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要らないマスク寄付ボックス

 国の予算で配布されたガーゼのマスク、家では誰も使わないので、どうしたものかと思っていたら、東京の浅草に、「要らないマスクを山谷に寄付するボックス」というものが設けられたという記事を見た。これはいいと思ったのだが、今の状況下で、わざわざ電車に乗って届けに行くほどの勇気はない。地元の区役所の入り口あたりに設置して貰えないものだろうか。区の公費で行うのが難しかったら、社会福祉協議会のような組織でやってくれるといいと思う。

 それにしても、いったい何のためのマスク配布だったのだろう。感染者が一人も出ていない県の住民にも、全国一律に配ったそうだが、幸いにして感染者の増加が下向きになってきたのは、マスク配布のおかげだと言うにしては、タイミングが合っていないように思われる。政府が本気なのを感じて、ウイルスが恐れ入って引き下がったというような情緒的な話でもあるまい。

 常識で考えたら、やはり「外出の自粛」などの、庶民の自発的な協力が効果をあげたのではなかろうか。公権力で取り締まらなくても、必要なときには良識をもって行動できるのが、日本の国民の美質だと言ってもいいように思う。

 私は一連の騒動で、戦時中の東京を思い出していた。東京への空襲が必至になったとき、学童疎開を初めとして、東京からの住民の疎開が、かなり徹底して実行されたのだった。千五百人いた私の国民学校は、「全部合わせて40人」にまで減って、6年生は私ひとりだけになったのを覚えている。2年生以下の幼児だけは、集団疎開を免除されていたのだと思う。

 今もまた国家的な非常時だが、アベノマスクがあろうがなかろうが、新型ウイルスは、庶民の良識で抑え込んでやりたいものである。

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