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仏、「ウイルスとの共存」へ

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写真:外出禁止で人の姿が消えたパリの凱旋門前の通り(2020年3月26日午後6時過ぎ)出典:flickr / ERIC SALARD

Ulala(ライター・ブロガー)

【まとめ】

・仏政府は5月11日に外出禁止解除、経済再開の目標表明。

・「経済崩壊」避け「ウイルスとの共存」を選択。背景に騒動の散発。

・学校再開には賛否。チェック日を設け段階的に制限解除へ。

フランスは新型コロナウイルスの感染拡大の中、すでに2万4087人(4月30日時点)が亡くなった。そして、現在でもまだ4207人が集中治療室で治療され続けている。しかしながら、フランスは5月11日に外出禁止を解除するという大きな目標をもち、現在その目標に向かい、確実に前進し続けている。

■  経済崩壊を防ぐためにウイルスと共存していく

4月28日、エドゥアール・フィリップ首相による演説が行われた。その演説の冒頭で語られたのは、外出禁止がこれ以上長引けば「経済崩壊のリスク」があるということだ。そして、その「経済崩壊」を防ぐためにも、「経済活動を再開させ、ウイルスと共存しながら活動していく」それが、現在、フランスが目指そうとしていることなのである。

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「崩壊」という言葉を演説で使ったフランスの首相は今までいただろうか?この「崩壊」という言葉はかなりのインパクトをあたえたようで、演説後にフランスメディアも大きく注目する言葉ともなった。

実際に、外出禁止期間はフランス経済に大きな影響を与えている。2020年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率が前期比でマイナス5.8%と、過去最大の落ち込みとなった。2月の景気報告では0.1%増を予測していたにもかかわらずだ。これは、1949年から開始された四半期のGDP評価の歴史の中で最大の減少であり、これ以上のマイナスにならないためにも、国の経済を回復させていくことが重要なのは、誰の目にも明らかだろう。

また、3月の失業保険申請件数は前月比で24万6100件(7.1%)増となり、月次の伸びは1996年の公表開始以降で最大になった。これは、外出禁止を受け雇用自体がなくなったことと、就業停止による一時的失業という枠が増加したことが理由としてあげられる。しかしこの一時的失業者は会社の活動が再開されれば再び雇用者となることが約束された失業者ともいえるが、もし外出禁止が長引き、戻れる会社自体がなくなればそのまま完全失業者になる可能性もあるのだ。

さらに、外出禁止期間に大きく打撃を受けたのは低所得者層であり、テレワークができない層だ。例えば、パリの北東部に位置するセーヌ=サン=ドニ県は、フランスで最大の被害を受けた町だ。大部分が、最低賃金、失業者、または一時的な仕事から収入を得ている不安定収入の住民で構成されている町でもあったため、外出禁止により過酷な状況に追い込まれている。

それらの町では、食料を買うお金にも困っている中、子供たちも学校で給食も食べられなくなり、食料配布を受けるために並ぶ人々の列が伸びている。今にも「飢餓による暴動」が起きるかもしれないと警告していた記者もいた。

「飢餓による暴動」はまだ起きてはいないものの、それでも、いくつかの騒動はおき始めている。18日に警察による検問で、バイクに乗っていた男性(30)が脚を骨折するけがをしたことが発端となり、パリ北部のビルヌーブ・ラ・ガレンヌで若者の集団が車に火を放ち、機動隊に爆発物を投げ付ける騒ぎが起きた。この騒動は数日続き、21日には小学校が放火される事件も起き、騒動は5つの町に及んだ。

またパリ郊外の他の町でも、いずれもまだ小さなレベルではあるものの、公共物などに火を付けられるようなことが起き始めている。筆者の近辺でも昔は危険な町とされてきたところがあるが、現在は大幅に改善され問題発生も少なくなっていた。しかし、この外出禁止期間中に約15年ぶりに車が2台燃やされるなどの事件が起きた。仕事も学校もない若者たちが警察の外出禁止の取り締まりが強化される中、ストレスがたまってきているのだ。

▲写真 「マクロナウイルス」とマクロン大統領を揶揄する落書き。題名には「40日間監禁」とも書かれている。(2020年4月25日撮影/パリ)出典:flickr / Paule Bodilis

このような状況を受け、5月11日からはテレワークは維持しつつも、テレワークでは働けなかった人たちも、できるだけ多くの人が活動していけるようにしていきたいというのが政府の希望だ。

■ 国民の反応

このフィリップ首相の演説の内容については、大多数の国民が賛成した。

OpinionWayの調査結果によると、承認率は、

テレワークの維持(93%)

公共交通機関でのマスク着用義務(91%)

スポーツと文化イベントの中止(82%)

証明書なしで移動OK(80%)

6月2日までの宗教儀式の禁止(80%)

高校の閉鎖を継続(77%)

集会は10人まで(77%)

朝市の再開(75%)

流行の影響が最も大きい地域には制限付きの解除(74%)

一クラスあたり15人の生徒の人数制限(67%)

少なくとも6月の初めまでカフェとレストランの閉鎖(62%)

保育園の再開(61%)

しかしながら、学校再開についてのみ、意見がわかれている。賛成は49%(反対と同数)となった。

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