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コロナ禍で収録休止のテレビ局…大ピンチの今こそ期待される番組とは

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こだわり持ちすぎずに制作を

18日に放送されたフジテレビの番組『週刊フジテレビ批評』(毎週土曜5:30~ ※関東ローカル)で、新型コロナウイルスの影響で窮地に追い込まれたテレビの現状と、そんな今だからこそ作るべき番組について語るコーナーがあった。

対談を行ったのは、「慎吾ママ」の生みの親として知られ、現在も『サラメシ』(NHK)などを手がける放送作家・たむらようこ氏と、数々のメディアに連載を持つコラムニストでテレビ解説者の木村隆志氏。番組では、バラエティ、ドラマ、スポーツ、報道・情報など、各番組の窮状がリアルに語られたほか、「定点観察」「視聴者参加」「動物園疑似体験」がテーマの番組が持つ可能性などが議論された。

いまだ感染拡大が止まらない今、どんな番組が求められ、作ることができるのか。同番組に出演し、マイナビニュースでコラム「週刊テレ贔屓」を連載中の木村氏に話を聞いた――。

新型コロナウイルス感染拡大で収録休止が続くテレビ各局(写真:マイナビニュース)

芸人たちの“ギャグつなぎ”にヒント

ロケも収録もほとんどできない今、テレビが求められていること、できることは何なのか。

「情報番組は『コロナ一色』で他のコーナーはほとんどできない状態ですよね。しかもどのチャンネルもそうだから、視聴者にとっては“テレビ=重苦しいもの”というネガティブなイメージを持たれかねません。ただ、このところようやく家で楽しく過ごす方法にフィーチャーしたコーナーが増えはじめているなど、制作サイドの意識が変わりはじめています。まだまだバランスとしては重苦しいムードが圧倒的に上回っている状態なので、まずは楽しく過ごせるためのコンテンツを増やしたほうがいいでしょう」

現在、「ギャグつなぎ」「リモート漫才」「うたつなぎ」など、タレントがネット上でエンタテインメントを公開して盛り上がっている。収録ができないなど苦しい状況の中、そのスピード感と波及力は脅威に見えるが、テレビ番組が同じような盛り上がりを生むためにはどうしたらいいのか。

「芸人もアーティストもアスリートもスケジュールが空いているのですから、もっともっとリモート出演してもらって、画面から明るいムードを感じさせてほしいところです。今は芸能事務所に頭を下げてでも、安めのギャラで多くのリモート出演を依頼したほうがいいですし、それができれば『みんなで頑張っていこう』という一体感が生まれるのではないでしょうか」

確かに、現在はロケとスタジオ収録がほとんどできないため、徐々に「特別編」「傑作選」などの再編放送が増えはじめている。そればかりにならないためにも、タレントのリモート出演を積極的に使った番組作りが求められているのかもしれない。

「たとえばギャグつなぎをバラエティに置き換えてみると、これまでのように、質の高さやバランス、山場や毎分視聴率などを踏まえてネタの構成を考えるのではなく、ハイテンポでどんどんネタを見せていく形のほうが、現在の視聴者感情に合っている気がします。その点、今春にレギュラー化され、早くも支持を集めている『有吉の壁』(日本テレビ系)は、超ハイテンポでランダムなネタを見せていく構成がギャグつなぎに近いものがありますよね。もちろんクオリティは『有吉の壁』のほうが圧倒的に高いのですが、それ以前に心理的なハードルという意味で、ギャグつなぎのような見やすさが大事なのでしょう」

タレントと一般人が共演する番組を

『週刊フジテレビ批評』では、タレントだけでなく、視聴者も自宅から参加できる番組の必要性も語られていた。確かに在宅率の高い今こそ、視聴者参加のニーズがあるのかもしれない。

「もともと視聴者参加型の番組は本当に少なくて、ゴールデンタイムでは『99人の壁』(フジ系)くらいしかありません。SNSやYouTubeなどの普及で、自己演出できる人や自己アピールしたい人が増えている割に、テレビでのチャンスが少なすぎる感がありますよね。もちろんタレントと比べるとトークやキャラクターの面白さでは劣りますが、『一般人もタレントも自宅にいる』という稀有な現状を踏まえると、両者がリモート共演する番組があれば新鮮な印象を与えられるかもしれません。トーク、クイズ、音楽…さまざまなバラエティでチャンスはあると思います」

ただ、いずれも前例のないものであり、「リスクが大きく踏み切れない」「それなら無難に特別編や傑作選で乗り切りたい」と考える作り手は多いのではないか。

「現状を上回るリスクはないですし、むしろ失敗しても世間からは責められにくく、挑戦したことを好意的に受け入れられる時期でしょう。たとえば、全国の動物園が動物たちの動画をネット上にアップしていますよね。そうした動画をプロのディレクターがリモート演出したものを放送するという形はアリだと思うんですよ。普段よりうまくいかないところや、ちょっとしたミスも含めて楽しめばいいですし、何よりこういう状況にならなければ見られない映像ですから。今はプライドを捨てて通常のテレビ品質を求めず、あえてネット動画の品質に近い形の番組があってもいいのではないでしょうか」

「プライドを捨てて、ネット動画の品質に近いものを放送する」という意味で興味深いのは、『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)の戦略。同番組はロケができなくなったことで撮影マニュアルを一般公開し、視聴者に“ごっこ遊び”をしてもらうと共に、「いいものは番組に使わせてもらうかもしれない」と応募を促している。

「事実として、すでに情報番組のリモート出演には、映像の質がかなり低いものが混じっていますが、それを非難する声はほとんどあがりません。バラエティも収束するまではそのくらいでいいので、あまりこだわりを持ちすぎずに制作すればいいいと思っています」

再放送をより楽しく見てもらう方法

では、「#再放送希望」というハッシュタグが飛び交うなど、日増しに大きくなる再放送を求める声に、テレビ局はどう対応していけばいいのか。

「再放送を求める声は、『テレビも仕事量を減らして感染予防すべき』『スタッフと出演者を守ってほしい』という思いがベースになっているだけに、テレビ局としては無視できないでしょう。スポンサー、芸能事務所、外部スタッフら関係者との調整は必要ですが、対応を間違えて人々の反発を招くと、共倒れになるリスクもありますから。今はビジネスの事情よりも、リクエストを募集してできる限りそれに応えるくらいの視聴者サービスを優先させて、テレビそのものが再評価してもらうほうが得策だと思われます」

現在は、あまり視聴率を追い求めてはいけない時期ではあるものの、「再放送はニーズがある割に結果が伴わない」というケースが大半を占めている。これは仕方のないことなのか。

「たとえば、『ロングバケーション』(フジ系)のリクエストが多かったら、木村拓哉さんと山口智子さんのリモート解説付きで再放送を見るとか、サッカーロシアワールドカップのリクエストが多かったら本田圭佑選手と香川真司選手のリモート解説付きで見るとか、今だから可能な付加価値をつけることで視聴率アップを図りたいところです。新たなコンテンツが制作できないときは、『名作を再放送でどう見せるか』が腕の見せどころですから」

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