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新型コロナウイルスの常識破壊【病院「憩いの場」の崩壊】

■「憩いの場」から「危険な場」へ

 日本の病院は、少し前まで老人達の憩いの場として、特に病気でもないような老人が、少し体調が優れないという理由だけで立ち寄るサロン的空間という常識が根付いていた。

 白亜の殿堂を思わせる清潔なイメージ、空調の行き届いた冷暖房完備の広々とした空間、低姿勢で愛想の良いナース達、ゆったりと寛げるソファーの座り心地に魅了された老人達にとっては、まさに病院はリラックスできる至れり尽くせりの安心空間でもあった。

 一方で欧米では、軽い風邪程度では病院には行かない人が多いと言われている。それは医療費が高いという理由も1つだが、風邪を治す特効薬は存在しないということを知っており、風邪の薬は睡眠しかないということも、経験上、大半の人が知っているからでもある。

 医療費が無料に近いことから、半福祉施設として老人の「憩いの場」と化していた日本の病院だったが、新型コロナウイルス騒ぎによって、その常識は幸か不幸か崩壊してしまったかに見える。

 現在では、ウイルス感染を恐れて自宅に引き蘢り、「頼まれても病院には行きたくない」という老人が大半を占めており、今や老人にとって病院は「危険な場」と化してしまった。

■「華やかな職場」から「命懸けの職場」へ

 同時に、医者や看護師にとっても病院は必ずしも居心地の良い空間ではなくなってしまった。某有名女優が主役を張るテレビドラマの影響もあって、女性が憧れる「華やかな職場」というイメージが定着化しつつあった病院が、今や患者の命だけでなく自分自身の命の心配もしなければいけない「命懸けの職場」と化してしまった。笑い事ではないが、「私、失敗しないので」とは言えても「私、感染しないので」とは言えないリスクのある職場となってしまった。

 現在の医療は医者と患者が密に接する「三密」の要件を満たしており、不幸にも「三密」を絶対悪とする現在の風潮がこのまま維持され続けるとなると、素手による触診というものもできなくなってしまう。指圧やマッサージすら手袋を付けて行わなければいけないということになりかねない。

 中でも、歯医者のような他人の口内に指を入れるという「三密」破りの極致のような診療は控える人が多く出てくるかもしれない。実際に、私の身近にも今まで定期的に通っていた歯の定期検診(歯石取り)を止めた人がいる。

 しかし、病院が「憩いの場」でなくなったことで、「あと5年で破綻する」と言われていた日本の医療保険制度は少し延命の方向に向かうかもしれない。

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