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47都道府県議が緊急採点「コロナ対策」ウチの知事の通信簿

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他県から評価が高い知事の1位に輝いた大阪の吉村府知事(写真・朝日新聞)

 連日のように記者会見を開いている、各都道府県知事。「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(特措法)によれば、外出自粛や休業要請をする権限は、おもに知事にある。まさにコロナ対策は、知事の手腕の見せどころなのだ。

 そこで本誌は、地方議会で知事と対峙してきた都道府県議会議員(約2800人)に、緊急アンケートを実施。206人から回答を得た。他県から評価が高い知事の1位に輝いたのは、吉村洋文大阪府知事だ。

 吉村知事に感想を求めると、「評価していただいたことはありがたいですが、戦いはまだまだこれからです」と謙虚な回答があった。しかし、地元の府議たちからは辛辣な声も上がっていた。

 前鳥取県知事で元総務相の片山善博・早大大学院教授(68)の、吉村知事への見方は厳しい。

「露出が多いと、そういう結果が出ます。もちろん頑張っているけれど、対策がうまくいっているとはいえません」

 片山氏がもっとも評価しているのは、仁坂吉伸・和歌山県知事の政策だった。

「和歌山県は、病院でクラスターが発生し、そこからPCR検査を徹底しました。国の基準ではなく『和歌山方式』という独自の検査体制を作った。

 感染者が多数発生する大阪府の隣だが、感染拡大を抑え込んでいます。毎日の知事の記者会見も、丁寧です」(片山氏、以下同)

 一方、「国からの指示を待っていた県は、危機的な状況だ」と警鐘を鳴らす。

「その一例は、大野元裕・埼玉県知事でしょう。ホテルの確保やPCR検査の体制構築が、後手後手になってしまった。最近はドライブスルー検査など、県独自でやりだしているところもある。国の指示待ちではダメだということです」

 片山氏は、「今後もすべき政策はまだまだある」と提言する。

「PCR検査について、国が当初掲げた “体温37.5度以上、4日間” などという基準にとらわれず、各県独自の検査基準と体制を作るべきです。財源が足りないなら、県の予算を組み替え、公共事業は先送りにするくらいはしないとダメです」

 ここから、成績を挽回する知事は現われるのかーー。以下より、都道府県議たちに聞いた地元知事の “通信簿” を全公開しよう。“ウチの知事” の成績は?

【Part1/他県の知事で評価する人は?】
●1位/42票:吉村洋文・大阪府知事
「防護服不足への対応で雨がっぱの提供をお願いするなど、発想がわかりやすく見えやすい」(浅野貴博・北海道議)
「自分の言葉で、一定の根拠を示し発信している。緊急時のリーダーとして、判断根拠が示されるのは安心できる」(菅原直志・東京都議)
「(兵庫との)往来の抑制など、一部勇み足もあったが、ライブハウスへの対応など、責任の所在が見て取れた」(岸口実・兵庫県議)

●2位/24票:小池百合子・東京都知事
「すべてが大変ななか、広告塔としての役割をしっかり果たしている。それに国が追従している感じ」(佐野愛子・静岡県議)
「休業支援の実施、丁寧な情報発信と啓発に努めている」(丸尾牧・兵庫県議)
「国よりも先行して対策を打ち出している」(水岸富美男・山梨県議)

●3位/23票:鈴木直道・北海道知事
「自分のリスクと責任で、独自の緊急事態宣言をされ、政府に振り回されず判断を続けている」(上田令子・東京都議)
「『責任は自分が負う』という姿勢のもと、独自の対策をおこなうなど、国に先手を打っている」(瀬川侑希・富山県議)
「勇気ある決断」(山田正彦・和歌山県議)

●4位/8票:平井伸治・鳥取県知事
「アート緊急支援プロジェクトで、文化芸術活動への支援を実施。軽症者向け宿泊施設400室を確保する目途をつけた」(藤本一規・山口県議)

●5位/5票
・杉本達治・福井県知事
「県民にマスク購入券を配布するなど、政策が素晴らしい」(中村康司・新潟県議)など、県独自の政策に票が集まった

・仁坂吉伸・和歌山県知事
「国のガイドラインに反して検査対象者を拡大。初期段階での感染拡大を防いだ」(石田一也・宮城県議)と高評価

【4票】達増拓也・岩手県知事
【3票】鈴木英敬・三重県知事、黒岩祐治・神奈川県知事
【2票】西脇隆俊・京都府知事、湯崎英彦・広島県知事、小川洋・福岡県知事
【1票】山本一太・群馬県知事、長崎幸太郎・山梨県知事、古田肇・岐阜県知事、大村秀章・愛知県知事、三日月大造・滋賀県知事、荒井正吾・奈良県知事、中村時広・愛媛県知事、山口祥義・佐賀県知事

