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原油相場の常識が変わった日

原油相場は史上初めてマイナスの価格を付けました。上場商品の値段がゼロ以下になったことで、市場の常識が変わってしまいました。第3四半期からの需給バランス好転見通しが買い方に希望を与えてきたことは、却ってこの日の大混乱を助長しています。

4月20日の NYMEX WTI 原油先物の終値は前日比$55.90安の-$37.63/bblで、引け後の時間外取引は-$13/bbl台です。

5月限は21日の納会を前に建玉整理の最終局面となりました。火曜日の納会までに反対売買による決済を行わない場合、5月末までにオクラホマ州クッシングの指定貯蔵施設で現物の授受が行われます。

投機目的で現物取引の背景なく買ってきた参加者は、納会までに買い玉を手仕舞い売りする必要があります。

1取引単位当たり1,000バレル分の総約定代金を支払って現物原油を引き取っても構いませんが、毎週のように在庫が膨れ上がるため受け取った原油は速やかに貯蔵施設から引き取る必要性があり、それには大きなコストが必要となります。

5月中にはクッシングの在庫施設の貯蔵余力がなくなる可能性もあり、そうなると先物6月限を売って引き渡すから1か月預かって欲しいという話もできません。

現物引き受けの手段を失い足下を見られた買い方は言い値で売り手仕舞いするしかないわけで、売り方が満足するまでマイナス$100/bblでもマイナス$1,000/bblでも決済を余儀なくされます。

今回の件は、第3四半期からの需給改善予測で買い方が楽観視していたことに加え、足下の第2四半期の需要が常識を超えて落ちているためクッシングの貯蔵余力がないことが招いた WTI 相場固有の特別な事態であり、原油価格全体には関係の薄い話です。

実際に WTI 6月限も当限の混乱の影響を受けて前日比$4.60/bbl下げたとはいえ$20/bbl大台に留まっていますし、それ以降の限月の下げ幅は更に限定的です。

さすがにこれ程の極端な出来事が起きてしまうと一般化して原油相場の先安観測にはならないでしょうし、むしろアク抜けにつながるのかもしれません。

ただ、受け渡し場所の物理的限界が非現実的な価格を招くという価格指標としての脆弱性を晒してしまったこと、そしてモノの値段がゼロになることはないと高を括っていた人々が大火傷をしたことは長く人々の記憶に残るでしょう。

2020/4/20
NYMEX WTI May: -$37.63 ( -55.90 )
20日移動平均: $18.08 ( -5.86 )
ボリンジャーバンド
 +2σ: $44.78/ -2σ: -$8.62
 幅: $53.40 ( +43.48 ) / 100日平均: $13.33
ボラティリティ
 1059.81 ( +925.11 ) / 100日平均: 73.48

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