- 2012年08月24日 05:18
「食べログ」と「アマゾン」の5段階評価の、似ているようで大きな違い
良く似た仕組みとしては、アマゾンがあります。書籍を中心としたオンラインサイトですが、こちらにも書籍のレビューというのがあり、読者が本の評価を5段階で行います。これも、出版社や著者にとっては、無視できない影響力があります。
2つに共通するのは、グルメライターや本の評論家といった専門家が評価するのではなく、素人の情報をまとめることで、「大衆知」から価値を知ろうとしていることです。。
実際、素人と言っても、専門家顔負けの深い洞察力や知識を持っている有名なレビュアーもいます。レストランに行く前には食べログで点数を見る、本を買う時はアマゾンで評価を確認する。似ているように見えますが、2つの評価には大きな違いがあるように思います。
食べログが対象にしている飲食店の場合、その価格帯には大きなレンジがあります。1000円以下のラーメン店もあれば、3万円以上する高級フレンチや、お寿司のお店もあります。食べログの評価の方法は、基本的には価格の割りに美味しくて、雰囲気が良いお店が高評価になります。つまり、価格と価値の関係であるコストパフォーマンスが評価の基本軸なのです。
これに対して、アマゾンが主対象とする本の場合、価格はほとんどの本が1000円前後です。したがって、割安割高という視点はほとんどありません。価値、すなわちクオリティだけが評価の軸になるのです。
同じ評価でも、食べログはフランス語で言うところの「キャリテ・エ・プリ」がポイントに、アマゾンは「キャリテ」だけを見ていることになります。
ここで悩ましいのは、食べログの評価の捉え方です。例えば、同じ4点の評価であっても、3万円のお店と1000円のお店では、意味が異なります。どちらも「価格<価値」という点で評価されているのですが、その割安度は評価だけからは知ることができません。
食べログでも、アマゾンでもレビューの内容に首をかしげることが良くあります。特に食べログの場合は、高級店も大衆店も同じ尺度で評価しているため、点数だけではなく、評者の価値観を知るために、コメントまで読まないと、その人が評価している価値が見えないのです。
このようなレビューを情報として活用する時は、平均点を見るのではなく、どのレビュアーが評価しているのかを見た方が確実だと思います。どちらにサイトにも常連の投稿者がいます。その人たちの中で、自分と似たような好みや嗜好をもっている人を探し、その人に目利きになってもらうのです。
点数だけが、一人歩きしてしまいがちなレビューですが、平均だけを鵜呑みにするのではなく、評価のコメントを上手に活用することができれば、とても有益な情報源になると思います。