いち早く緊急事態宣言を発した北海道・鈴木知事(写真・朝日新聞)

【Part2/県議会議員に聞いた「自県知事を採点」】
●北海道・鈴木直道知事(39)
《評価》
★★★★★=1票
★★★★=5票
★★=2票
評価なし=1票

 2月28日、いち早く緊急事態宣言を発した北海道。

「他県にくらべ行動が早い」(八田盛茂道議・★4つ)
「危機管理意識が高く、最悪の事態を想定して行動」(佐々木大介道議・★5つ)

 一方で、こんな意見も。

「政府に先立って『緊急事態宣言』『休校要請』をしたが、専門的・科学的根拠を今も道民に知らせていない」(菊地葉子道議・★2つ)
「道民生活に大きな混乱を招いたことは否めない。道独自に補償や支援策を示すことがなく、従来の施策と国の対策頼みで、現場頼み」(真下紀子道議・★2つ)

 若きトップが迎えた山場は、まだまだ続く。

●青森県・三村申吾知事(64)
《評価》
★★★★★=1票
★★★★=2票
評価なし=3票

 東北各県で、休業要請に踏み切るのがもっとも遅かった。

「中小企業に対しても県民に対しても、独自の支援策が少なすぎる。業者への家賃補助、従業員維持の支援が急がれている」(吉俣洋県議・★評価なし)

●岩手県・達増拓也知事(55)
《評価》
★★★★★=1票
★★★★=2票

 感染者数がゼロの岩手(5月3日現在)。回答でも評価する声が多い。

「対策本部会議を開くたびに、県民に行動の自粛を呼びかけている」(斉藤信県議・★4つ)
「今後の要望だが、PCR検査体制の強化を」(名須川晋県議・★5つ)

●秋田県・佐竹敬久知事(72)
《評価》
★★★★★=4票
★★★★=2票

「危機感を強く持ち、かつ県の特性も理解し自らの頭で考え決定している」(鈴木健太県議・★4つ)

 休業要請に応じた企業に、最大30万円の協力金を支給することを決めた。名門「佐竹氏」の子孫である敬久氏。民を守る “殿” になれるか。

●福島県・内堀雅雄知事(56)
《評価》
★★★★=3票
★★★=1票

「手堅い。有事なので、空振りを恐れず先手を打つ対策を求めたい」(橋本徹県議・★4つ)
「国の判断や対応が一歩遅いときには、県独自の対応が必要。知事の決断力を、いま以上に発揮してほしい」(匿名・★3つ)

 今後も手堅く県政を進めたい。

●山形県・吉村美栄子知事(68)
《評価》
★★=1票

 4月18日に、来県者への検温を開始した山形。「まるで関所。なのに、入境拒否はできない」と県民もぼやく。県議からも批判が……。

「3月29日の県総合文化芸術館のイベントを、27日まで開催しようとしていた。指揮命令系統がわかりづらい」(匿名・★2つ)

●宮城県・村井嘉浩知事(59)
《評価》
★★★★★=1票
★★★★=2票
★★=1票

「全国に先駆けて、軽症者用のホテルを確保」(匿名・★5つ)
「専門家の助言を採用し、ただちに臨時休校の5月への再延長を断行した」(わたなべ拓県議・★4つ)
「今回は初動対応が遅い」(境恒春県議・★2つ)

 高評価の一方、震災復興と比較した意見もあった。

●新潟県・花角英世知事(61)
《評価》
★★★★★=4票
★★★★=2票
★★★=1票

 4月17日の全国知事会を「県内は感染拡大していない」という理由で欠席。非常事態宣言の全国拡大に「理解できない」と、国の対応に疑問を抱く新潟県民も多い。

「慎重さは長所でもあるが、非常時は先手の決断力も必要」(匿名・★3つ)

他県より多い休業業者への協力策を打ち出した東京・小池知事

●千葉県・森田健作知事(70)
《評価》
★★★=1票
★=1票

「実行可能な政策を選別して発信しているため、物足りなさを訴える県民も多い」(匿名・★3つ)
「国の様子見で、すべて後手後手。県民の命を守り抜くという視点が欠落している」(匿名・★1つ)

 GWの来県自粛を要請したが、確実に “男” を下げた。

●埼玉県・大野元裕知事(56)
《評価》
★★★★=1票
評価なし=1票

「コロナ対策の県議会議員への報告が、報道より後になっている」(匿名・★4つ)

 自民党県議員団からは、幹事長名で「知事に対し改善、要望の提出を重ねている段階。知事の対応・対策を注視しながら事後に検証に努める」として、“採点せず” の回答があった。

●神奈川県・黒岩祐治知事(65)
《評価》
★★★★=1票

 症状に合わせた医療体制を敷く「神奈川モデル」をスタート。

「政府の対応が遅いなか、独自に進められることは早急に対応している。『神奈川モデル』を早急に打ち出したことは高く評価するが、詳細が決まらないなかでの発信が多い」(匿名・★4つ)

