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『Nスペ』より『モーニングショー』が信頼できる?岡田晴恵教授と玉川徹が国の専門家会議に注文した件

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 緊急事態で私たちの行動がさらに次の状況に影響しかねないときは、権威ある専門家の言うことには異を唱えにくい。

 だが、どんな緊急事態であっても、あるいは緊急事態であるからこそ、権威がある人たちが言ったことでも他の専門家から見て「?」という点があるときは、そうした点もきちんと指摘することが報道の役割である。

 いきなり、ジャーナリズム(報道)ついての授業での説明のような話を書いたのには理由がある。

 政府の専門家会議が発表した内容について、ニュース番組や情報番組は「専門家会議はこう提言した」などと報じるだけの現状になってしまっている。その代表例がNHKの看板番組である『NHKスペシャル』である。政府の専門家会議などに対して、疑問を投げかけることをしない。専門家会議のメンバーが言うことをそのまま伝えるだけで異論を挟まない。

 だが、専門家会議も一生懸命やっていることは認めるとしても、彼らの提言などによって現在の新型コロナの感染拡大防止のための政策が決定されていて、感染拡大がいまもどんどん続いているのは周知の通りだ。

今回、筆者が記すのはコロナ報道でどのメディアが信頼できるのかという点で『NHKスペシャル』よりもテレ朝『モーニングショー』の方が信頼できるのでは?という実態だ

 それはNHKスペシャルの報道の「姿勢」に起因するものだ。

 少々、長くなって恐縮だが、いまコロナ対策で、どの情報を信じればいいのか不安に思っている人は最後まで読んでいただきたい。

 専門家会議の発表をそのまま伝えるだけの報道ばかりが目立つなかで、筆者が見るところではテレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』だけが専門的な知見も交えて、政府見解とは距離を置いて、場合によっては批判的な意見や注文まで伝えている

いま日本では感染者の増大に歯止めがかからず、医療崩壊が起きかけている

 そのために「人と人との接触を減らす」「現場で必死に働く医療関係者へのバッシングを減らす」などをもっともっと進めていかないと、日本はアメリカやイタリアの二の舞に突入してしまう。ただちに国民全体が行動を起こすべきだ…。

 政府の専門家会議のそうした認識は、この状況において誰が見ても正しい。

 「総論」では正しいのだが、「問題」になってくるのは各論である。

 説明の仕方対策の進め方などが納得できるものでないと、国民の中ではついていけない人もいる。

 そういう意味で専門家会議の記者会見などをチェックする上で情報番組が果たす役割は大きい

 『モーニングショー』が圧倒的に強いのは岡田晴恵・白鴎大学教授を抱えていて、羽鳥慎一キャスターやコメンテーターの玉川徹らもそれぞれが勉強してこの分野における専門的な知見を深めていることだ。

 4月23日の同番組は、前日の専門家会議の後で記者会見した厚生労働省スラスター対策班の西浦博・北海道大学教授が次のように語ったことを伝えた。

(厚労省クラスター対策班・西浦博北大教授)

「行動を著しく制限しないといけないような状況は数ヶ月単位に収めたい。
“多かれ少なかれ”向こう1年間はこの流行とつきあっていかないといけない」

 これに対して、岡田教授が次のように注文をつけた。

(岡田教授)

「私、西浦先生にお願いしたいのは、西浦先生が行なったたくさんのシミュレーションの基礎的なデータ、どういう数値を入れているのか、それから、たとえば実効再生産数も2.5というのを、これドイツだと思うんですけど…」

(羽鳥キャスター)

「1人の人が何人にうつすかという数値ですね?」

(岡田教授)

「そうです。実効再生産数の、現在の日本はいくつなのか、とか、という基礎的なデータをいただきたいなと思います。
そもそもPCR検査にしても厚生労働省から出ているのも、(入院した感染者が)退院するときの2回の検査を含むものと含まないものがあったりとか混同しやすくて、なかなか実態把握ができないんです。私たち」

 同じ研究者として、基礎となるデータが明確でないだめに検証ができないと言っている。

(岡田教授)

国内の他の(専門家会議以外の)研究者も議論できるように出していただきたい

 他の研究者も同じデータを元に検証することでもっときちんと伝わるはずだと匂わせている。

(岡田教授)

「感覚的なことで(西浦教授の言った)“多かれ少なかれ”というところがすごくひっかかるんですね。
こういう表現を学者が言うのかな?とちょっと私は思ったりしています」

(羽鳥キャスター)

「確かに一般的な受け止め方としては、数ヶ月単位なのか1年間なのかというのはちょっとふわっとしていると思う。そこにこういう状況だから、というのがあると…」

(岡田教授)

「でないと国民が、企業の自粛だとか、痛みを強いられているわけですよ。商売やっている人は生き死にがかかっている。
ここら辺をもう少し可視化してくれると、たとえばこの行動規制とか他の対策とかモチベーションが上がるじゃないですか、
こうだからこうなんだと。そういうふうなことをお出しいただきたい」

(羽鳥キャスター)

「可能であればデータをもう少し出してもらえると、そうかだからこういうちょっと長めの期間なのかということに納得できると」

(岡田教授)

