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何かを始めるとき、勇気がいるのは最初だけ。「またなんか言ってるよ〜」と思われるくらいでいい──ロバート キャンベル×弘中綾香

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加点方式を取り入れると「他の人と違う」が評価される

それって、他人を評価するときに「普通から外れている」ことを減点するような風潮も関係している気がしていて。

私はまだ中間管理職よりも下の現場で働いている立場です。その立場から見ても、組織内での評価方法が「減点方式」に偏りがちだな、と。

弘中綾香(ひろなか・あやか)。テレビ朝日アナウンサー。入社8年目。「激レアさんを連れてきた。」の研究助手や、「ひろなかラジオ」(AbemaTV)のメインパーソナリティなどを務めるほか、「Hanako.tokyo」でエッセイを連載


よくわかります。


自分が新人のときは、「なんでこんなにできないんだろう……」とふさぎ込んでいました。


うんうん。


でも経験を重ねるうちに、だんだん「私がやるより、できる人に任せたほうがいいな」という判断ができるようになったんです。

それはすごく大事な考え方ですね。チームで考えるようになったと。


組織で働いている場合、一人で完結する仕事はほとんどありません。

だったら、自分にできることに特化したほうが、チームとしてうまく機能するのではないかと気づいて。

加点方式ということですね。すごくいいです。

弘中さんは今8年目ですよね。なのでさらに5年後、弘中さんがより上の立場になった時にも大事な考え方だと思います。

僕もよく会議中に、他の人の言葉の端々に「減点方式」を感じることがあって。

はい。


それに対して「でも、こういういいところがあるよね」なんて、いちいち口出しをすることはありませんが、そのまま飲み込むのではなく、一旦心に留めておこうという努力をします。



たとえば「こんなマイナスな部分があります」と言われている人がいたら、「じゃあ逆に、この人は何ができるのか、今まで何をしてきたのか」と考えてみる。人間、いいところも悪いところもあるのが当然ですから。

これをもっと多くの人、特にチームを率いる人ができるようになると、みんな今より少し気が楽になる気がしますね。

転ぶことを怖がらないで。「無傷」にこだわらなくていい


同調圧力が強いのは、日本文化の気質なのでしょうか?


同調圧力があって人の目が気になってがんばりすぎてしまうのは、日本に限ったことではありません。

ただ、日本は公教育のなかで、同じ方向に向かっていく、取りこぼしの少ない教育を築き上げてきた。非常に均一な能力を重視する文化だと思います。

これにはいい面と悪い面があるのですが、5年後、10年後に必要な能力なのかと考えると、弘中さんのように会社を利用したほうが、個人にとっても、会社にとってもいいことじゃないかなと。

個人がどんどん動いたほうがいい、と。


日本の社会は、変化のスピードが遅いんですよね。そのうち社会が変わるだろうと待っていても、なかなか変わらない。

なので、問題に気づいたら個人が動くべきで。「変えたい」という課題に直面したら、一人ひとりが、声を出す勇気を持つ必要がありますよね。

日本だと「みんなと同じ」が良しとされる文化が根強いので、なかなか勇気がいるのかもしれません。

日本では「和」を乱したくない、自分の一言で周りをざわつかせたくないという理由でなかなか動き出せていない。

でも、利己的なことから始まった動きが、結果周りの人のためになることは多いんですよ。

自分が行動する事で、どういった結果に結びつくのか、どんな風に自分に返ってくるのかを、クールに判断していけるといいですね。

なるほど。


弘中さんは、勇気を出して何かを始める時、人の目が気になったり、批判があったらと不安になったりしましたか?

「うわあああー」と、えぐられるような痛みは、一瞬、ありますよね。



でも、「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」。長い目で見たときのリターンを考えると、ちゃんと声を出して、職場のなかで自分がどういう人間であるかを知ってもらったほうがいいですよね。

うんうん。


正直、勇気がいるのは最初だけで。そのあとは、二度三度同じことを繰り返すと慣れていきますし、周囲にもだんだんとわかってもらえました。

「また、なんか言ってるよ〜」と思われるくらいのキャラになってしまえばいいのかなと。



僕はよく「物事を知っている人」として見られますが、全然知らなかったり、間違ったことを言う場合もあります。

間違った時には、もちろん反省しますが、「僕はこう思う」と、転ぶのを怖がらずに言ってみる。

すると、逆に多くの人が信頼してくれるなと感じることはありますね。なので、小さく転ぶことも大事なのかな、と。

ちょっとした弱みが人を惹きつけるんですね。


無菌状態でスルッとしたものよりも、あえて毛羽立ちがあったり、ザラザラした、不完全燃焼なものの方が魅力に感じることがあるんですね。

それに、「無傷でいたい」気持ちはわかるけど、何かの拍子に大怪我を負ってしまう前に、小さく転んで心の免疫力をつけておくのはいいと思います。

小さく転ぶ、って、そのコントロールは難しいんですけどね。

企画:鮫島みな(サイボウズ) 執筆:園田もなか 撮影:もろんのん 編集:松尾奈々絵(ノオト)

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