●東京都・小池百合子知事(67)
《評価》
★★★★★=23票
★4.5=1票
★★★★=2票
★★=2票

 延期決定後は積極的に発信をおこない、豊かな財源をバックに、他県より多い休業業者への協力策を打ち出すなど、“頑張っている感” はある。

「国に先駆けてリーダーシップを発揮し、都民の皆様の『命と生活を守る』政策を力強く進めている」(龍円あいり都議・★5つ)
「有事に頼もしいリーダー」(鈴木邦和都議・★5つ)

 高評価が多いが、回答者の多数が、小池氏が特別顧問を務める「都民ファーストの会」の所属議員。他党からは、辛辣な批判も。

「オリパラ延期の決断の先送りは、次期都知事選で自民党の支援を得るための忖度」(上田令子都議・★2つ)
「知事選を今夏に控え、パフォーマンス優先に見える。必要性の薄い事業者や都民にまで、支援や助成金を撒き散らしている」(匿名・★2つ)

●栃木県・福田富一知事(66)
《評価》
★★★★★=3票

「スピード感をもって対策できている」(青木克明県議・★5つ)
「県民の生命を守ることを第一に迅速かつ的確な判断をしている」(木村好文県議・★5つ)
「県独自の協力金を支給することは評価」(匿名・★5つ)

 4期めとなるベテランの貫禄か。

●群馬県・山本一太知事(62)
《評価》
★★★★★=1票
★★★★=1票

「頻繁に記者会見を開き、県民に理解・協力をお願い。市町村長とも連携を密にしている」(中沢丈一県議・★5つ)
「情報発信で一部、統制が取れていない」(匿名・★4つ)

 休業企業へ20万円を支給。参議院議員時代に培った、発信力に期待したい。

●茨城県・大井川和彦知事(56)
《評価》
★★★=1票
★★=1票

 1期めの新人知事の正念場。

「経済に配慮するあまり、県立学校の全校休業の判断が遅れ、なかなかPCR検査が受けられないなど、疾病対策そのものへの優先度が低い」(玉造順一県議・★2つ)
「初期の感染状況の判断が甘かった」(匿名・★3つ)。

●山梨県・長崎幸太郎知事(51)
《評価》
★★★★★=2票
★★★=1票

 5月の知事給与を1円に。

「対策が非常にスピーディ」(水岸富美男県議・★5つ)
「初動が早かった。県民向けに、記者会見も頻繁に開催している。リーダーシップを発揮し、庁内リソースをフル活用して、事にあたっている」(宮本秀憲県議・★5つ)

●静岡県・川勝平太知事(71)
《評価》
★★★★★=4票
★4.5=1票
★★★★=2票
★★=1票

「病床の確保や、専門家から助言を受ける体制の構築等、感染拡大防止における対応が早かった」(田内浩之県議・★5つ)

 各県が、コロナ感染者向けの病床数を増やしているなか、高評価が多い。川勝氏自身も経済学者とあって、専門家の意見は素直に採用するようだ。

●長野県・阿部守一知事(59)
《評価》
★★★★★=2票
★★★★=3票

 高評価が目立つ。長野に限った話ではないが、学習に関する意見も。

「スピーディで的確な対応」(匿名・★5つ)
「パフォーマンス的な面がなくていい」(匿名・★4つ)
「国の休校要請に従わず、前年度の学習は終わらせるべきだった」(望月義寿県議・★4つ)

●富山県・石井隆一知事(74)
《評価》
★★★=1票

「県独自の支援も少ない。県内での感染発生が遅かったリードタイムを生かし、体制を整えるべきだった」(瀬川侑希県議・★3つ)

 感染発生は遅かったが、クラスターが複数発生し、感染者が急増したため苦言が。富山市長との連携不足も指摘されていた。

●石川県・谷本正憲知事(75)
《評価》
★★★★=2票
★★★=2票
★=3票

「息抜きしたい気持ちがあれば、石川にお越しいただければ」の発言で炎上。感染者の人口比率は全国トップクラスだ。

「軽率な発言で感染が拡大した可能性も。県民を守る姿勢が感じられず、信頼感を完全に失っている」(川裕一郎県議・★1つ)

●福井県・杉本達治知事(57)
《評価》
★★★★★=2票
★★★★=3票
★★★=1票
★★=1票

「反応が早い。国以上に果敢にさまざまな対応を実施。首長として心強い」(細川かをり県議・★5つ)
「総務省時代に防災を所管、危機管理能力は高い」(力野豊県議・★5つ)

 全世帯へのマスク購入券配布など、独自の対応で注目を集めた。県議からの信頼も厚い。

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