納得できるわけですね

 前日に行われた専門家会議は「PCR検査の体制強化」などを政府や自治体に提言している。

 PCR検査の数を韓国がやったようにもっと増やしていくべきだということはこの番組で岡田教授やコメンテーターの玉川徹が毎回のように言い続けてきたことだ。

 しかし、専門家会議ではこのことをこれまで明確には提言せず、むしろ後ろ向きの印象を残してきた。

(岡田教授)

ようやく(専門家会議の提言に)PCR体制の強化というのが入ってきた
それを具体的にどうするのか。このようになって(感染が広がって)来ていますので。
そこがちょっと引っかかるところです」

(羽鳥キャスター)

「自治体によってはドライブスルーをやって行こうとか、そういう動きも?」

(岡田教授)

「それはすごく良いことなんですけど、それを全国に広げるためにはどういしたらいいかというのを模索している状況ですね」

 PCR検査について玉川徹も言いたそうに一度は割り込んできたが、羽鳥キャスターに「後で」を押しとどめられた後に間を置いて話す機会を得た。 

(玉川徹)

「(PCR検査については)これは是非どんどん前に進めていただきたいということです。
PCR検査が足りないということが今の(感染者数が急増している)状況を生んでいる可能性があるので
これは是非、前に進めていただきたいということではあるんですが、
ただちょっと疑問があります

 玉川が指摘した「疑問」というのはこれまで新型コロナのニュースをずっとフォローしてきた筆者にとってもまったく同感するものだった。

(玉川徹)

専門家会議を含め、PCR検査の数を絞っていたわけですね。
いまここで『PCR検査を増やしましょう』ということになった。

これは転換しているわけですね。方針を。

なぜ転換したのかということの説明がない

 玉川は「専門家会議による方針の転換」という言葉を強調して「説明がない」と断言した。

(玉川徹)

「何でそういうことを言うかと言うと、別に過去(の責任)を問うているわけではなくて
まだ、いまの段階でも(スタジオの)パネルにありますけども、
(専門家会議は)『患者数が大幅に増えたときの相談・受診体制(提言)』というふうに書いてあるんですけれども、
こういうふうな体制というのは、あらかじめ前もって予見して体制を取っておかない限りは必ず、遅れる、遅れるになるんです。
だから、なぜ、どの段階で方針を転換したのかを(専門家会議に)ぜひ言っていただきたい」

玉川は他局の番組である『NHKスペシャル』を名指しした

(玉川徹)

「というのは専門家会議のメンバーでもある東北大学の押谷教授が厚労省のクラスター対策班のメンバーでもあるんですけれども、3月22日の『NHKスペシャル』でこういうふうに言っている。

『むしろPCR検査を抑えていることが日本が踏みとどまっている大きな理由だと考えられます』と。

NHKでしゃべってらっしゃるんですよ。それが4月になると、そうじゃなくて、やっぱり『PCRを増やさなきゃいけない』というふうに変わっているんですね。4月11日に。これは(専門家会議の)中で何が、どういうことがあるのか。そういうことを僕は是非知りたい。

ここをちゃんと知っておくことで今後にも生かされると思うんですけど」

 筆者が確認したところ玉川が指摘したのは、3月22日放送の『NHKスペシャル “パンデミック”との闘い~感染拡大は封じ込めれるか~』だ。

 この番組ではヨーロッパやアメリカで起きているオーバーシュート(感染爆発)が日本では(この時点では)起きていないとして厚生労働省のクラスター対策本部のメンバーでかつ政府のコロナウイルス対策会議のメンバーでもある押谷仁・東北大学大学院教授に対策本部での様子を取材したVTRとスタジオの両方でインタビューしていた。以下はそのスタジオの部分だ。

(NHKの男性キャスター)

「日本もPCR検査の数が少ないので見逃している感染者も多数いるのではないかという指摘がありますが?」

(押谷仁教授)

「本当に多数の感染者を見逃しているのであれば日本でも必ずオーバーシュートが起きているはずです。
現実に日本ではオーバーシュートは起きていません。

日本のPCR検査はクラスターを見つけるために十分な検査がなされていて、
そのために日本ではオーバーシュートが起きていない。
実はこのウイルスでは80%の人が誰にも感染させていません。
つまり、すべての感染者を見つけなきゃいけないというウイルスではないんですね。

クラスターさえ見つけられていれば、ある程度、制御ができる。

むしろ、すべての人がPCR検査を受けると医療機関に多くの人が殺到して、その中にはほとんどの人が感染していない、一部の人が感染している。そこで医療機関で感染が広がってしまうという懸念があって、

むしろPCR検査(の数)を抑えていることが日本がこういう状態で踏みとどまっている、そういう大きな理由だと考えられます

 確かに玉川の指摘する通りで、押谷教授はこの時点では「PCR検査を抑えていることで日本が踏みとどまっている」という認識を示していたのだ。

 それから3週間ほどしてNHKが4月11日に放送した『NHKスペシャル 新型コロナウイルス瀬戸際の攻防~感染拡大阻止最前線からの報告』で押谷教授が再び登場する。NHKスペシャル班は前回に引き続き、厚労省クラスター対策本部での押谷教授の活動を中心に撮影を進めていた。

 押谷教授を含めた専門家会議が緊急事態宣言の発令を提言し、政府が4月7日に緊急事態宣言を発令していた。

 このときもスタジオに出演した押谷教授はキャスターからPCR検査について問われている。

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