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【佐藤優の眼光紙背】野田首相の親書を送り返す韓国の無礼な対応に国家をあげて反撃せよ

竹島を視察する李明博大統領。(8月10日、AP/アフロ) 写真一覧
佐藤優の眼光紙背:第140回
 韓国が、わが国に対して、想定外の無礼な対応をしてきた。野田佳彦首相の李明博大統領宛の親書の受け取りを送り返すというのだ。
韓国、首相親書を返送へ 手続きや内容に問題と主張

 韓国外交通商省当局者は22日、竹島(韓国名・独島)の領有権問題などをめぐり、野田佳彦首相が李明博大統領宛てに送った親書を、日本側に送り返す方針を決めたことを明らかにした。

 野田首相は17日、大統領の竹島上陸や日韓関係をめぐる発言に「遺憾の意」を伝え、竹島問題を国際司法裁判所に共同提訴することを提案する親書を出した。

 外交通商省当局者は(1)親書を受け取れば前例となる上、日本の首相が代わるたびに送付されかねない(2)韓国政府が親書を受け取る前に日本側が日本メディアに公開し、手続き上問題があった(3)韓国が受け入れがたい内容が含まれている−などを返送理由として挙げた。

 聯合ニュースによると、大統領府高官も22日、「専門家の意見を総合した結果、親書を受け取って返信するのは正しくないとの意見が大多数だった」と述べた。(8月22日、共同通信)

 外交の世界において、野田佳彦首相という人間に日本国家が体現されている。首相の親書を送り返してくるということが外交的に持つ意味は、日本国家と日本国民に対する侮辱以外の何ものでもない。今は国内政争や野田首相への好悪は、脇に置くべきだ。日本が礼を尽くして親書を送っても「気にくわないことについては、日本と一切話をしない。言うことに耳を傾けない」という韓国の姿勢は、友好国のとる態度ではない。

 ここで重要なのは、国権の最高機関である国会が、可及的速やかに「竹島返還に関する国会決議」を採択することだ。この決議には、「わが国と韓国の国交が正常化され47年を迎えた今日も、なおわが国固有の領土である竹島が韓国により不法占拠され、領土紛争が解決されていない現状は、誠に遺憾なことである。わが国の累次の抗議にもかかわらず、大韓民国は竹島に軍事施設等を建設し、兵員を常駐させている。さらに平成24年8月10日に、李明博大韓民国大統領が竹島に上陸し、わが国民感情を著しく傷つけた。わが国民の総意と心情に応えるため、政府は、竹島問題の解決に全力を傾注すべきである。さらに政府は、『竹島の日』を定め、竹島問題に対する国民の理解と関心を一層深め、竹島返還運動を全国的に展開すべきである。」というような内容を盛り込めばいいと思う。

 そして、衆議院と参議院が「竹島返還に関する決議」を採択したら、それぞれの院が韓国に代表団を派遣し、韓国の大統領、国会議長に決議文の韓国語訳を渡すのだ。韓国が代表団の受け入れを拒否する場合、国際的に韓国は孤立する。

 積極的な外交攻勢を政府、国会が一体となってかけなくてはならない。情けないことに、どうも国会議員の大多数は、日本国首相の親書が送り返されることが持つ深刻さをよくわかっていないようだ。今は内輪揉めをしてういるときではない。韓国の横暴な対応に、国家と国民が一体になって反撃しなくてはならない。(2012年8月22日脱稿)

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プロフィール

佐藤優(さとう まさる)
1960年生まれ。作家。1985年に外務省に入省後、在ロシア日本大使館勤務などを経て、1998年、国際情報局分析第一課主任分析官に就任。 2002年、鈴木宗男衆議院議員を巡る事件に絡む背任容疑で逮捕・起訴。捜査の過程や拘留中の模様を記録した著書「国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて」(新潮社、第59回毎日出版文化賞特別賞受賞)、「獄中記」(岩波書店)が話題を呼んだ。
2009年、懲役2年6ヶ月・執行猶予4年の有罪判決が確定し外務省を失職。現在は作家として、日本の政治・外交問題について講演・著作活動を通じ、幅広く提言を行っている。近著に「功利主義者の読書術 (新潮文庫)」がある。

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