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今週もすごかった『情熱大陸』のドキュメント!新型コロナの感染予防に取り組む「超・スーパー看護師」

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新型コロナと戦う「感染管理専門家」

 今回の『情熱大陸』の主人公の仕事である。  

 テレビのドキュメンタリーは、いつ何を放送するのかは極めて重要な要素である。

 他方で、ドキュメンタリーという分野は取材対象と信頼関係を作ることも大切なのである程度は長期で取材交渉や撮影を重ねる必要があるため、30分のドキュメンタリー番組でも企画が通ってから放送されるまで2、3ヶ月かかることが少なくない。

 このため、タイムリーなテーマをすぐに放送しにくいのが現状だ。

 そうした中でTBS系毎日放送が制作する『情熱大陸』が2週連続で新型コロナとの戦いの渦中にいる人物を主人公にして放送したことはとても意義深い。

 取材対象がまさに最前線にいて取材が困難であろうと想像されることを考えれば画期的と言ってもいい。

 しかも公共放送である NHKならば組織力を駆使して緊急特番的に放送するだろうことは想

定できるが、民放の大阪局である毎日放送の番組である。

 前の週に引き続き、『情熱大陸』は新型コロナに立ち向かって最前線で戦う人物を主人公にしたドキュメンタリーを放送した。

 前の週が政府の新型コロナウイルス対策専門家会議などのメンバーでウイルス研究の最前線に立つ学者が主人公だった。

 国際的に連携しながら新型コロナウイルスという未知のウイルスの正体をつかむために様々な研究をしている人物だった。

「日本人は幻想を抱く」新型コロナと闘うウイルス学者の『情熱大陸』のドキュメントがすごい!(追記あり)

出典:ヤフーニュース個人(4月13日)「日本人は幻想を抱く」新型コロナと闘うウイルス学者の『情熱大陸』のドキュメントがすごい!(追記あり)

 今回は「感染管理専門家」という坂本史衣(51歳)が主人公。聖路加国際病院で院内感染予防の最前線に立っている。

 どの医療機関も新型コロナ対策に追われている。医療用のマスクやフェイス・シールド、ガウンなどが不足する中でてんやわんやの状態である。ましてやテレビのスタッフが現場に入り込むことはそれだけで感染リスクを高めてしまう可能性があるため、医療現場からは嫌がられるはずだ。そんな困難な状況のはずなのに病院内での感染予防対策の一部始終が撮影されていた。

 番組は、日本中で懸念されている医療崩壊の危機が様々な医療現場で迫り来る中、おととい(4月17日)までに職員3人の市中感染を病院のホームページに公表した病院がある、というナレーションで始まる。

 実際に番組の主人公である感染管理専門家・坂本史衣が感染症対策に取り組んでいる聖路加国際病院のホームページには次のような記述がある。

 職員(看護師)の新型コロナウイルス感染を知らせながらも、詳しい情報を載せていて病院としての姿勢をも明らかにしている。

当該職員は、感染性のある期間(注1)にあたる症状出現前の2日間において、聖路加国際病院で病棟勤務を行っていたことが分かっております。現在、濃厚接触者(注2)の特定を行っており、現在までに、当該職員から感染したことが疑われる患者さんや職員は確認されていません。当該職員は、勤務中はサージカルマスクを常時着用するとともに、手指衛生や個人防護具の着用などの標準予防策を実施していたことから、当該職員からの院内感染が起きた可能性は低いと考えています。

出典:聖路加国際病院ホームページ(4月16日)職員の新型コロナウイルス感染について

 坂本はビデオ通話でのインタビューで現在の状況と心境を包み隠さずに語る。

 赤裸々に語ることができるのはオープンにすることが病院への信頼維持につながると確信して感染症対策にもそれなりの自信があるからだろう。

 それでも院内感染が起きてしまうのかもしれない。

 だが、たとえ起きてしまっても対処するしかないし、できるだけのことはやれるはずだという職業的な自信が言葉ににじんでいる。

(感染管理専門家・坂本史衣)
市中感染は当院も含めてたくさんあると思います。なかなか防ぎようがない状況だと思います。

院内感染は(防止が)相当難しいと思っています、時間の問題かもしれません。
それだけこのウイルスって気づかれないままにひっそりと病院の中に入り込むのが上手なので正直、本当に薄氷を踏むような状況をいつなんどき、という状況を一生懸命コントロールしている。

