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仏、コロナで拡がる教育格差

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写真:エコール・ポリテクニーク大学院で学ぶ学生たち 出典:Ecole polytechnique © École polytechnique – J.Barande

Ulala(ライター・ブロガー)

【まとめ】

・仏、オンライン授業で教育格差が発生。5~8%が教育現場から離脱。

・家庭環境やモチベは十人十色であり、より良い学習環境を整えるのは難しい。

・政府、地域の連携で勉強が遅れた学生をサポートしきれるか。

4月の初めに、フランスのローカル新聞でその地域の大学長が、「外出禁止が始まりオンライン学習になってから、地域の大学の30%ほどの学生から連絡がなくなった」と語っていたことをTwitterでつぶやいたところ、3000近いリツイートと、6000以上のいいねがつき、日本の方から多くの反響があった。そのツイートについたコメントも、

「絶対そうなるよね。好きでもない講義を、毎日毎日ネットでみろと言われても見なくなるし、ゲームしたり、テレビみたり、罪悪感を持ちながらもそっちに流れる。それで、大学から連絡が来ても、返信するのが億劫になり、全く連絡を取らなくなる。。。」

「まさにこれ…号泣 今、学生に授業でやるはずだった課題を郵送で対応してるんだけど…。これ送ってちゃんとやる子は、私のフォローが無くても自分で合格できる子なんだよ…号泣 フォローしてあげるべき学生に、それをしてあげられないのが悔しくて、心配でたまらない。」

「そうなんだよなぁ...今悩んでいるのが発信だけじゃなくて,継続させる仕組みなんだよね...」

「うちの子供たちが通っている学校ではなにも問題が起こっていません。恵まれない地域の学校なんじゃないですか。」

「これはマジでそうだとおもう。低学力層は勉強ができないんじゃなくて、勉強をすることができない。大人になってもそう。」

「コレだよね…オンライン教育整備できたとこで家庭環境または本人の素質で続けれない…絶対クラスの何人かはそうなる…」

といったさまざまな反応があったが、どれもあまりにも的を射たコメントで感心したものだ。

外出禁止となり学校も閉鎖されたことでオンライン学習が始まったフランスであるが、その期間に問題になったことは、まさにコメントにかかれたことなのである。そして、現在、フランスはオンライン学習になったことで十分な教育が受けられず教育格差が広がったり、学校から学生がドロップアウトし始めている生徒や学生を、なんとかくいとめようと努力しているところだ。

フランスでは、3月17日に外出禁止が始まった。4月から新学年が始まり3月にはもうほとんどのその年の授業が完了していた日本と異なり、9月から新学期が始まるフランスでは、その年に学ばなければいけないことがまだまだ大量に残っていた時期だ。そこでなんとしても教育を継続させようと、フランス全国でオンラインによる教育が始まった。

しかし、そのオンライン学習を続けていくうちに、生徒が宿題を提出せず、連絡も取れなくなるケースが出始めた。外出禁止が始まった日から2週間後の3月31日にジャン=ミシェル・ブランケール国民教育大臣が伝えたことによると、多大なる教師の努力によりスムーズにオンライン学習を受けている生徒もいるが、5%〜8%の生徒が教育の場から離れていっているというのだ。

この数字だけ見れば、そこまで大きな数にも見えないが、実際は、地域や学校により割合の偏りが存在しており、特に社会・経済的に困難を抱える住民が多く住んでいる地域では大きな問題となっていた。

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セーヌ=サン=ドニ県のバニョレ市の教師はこう証言する。「私のクラスは23人中、7人からしか返事はありません。」。ヴァルドワーズ県のサルセル市の教師もこう語る。「150人いる生徒のうち、現在継続して宿題をしているのは20人だけです。」

社会・経済的に困難を抱える住民が多く住んでいる地域では、9%以上の生徒がオンライン学習をする電子機器からは遠い存在になっていると、パリ近郊の教育強化指定校になっている中学校の教師エマニュエルはそう語る。さらに、34%の生徒がもっているのはスマートフォンのみ。中には、家族で一台のみの場合もある。また、11%はコンピューターが家庭にあるが、大抵、親がテレワークで使用している。21%は、オンライン学習をしている複数の兄弟と一つのコンピューターを共有しなければいけない状況であるという。

そんな状況であるため、教師は多様な努力を続けなければいけない。感染の危険があるにもかかわらず、宿題を印刷して、親、または協力団体に手渡しをするようにもした。しかし、たとえ宿題が子供の手に渡っても、狭いアパートに何人も住んでいるなどの理由で、なかなか集中して勉強ができるわけでもない。

