- 2020年04月22日 21:44
コロナ禍で国や自治体が悪者にした「接客を伴う飲食店」への強烈な違和感の理由
1/2緊急事態宣言が発令
4月7日に安倍晋三首相が緊急事態宣言を発令し、10日に東京都の小池百合子知事が都内全域を対象に外出の自粛を要請しました。さらには16日、安倍首相が緊急事態宣言を全国に拡大し、一段と緊張感が増しています。
・「緊急事態宣言」全国拡大「特定警戒」13都道府県 新型コロナ
新型コロナウイルスの感染が拡大しており、いつ収束するのか、まだ先行きが見通せません。
このような状況で4月11日には、安倍首相、および、新型コロナウイルス対策を担当する西村康稔経済再生担当大臣が、夜の繁華街における接客を伴う飲食店の利用自粛が必要であると説明し、協力を求めました。
・首相 出勤者を最低7割減 “接客伴う飲食店利用自粛”全国に(NHK)
・繁華街 接客伴う飲食店の利用自粛 全国で呼びかけへ 西村大臣(NHK)
それより以前の3月30日、小池百合子東京都知事が、バーやナイトクラブなどの接客を伴う飲食店に行くことを自粛してほしいという旨を述べています。
・東京都知事、夜間の接客伴う飲食店への出入り自粛要請(REUTERS)
飲食店に自粛要請がなされ、接客を伴う飲食店という言葉がよく出てくるようになりましたが、私はこの言葉に大きな違和感を持っています。
バーやナイトクラブではなく、接客を伴う飲食店と報道されることは、通常の飲食店にとってよくないことであると考えているからです。
当記事でいう通常の飲食店とは、接客を伴う飲食店という意図で言及されている飲食店以外の飲食店を指します。
日本標準産業分類には存在しない
接客を伴う飲食店は、一般的な言葉なのでしょうか。
日本における産業別の経済活動を分析する際にも使用されるなど、最もメジャーなものは総務省統計局の日本標準産業分類です。
それによると飲食店は中分類76となっており、その下に枝分かれした業種は以下のようになっています。
76 飲食店
・760 管理,補助的経済活動を行う事業所(76飲食店)
7600 主として管理事務を行う本社等/7609 その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
・761 食堂,レストラン(専門料理店を除く)
・7611 食堂,レストラン(専門料理店を除く)
・762 専門料理店
・7621 日本料理店/7622 料亭/7623 中華料理店/7624 ラーメン店/7625 焼肉店/7629 その他の専門料理店
・763 そば・うどん店
7631 そば・うどん店
・764 すし店
7641 すし店
・765 酒場,ビヤホール
7651 酒場,ビヤホール
・766 バー,キャバレー,ナイトクラブ
7661 バー,キャバレー,ナイトクラブ
・767 喫茶店
7671 喫茶店
・769 その他の飲食店
7691 ハンバーガー店/7692 お好み焼・焼きそば・たこ焼店/7699 他に分類されない飲食店
出典:日本標準産業分類(総務省統計局)
この中には、接客を伴う飲食店という呼称は存在しません。
・大分類 M-宿泊業,飲食サービス業(総務省統計局)
接客を伴う飲食店の例として挙げられたバーやナイトクラブは、「バー,キャバレー,ナイトクラブ」といった分類に含まれることは明白です。しかし、接客を伴う飲食店という言葉は、このあたりにも見当たりません。
では、「他に分類されない飲食店」に含まれているのでしょうか。
「他に分類されない飲食店」には甘味処やドーナツ店、今川焼屋やアイスクリーム店などが分類されており、接客を伴う飲食店はやはり内包されていません。
つまり、公的な総務省統計局の日本標準産業分類には、接客を伴う飲食店という分類も呼称も存在しないのです。
風俗営業等業種一覧にもない
総務省統計局の分類ではなく、他の分類ではどうでしょうか。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、いわゆる風営法は、客を接待したり、店内に遊技施設を置いたりするなど、特殊な飲食店について定められた法律。該当する飲食店は公安委員会に許可を得たり、届出を提出したりしなければなりません。
この風営法の中でも、飲食店が細かく分類されていますが、接客を伴う飲食店に関係がありそうな業種は以下の通りです。
接待飲食等営業
・1号営業 料理店、社交飲食店
キャバレー、待合、料理店、カフェーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食させる営業
・2号営業 低照度飲食店
喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、客席における照度を10ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業を徐く。)
・3号営業 区画席飲食店
喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食させる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの
出典:風俗営業等業種一覧(警視庁)
国や自治体から接客を伴う飲食店として指摘されたものは1号営業の飲食店でしょう。
1号営業から3号営業の飲食店は接待飲食等営業と分類されていますが、接客を伴う飲食店という表記はありません。
つまり、風営法にも、接客を伴う飲食店という表現や分類は存在していないのです。