それは当院に限らずとも同じ状況だと思っています」

 聖路加国際病院は2月から感染者を受け入れてきた国の指定医療機関だ。

 取材時にはすでに医療用のプラスチックガウン、ゴーグル、マスクなどが払底し始めていた。

 ふだんなら使い捨てにするゴーグルを一人ずつ紙の袋に入れて何度も使う。

(坂本史衣)
「本当は感染対策上、やっちゃいけないことばかりですね」

 そう苦笑する坂本は感染管理のガイドライン策定にも関わっているため、院内で働く者はみなしょっちゅう坂本を捕まえては問い合わせ、頼りにしていることが映像からも分かる。

 坂本がゴーグルの洗い方を指導する場面。

(坂本史衣)
「洗剤が拭き筋となって残るので、あとでもう一回、乾拭きする」

 坂本が病院内の職員に電話で指示する場面。

(坂本史衣)
宴会・禁。飲み会・禁。食事会・禁。

『しばらく寂しく食べておれ』

それをしばらくいたします」

 「しばらく寂しく食べておれ」と病院中に号令をかける感染管理専門家。

 このドキュメンタリーははっきりとした言葉づかいをする坂本史衣という女性が自信満々で放つ言葉が最大の魅力になったドキュメンタリーだ。

 それでも弱音もボソリと漏らす。

(坂本)
「あんまりこう、どうしたらいいんだろうというのは、さすがに(この仕事して)20年経つとなくなるんですけど」
「これだけ悩むのは初めてかもしれない」

 取材班が坂本史衣の取材を開始したのは3月30日だったという。

 新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからずに感染者が増え続ける時期だった。

 通勤で病院に到着したりの坂本に取材班は直撃した。

(ディレクター)
「新型コロナの患者数が増えていますが?」

(坂本)
「(感染経路を)追えているグループがいくつかあって、追えていない人たちがいるんだけど、追えていない人たちが増えてきているので、これ以上増えてくると良くないなというところに来ていると思います」

 聖路加国際病院が受け入れる新型コロナウイルスの患者が日に日に増え続けている。

 重症者6人が集中治療室に入っていた。

 坂本の仕事は院内感染を防ぐ仕組みを作り、安全に目を光らせることだ。

 坂本はパソコンのモニターが載った自分のデスクに腰掛けるとすぐに内線用のPHSに電話が入る。

(坂本)
「自宅待機になっている陽性の方いらっしゃると聞いたんですけども」

 坂本のいる感染管理部門には保健所や他の医療機関からの電話がひっきりなしにかかっていた。

 病院では新型コロナウイルス対策会議が連日開かれていた。

 大部屋に医師や看護師、事務職員などが集まっていた。

 1時間ほどの会議中にそれぞれの部署から上がってくる課題は切実だ。

(ICUを担当する部署か?)
「保険所を含めてCOVID(新型コロナ)疑いで検査して欲しいという方が多発してきていまして今ICU(集中治療室)は残り2床になってきています。ICUが埋まるのもきょうあすの時間の問題」
(坂本)
「物品の在庫の状況なんですが、医療用ガウンなどが今後枯渇してきたときに、たとえば布製のガウンを洗濯して使い回すとかそういったことも考えていかなくてはいけない。早め早めに対応を協議したい」
(病棟の看護の部署か?)
「週末、患者さんが増えてきて、病棟の看護師さんから『怖い』とか『働きたくない』」とかの声がボチボチ出てきているみたい。『いつ休めるのか分からない』とか『確実に帰れるのか』とか聞くみたいです」

