流れで奥さんが慰謝料を払うのは変だと思いますが、セックスのことを含め、誰にも相談せずに無知のままでいると2人でおかしな方向に行ってしまい、ずっと苦しいままというケースもあります」

Mioさんはその夫婦に「どういうセックスをしているか教えてください」「セックスしようと言ってから挿入まで、どのぐらい時間かけていますか?」等セックスの内容について踏み込んだ質問したとのこと。

「セックスについて踏み込んだ話をすることで、ご夫婦は『これは僕たちが悪いんじゃなくて、僕たちがしていたセックスが悪かったんだね』と気づいてくれました。原因がはっきりすれば、相手への恨み、つらみはなくなります。ただ、一度そこまで関係がこじれてしまうと、完全に関係を修復するのは至難の業です。『この人とは生理的に無理』の状態に陥ってしまっていることもあるからです」

AVのセックス観に縛られ40代後半でも恋人ができない

また、AVでセックスについて学んでしまったがゆえに、女性と付き合うことに気後れしてしまい、結婚ができないという男性もいるという。

「『AV男優みたいに自分は勃たない』『あんなに持続しない』と思って、女性とのセックスを遠ざけている方もいます。実際にそのような状態の40代後半の男性とお話したことがありますが、その方は女性とお付き合いした経験もまだないそうです」

その年齢になっても、AVのイメージに縛られているがゆえに、女性とのセックスを避けてしまう……というのは笑い事ではなく深刻な事態だろう。また「持続力がある=男として優れている」といった信仰により、女性を苦しめていたり、逆に自分が苦しんでいたりする人もいる。

「『わざとイカないようにする』『コンドームを2枚重ねる』といった対策をしている人もいますし、『太くて大きいほうが喜ばれる』と考えている人も多いですよね。でも、それらはすべて誤解。大きさは女性の体との相性にもよりますし、多くの場合、『太くて大きくて持続力があり、ピストン運動も激しいAV男優のようなセックス』はむしろ女性から嫌がられます。すべてそのままマネされたら、確実に痛いですから。AVを見てきた男性にとっては、激しく動く場面=女性も気持ちよさそうと捉えられがちなのですが、痛くて仕方ない女性も多いということを知っていただきたいです。私も実際そうで、『セックス自体がもう無理』と思っていました」

Mioさんはアダム徳永氏のスローセックスの存在を知り、「ずっとつながり続けて、ずっと気持ちよくいられるセックス」を実際に体験したことで、セックスに関する認識が大きく変わったという。

だからこそ、「激しいピストンや射精ありきじゃないセックスの世界があるということを、男性の方にも知ってほしいです」という。

夫のHがイヤ④に続く


Mio
大阪府生まれ。大学で知り合った同級生の男性と二十二歳で結婚。夫との夫婦生活が苦痛で、「自分はセックスができない身体なのではないか」と悩み、摂食障害とうつ病に。<その後セックスレスを理由に夫から離婚調停を申し立てられ、別居を経て離婚。2017年の冬からアメブロに当時を振り返る手記を連載し、大きな話題を集める。現在は税理士・行政書士・カウンセラーとして、女性起業家のサポート・離婚業務を中心に活動。著書に『
夫のHがイヤだった。』(亜紀書房)。ブログ:夫のHが嫌だった

Text=古澤誠一郎

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