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コロナ禍でも就活生を面接に呼び出すIT企業のヒドい言い訳 

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政府から外出自粛を要請されているにもかかわらず、就活生を呼び出して、対面式の説明会や面接を実施する企業が後を絶たない。人事ジャーナリストの溝上憲文氏は「調べてみると、最もリアル面接をしているのはIT企業だった。学生の感染リスクを軽視し、感染しても責任を負わないという姿勢は許されない」という——。

採用担当者と就活生たち

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/itakayuki

2021年卒の就活は新型コロナウイルス感染拡大で大混乱

新型コロナウイルスの感染拡大で2021年卒の就活がほぼストップしている。3月から企業説明会が本格化し、例年ならリクルートスーツ姿の学生がちまたにあふれていてもおかしくない時期だ。

だが、2月ごろから各企業の冬の「1dayインターンシップ」が相次いで中止になり、3月に入ると、企業の説明会や就活情報サイト主催の合同説明会が軒並み中止となった。

もちろん就活だけではない。大手企業は在宅勤務に切り替え、社員の出社を制限、4月入ると首都圏の大学も閉鎖に踏み切った。

4月7日には感染拡大が止まらない7都府県に対し、政府は「緊急事態宣言」を発出し、とくに東京都は外出自粛や厳しい営業自粛要請を行った。

続く11日には安倍晋三首相が対象7都府県の全企業に原則在宅勤務と出勤者を最低7割減らすことを要請し、以降は電車で通勤する会社員をはじめ外出する人が大幅に減少した。

コロナ禍で就活はウェブ説明会・面接にシフトしたが……

学生にとっては企業との接触が断たれ、大学のキャリアセンターも閉じられる中で採用に関する情報が遮断され、就活どころではなくなった。

ただし、その中でも大手企業を中心に一部の企業は学生との接触を維持するためにウェブ説明会やウェブ面接に切り替えるところもあった。

筆者が2月下旬に取材で訪れた東京都内の人材サービス会社はすでにウェブ面接に切り替えたと言っていた。

学生にとっては担当者と直接対面できないなど多少不便ではあるが、遠方から電車などで都心に足を運ぶという感染リスクを考えれば理にかなった方法だと感じられた。

実際に新型コロナウイルスに感染した就活生も発生した。3月22~27日にかけて就活で東京に滞在していた仙台大学の男子学生が帰郷後に発熱し、後に陽性と確認されている。また、長崎国際大学の男子学生が就活で滞在していた大阪市で感染していたことが4月2日に判明している。

若年層は感染しても症状が悪化しにくいと言われていたが、重症化する報告も相次いでおり、欧米では死亡例もあるなど生死にかかわる恐れもある。

新型コロナ禍で、対面の説明会・面接を実施する企業が「4割」

ところが、日本中が新型コロナの厳戒態勢下にあるにもかかわらず、今でも対面での会社説明会や面接を実施している企業があることがわかった。

採用アナリストの谷出正直氏が4月14日、翌15日に東京で開催される会社説明会を就職ポータルサイト「リクナビ」で調べたところ152社あった。

各社の内容をチェックすると、ウェブ上での説明会・面接を行う企業が91社と6割を占めた。だが、残り4割の61社が自社ないし貸し会議室を使った直接対面での開催だったという。

面接を待っている学生たち

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/TAGSTOCK1

「新型コロナウイルスの感染拡大で多くの企業が出社を制限している中で、学生に来社を求めている会社が多いことに驚きました。多くの学生が訪れる大企業は感染リスクがあるのでオンライン説明会に切り替える中で、中小企業は10人以下の説明会などを3月には結構やっていました。しかし、その後に東京都の自粛要請や緊急事態宣言が出ても相変わらず、学生を呼んで対面での説明会を続けているのです」(谷出氏)

直接対面のリアル説明会を開催した企業は中小企業が多く、業種もIT、不動産、人材サービス、製造、介護、流通・小売りなど多岐にわたっている。

なぜウェブサービスを扱うIT企業が対面の説明会・面接をするのか

驚いたことに最も多かったのがIT業界だった。ウェブ上での説明会や面接などお手のものはずもだが、どうなっているのか。

「IT業界といってもウェブサービスを扱っている会社というより、大手システム開発企業の受託開発企業が多い。それでもウェブシステムの導入にそれほどお金がかかるわけでもありません。スカイプやZoomは無料ですし、学生の安全を考えればオンラインシステムを導入すべきです」(谷出氏)

4月24日(金)に東京でリアル面接をするIT企業の「言い訳」

実際に「4月24日(金)、東京開催」でリクナビを検索すると、リアル面接の開催企業が相当数出ている。

たとえば、あるIT企業の開催案内にはコロナに触れて、下記のように述べている。

<コロナ感染拡大している状況の為、就職活動されている皆様におきまして、大変な不安を抱えられているのではないでしょうか。『今就活しないといけない』ということはありません。当社会社説明会は7月頃まで開催する予定です。安心して外出できるようになったら是非ご来社ください!>

さもコロナの感染を気遣っているふうに見える。しかし、その後にこう続く。

<一方、将来を決める大事な時期でもあります。就活が進まないと不安と感じられる方へは、会社説明会を実施しております。しっかり業界、会社のことを知りたいという方もいらっしゃることからWebや動画ではなく、コミュニケーションの取れる対面式で開催します>
リクナビ2021より

リクナビに掲載されていたリアル面接を開催予定の企業の事例 - 画像=リクナビ2021

就活に不安を感じない学生はいないだろう。そんな学生の心理を踏まえ、対面式をアピールしていると受け取られてもしかたない。

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