また、フランス語が話せない親も多く、子供だけでは宿題をやり遂げられないケースも多い。いずれにせよ、家で子供が勉強すること自体、比較的裕福な地域でも働いているなどが理由で同様に多くの親が苦労をしている。自宅でテレワークをしていたとしたら、普段の仕事に子供の勉強を見る教師の仕事がプラスされるのだ。そう考えると、やはりすべての家庭がオンライン学習で十分に勉強ができたわけではないだろう。

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さらに、子供によっては、日常とは異なる状況下で心理的にモチベーションが下がる場合もある。筆者の娘の中学校の一人もそのような状況の生徒がいた。普段は学校でもそれなりにでき成績もよかったが、ネット上で一緒に授業も受けていたのにもかかわらず、宿題を白紙で出し続けていたという。

また、教師の対応も子供たちには大きく影響を与える。大量の宿題をして提出だけ求め、あげくの果てに、「いっぱい間違っていたけれども、私は時間がないから間違いの修正はしないわ。答えはサイトにあげておくから自分で答え合わせをやっておいて」とメッセージを送った教師がいたが、次の週には誰もその教師の宿題を提出しなかったそうだ。

反対に、宿題を提出したことに対して「受け取りました、ありがとう」「がんばったね」などと確実に反応した先生の宿題は比較的に提出率、継続率もよかったようである。オンライン学習の充実と、機器をそろえるだけではなく、教師のコミュニケーション方法も大切だということがうかがえる。

高校生になるとどうだろうか。電子機器を親よりもうまく使いこなせる生徒が多くなる年代であり、勉強する意思があり、機器さえそろっていればオンライン学習は問題ないようにも思われる。しかし、それは通っている学校によっても変わるようだ。普通高校では、そこまで問題はなかったようだが、職業系の高校(CAP, BEP, bac pro)では、過去最大の割合で生徒の離脱が見られたという。

ブランケール国民教育大臣が、生徒の教育からの離脱が5から8%であるといっているのを聞いて、オーブ県のトロワ市の高校で文学と歴史を担当する教師、ヴァンソン・マンニュ氏は苦笑する。「職業系高校では、ほぼ半分の生徒から連絡がなくなりましたよ。うちの高校2年生のクラスでは、29人の生徒のうち、メールを返信してきたのは15人だけです。」。

歴史・地理教師協会の事務局長補は、他の科目では5%~6%しか反応がない場合もあると語る。もともと勉強についていくのも難しい生徒たちも存在しており、オンライン学習によって状況はさらに悪化したのだ。

▲写真 Troyes, Aube, France 出典:flickr by Roland Turner

全国で約70万人いる職業系の高校の生徒たちは、普段でも学業についていけずドロップアウトするケースが普通高校よりも多い。さらに、家庭での勉強環境も整っていないケースが多数ある。「トロワ市の環境のあまりととのっていない地区や農村部から来た生徒の中には、携帯電話しか使えず、接続状況も悪いことが多いです。」と前出のマンニュ氏は語る。

Snuep-FSU組合の書記長であるシグリ・ジェラルディ氏によれば、「多くの人がIT機器に慣れておらず、私たちは現在、大規模なドロップアウトを目撃しています。」と証言する。

さらに言えば、職業系の高校は、実技が多い。まだ会計などの教科はオンライン学習も可能であるが、生産保守、運転技術、建築、配管工事やメンテナンス作業の場合、オンライン学習では実技指導はほぼ無理だ。この結果、カリキュラムを十分に終えてない生徒が増え、来年に大きく影響を残すだろうと予測される。そういった問題を回避するためにも、職業系高校では、今後どのように対応していくかなどの提案を教育省に出しているところだそうだ。

筆者の息子が高校に進学するときに、中学校の校長先生が、「普通高校は、家で週平日7~8時間、週末6時間、一人で勉強できる人のみに推奨します。ですが、一人で勉強ができない生徒は、職業系の高校にいくべきでしょう。職業系の高校では学校ですべてが完結します。家で勉強しなくてもついていけるようにカリキュラムが組まれています。」と説明していたが、まさに職業高校の生徒は一人で勉強できないからこそ、その学校を選んでおり、だからこそオンライン学習が向かない生徒も多いといえるだろう。

生徒によっても学習内容によっても、オンライン学習に向き、不向きがあるのだ。

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