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ジョー・バイデンは外交通か

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ジョー・バイデン前副大統領(2019年8月11日 アイオワ州デモインでの銃規制を求める集会で)出典:Joe Biden facebook

島田洋一(福井県立大学教授)

【まとめ】

・外交姿勢は安定と多国間協調を旨とする現状維持派、「国務省派」。

・テロ勢力には非常に安心。中国、北朝鮮、イランには宥和政策か。

・共和党が上院で多数維持なら、早々にレイムダック化へ。

民主党の大統領候補に事実上決まったジョー・バイデン(77)は長く「外交通」を以て任じてきた。彼の回顧録『守るべき約束―人生で政治で』(Promises to Keep: On Life and Politics, 2007 未邦訳)を通読しても、国際政治の知識と経験では誰にも負けないとの自負が溢れている。だが、果たして実際そうか。

バイデンは、権威ある連邦議会上院において、44才で司法委員長、その後数次にわたって外交委員長を務めた。これは特に優秀だったからというより、異例の若さで初当選したことが大きい。

実力主義を掲げ、「異例の抜擢」が当たり前のアメリカ社会でも、上院は例外的に年功序列が基本の世界である。各州平等という憲法の建前上、人事に関し、当選回数以外の基準を採用しにくいからである。

上院議員は就任時30才以上と憲法で定められているが、バイデンは29才で当選、数週間後に誕生日を迎えて年齢要件を満たした。

当時バイデンは市会議員を1期務めただけの無名の弁護士だった。ところがベトナム戦争が泥沼化し、旧来の政治への不信が高まる中、共和党のベテラン現職を僅差で破る大番狂わせを演じたわけである。

バイデンの地元デラウェア州は人口が少ない(現在でも約97万人)。ほとんどの州は下院議員の定数が上院議員のそれ(各州2人)を上回るが、デラウェアは上院2人に対し下院1人の「逆転州」で、野心ある下院議員からの挑戦を受けにくい。バイデンは以後、順調に当選を重ねた。

なお初当選の直後に、交通事故で夫人と長女を失う不幸に遭っている。そのため党執行部はバイデンに何かと気を使った。通常1回生議員は入れない外交委員会にも席を与えられた。当時、民主党重鎮のほとんどが南部選出の「人種分離主義者」だったが、種々面倒も見てくれる彼らとバイデンは良好な関係を築いていく。

昨年6月、ある集会でバイデンがそうした過去の長老議員2人の名前を挙げ、「共に仕事をした。彼らは私を決してボーイと呼ばず、常にサン(息子)と呼んだ」と語ったのに対し、他の民主党候補から次々批判の声が上がった。

特に黒人のコーリー・ブッカー上院議員は、「尊大な人種分離主義者たちと組んだ」過去を楽しげに振り返るような人物は国を1つにまとめられない、「黒人をボーイと呼ぶ悪弊を冗談の種にしてはならない」と論難し、バイデンに発言の撤回と謝罪を求めた。

▲写真 コーリー・ブッカー上院議員(2019年8月7日 米・フィラデルフィア)出典: flickr; Michael Stokes

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