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【読書感想】感染症対人類の世界史

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感染症対人類の世界史 (ポプラ新書 い 4-7)
作者:池上 彰,増田 ユリヤ
発売日: 2020/05/01
メディア: 新書

Kindle版もあります。


感染症対人類の世界史 (ポプラ新書)
作者:池上彰,増田ユリヤ
発売日: 2020/04/16
メディア: Kindle版

池上彰と増田ユリヤによる緊急出版!
新型コロナウイルス感染拡大を歴史に学ぼう。
人類は感染症とどう向き合い、克服してきたか――?

これまで何度となく繰り返されてきた感染症と人類の闘い。
天然痘、ペスト、スペイン風邪……そしてコロナウイルス。
シルクロードの時代から人と物の行き来がさかんになり、
暮らしが豊かになるにしたがって、感染症も世界中に広がっていった。

感染症拡大で起きたデマや差別にどう対応してきたのか
日本の天平の大疫病の時に行われた復興政策とは
ヨーロッパを何度も苦しめペストは、社会構造を大きく変えた
死の前では貴族も農民も平等。感染症流行が影響を与えた芸術作品たち
コロンブスの新大陸発見の裏にある疫病とは

感染症の流行が、人類に問うてきたことから、
冷静に感染症と向き合う術を学ぶことができる。

生きる希望は歴史にあり!

第1章 シルクロードが運んだ病原菌
第2章 世界史をつくった感染症――天然痘
第3章 世界を震え上がらせた感染症――ペスト
第4章 感染症が世界を変えた――日本編
第5章 世界大戦を早めた「スペイン風邪」
第6章 人類の反撃始まる
第7章 今も続く感染症との闘い

 池上彰さんと増田ユリヤさんが対談形式で、感染症と人類との闘いの歴史を紹介したものです。

 今まさに日本では新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための「自粛」が続いているわけですが、感染症に対する知識がなかった時代には、感染症は、今よりもっと急速に、「わけがわからないまま」拡大していったのです。

増田ユリヤ:ところでペストのことを黒死病と呼ぶのは、その言葉通り、身体が真っ黒になって死んでしまうからなんですよね。

池上彰:どうして死体が真っ黒になるかというと、内出血が激しいからです。腫れると痛みをともなう紫斑のあざが現れて、それが黒くなるからなんです。

 これは想像に過ぎないけれど、そんなふうに真っ黒になって亡くなっていく人がバタバタ出たら、当時であれば、「神罰」「天罰」と思う人がいても当然ですよね。それが権力者や為政者への不満と重なって、社会や政治を動かすことになっていくのでしょう。
池上:14世紀にヨーロッパで起こったペストの大流行では、ユダヤ人への差別が強まります。

増田:もともと、ユダヤ人は差別されていたわけですよね。

池上:そもそもイエス・キリストを十字架にかけたのはユダヤ人。その子孫として、ヨーロッパで差別を受けていました。

増田:なかなか仕事もなくて、当時は、金融業をしているユダヤ人たちもいました。キリスト教では、お金を貸して利息をとることは悪いことだと考えられていたのです。

 つまり、ユダヤ人は、キリスト教徒が就かないような仕事にしか就けなかったんですよね。また、住むところも限られていて、みんなでかたまってユダヤ人街をつくって、そこに住んでいた。つくった、というより、そこへ住むように押し込められていたわけです。

池上:ところがペストが流行っても、ユダヤ人たちが住んでいる地区からは患者が出ない。これは、きっとユダヤ人たちが何かしているのではないか。

増田:そういう疑心暗鬼が生まれる雰囲気は今と同じです。
池上:本当にそうですよね。それでひどいことを考える人も出てきます。こんなにバタバタと人が死んでしまうということは、ユダヤ人が井戸に毒を投げ込んだのではないか。そんなことを思って、デマを飛ばす人も出てくるわけです。

増田:誰かを差別していると、差別している方も、なんとなくうしろめたいんですよね。だから差別されている人たちがいつか自分たちに報復してくるのではないかという不安を常に抱えている。それで何かが起こると、すぐに、これは自分たちが攻撃されているのではないかという疑心暗鬼につながるのです。その意識が自分たちを守るためといった歪んだ過剰防衛の意識を生みます。
 感染症の流行は、病気の蔓延だけではなく、人と人との関係にも大きな影響を与えるのです。

 今回の新型コロナウイルスに対しても、最初に発生したとされる中国の陰謀だと考えてる人をネットで見かけますし、感染者や医療従事者への差別も報道されています。「自粛しない人」をわざわざ見つけ出して吊るし上げるなんていうのも、僕には過剰防衛のように感じるのです。

 根拠がない差別でも(「自粛」に関しては、自分たちの身の危険に巡りめぐってつながる、とも言えるけれど)、「命を守るため」ということになると、正当化しやすいところはありますよね。

 ここで語られているユダヤ人の場合は、差別されていることによって、結果的に「隔離」され、感染を免れていたのに。

 病気についての知識がない時代はさておき、2020年になっても、人は「日頃隠している差別意識」を、こういう機会に顕わにしてしまうのです。

 感染症は、社会に変革をもたらすことも多いのです。その被害が大きければ大きいほど、劇的に。

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