 会議が終わるとすぐに部屋の窓を開けてこまめに換気を行うのも坂本の務めだという。

 その直後に救急の受付スタッフに呼び止められた。

(受付スタッフ)
「受付に来ちゃうケースなんですけど、救急の受付に来た人たちって問診票をビニールに入れる対応をしている。レッドゾーンの人(感染させる危険のある人)、保健所から連絡が来た人。実は先生たちからレッドゾーンだよと言われる人たちって普通に受付をしちゃってて」
(坂本)
「『立て看』しますか?『保健所からの指示の方は救急へ行ってください』と総合案内の前に出しておいて、手前で止める」

 病院内をゾーンで分けて、ウイルスを持っていたり、その疑いが強い人など、感染させる危険がある人がその他の通院者らと接触しないようにするのも坂本の仕事だ。

(坂本)
「何が問題かって紙の上に(ウイルスが)いることが問題じゃなくて、そこに触って顔を触って入ってくるので。そんなに麻疹(はしか)みたいに側を通ったらうつりましたという感染症じゃない。なので手をキレイにすることで結構防げる。あとはマスクしていますから」

 職員の不安な声に応えて解消していくことも大事な役割だ。

 廊下を歩いてもすぐに呼び止められる。

 それほど職員から頼りにされる様子が映像に映し出されていた。

 坂本は新型コロナだけに特化したICU(集中治療室)にも足を運ぶ。

 入り口近くにマスクやゴーグルを個々人用の紙袋に入れておく置き場所があった。

 本来は使い捨てだが何度も出入りする関係者用に「1日一人1セット」とあり、「Dr.用」「Ns.用」などと明記されていた。

 坂本がICUの中に入ると、カメラは途中で止めれた。

  ICU には許可病床数「8床」と貼り紙がある。

(坂本)
「無事に抜管。落ち着いていらっしゃる。よかった」

 音声を聞くとスタッフから様々な要望が坂本に寄せられていた。

(看護師)
「頭みんな汗かいてすごい。ドライシャンプー取り寄せているけど、なかなか来なくて。それが来てくれると。そういう物品がもらえると」

(坂本)
「冷蔵庫は届きます。今日中に」

(看護師)
「その冷蔵庫。みんな口が渇いちゃって」

「坂本」
「なので中1個と外に1個」

(看護師)
「これで助かります。移動が」
「(冷蔵庫に行くための防護服の脱ぎ着が大変だったので)」

(坂本)
「まあまあ、ちょこちょこ聞いてください」

 ICUの外でも看護師らに声をかける。

(坂本)
「お疲れさま。どうですか?」

(看護師)
「しんどい!」

(坂本)
「しんどいねえ」(と共感する)

(看護師)
「重症(担当)だから」

(坂本)
「今何人になりましたか?」

(看護師)
「今7人。重症(の患者さん)が多くって今、先週はうまくいっていたけど」

(坂本)
「ICCU心疾患の集中治療室)とかと交代しながら働けると本当はいいですね」

(看護師)
「あ、でも手伝いに来てくれています」

(坂本)
「あ、ほんとに」

(看護師)
「どこまで全部ガウンを着なくちゃいけないのかという問題があって、マスクを洗って使わなくちゃいけなかったりとか、ガウンも今後なくなることを考えると、抗生剤の残量で(警告音が)鳴ったときにどこにも触らずにピッてするだけだったら何も着なくていいのか。

(患者側も)挿管されていて閉鎖されているから(看護師が感染するリスクは低いのでは?)」

(坂本)
「確かに」

(看護師)
「そこら辺が現場判断でやってしまっているけどきっと坂本さんに怒られるなと思いながらやっているから(他の看護師の笑い)。やばいって思って」

(坂本)
「私が怒るっていうか、みなさんが倒れると厳しいから。そこら辺は、資源と労力と医療安全と(を考えたい)」

(看護師)
感染って難しいなと思っています

(坂本)
「難しいですね」

 看護師たちの顔は全員ボカシが入っているが、坂本がいかに現場の看護師たちから信頼されているかがわかるような場面だった。

 看護師たちが顔を出さない理由について坂本は取材班に説明した。

(坂本史衣) 
「スタッフも実はあんまりカメラで映されたくない。実はコロナ対応(の仕事)しているのを知られたくない人がたくさんいます。家族にもそのことを実は黙っている人がいて、その辺もしんどくてカメラでは顔を映せないというのがあります」

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