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在宅勤務や休校で増加するアルコールやゲーム依存 懸念あおるだけでなく防止策を

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新型コロナウイルスの感染拡大に伴う将来への不安や外出自粛などのストレスにより、アルコール依存症患者の悪化・増加が懸念されることを受け、依存症患者の支援などを行う一般社団法人ワンネスグループは15日、「飲酒量を減らすためにできる10のこと」や「アルコール依存症に関するチェック項目」などを発表した。

同グループ共同代表の三宅隆之さんによると、4月に入ってからアルコール依存に関する相談や、休校による子どものゲーム依存に悩む親が増加。アルコール依存当事者からは「自宅待機で増えた飲酒を止めたいが精神的につらい」という声が上がる。また、ゲーム依存に関する相談では、子どもと過ごすストレスで親がゲームにのめり込むケースもあるという。

では、外出のままならない現在の状況で、どうすれば依存症を防ぐことができるのだろうか。

懸念を訴えるだけではなく、どうしたら防止できるかを考えて

ワンネスグループが「飲酒量を減らすためにできること」として発表したのは、運動や朝日を浴びる、飲酒のメリット・デメリットを書き出してみるなどの10項目。回復に取り組む当事者の経験談や、グループの知見、心理学の世界的権威である米国の心理学者マーティン・セリグマン氏の理論などをもとに作成した。

飲酒量を減らすためにできる10のこと

・カーテンを開けて、朝日を浴びてみる。窓を開けて風の冷たさを感じてみる。
・お風呂に入り、歯を磨き、部屋を掃除してみる。リズムが変わって、血行も良くなります。
・家にいる時も身だしなみを整えてみる。ヘアセットやお化粧、寝間着を着替えるなど。
・ストレッチやランニング、ヨガなど身体を動かしてみる。
・自分で料理をつくってみる。ご飯を食べるから、自然とお酒の量が減る。
・一緒にお酒をやめる仲間を見つける。
・尊敬できるロールモデルを見つける。
・寂しい、孤独、不安、お酒のことは言えなくても、そんな気持ちが共有できる仲間を見つける。
・1つじゃなくて、3つ以上のコミュニティに所属してみる。
・飲酒のメリットとデメリットを書き出して、そのリストを誰かとシェアしてみる。

また、アルコール依存症かどうかを確認するためのチェックシートを紹介した。

【リンク】アルコール依存症に関するチェックシート

––今回、このような発表を行なった背景を教えてください。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い緊急事態宣言が全国に向けて出される状況下で、先行きの不透明感から不安を抱える方や在宅勤務や休校などにストレスを抱える方が一気に増えています。そのストレス解消手段としてアルコールによる酔いを過剰に求める方が増加しているとする報道を多く目にするようになりました。

報道だけではなくSNS上でも懸念をあおるだけの発言や、単に「飲酒は控えたほうがよい」という声、「飲まなければいいだけ」、「自分は依存症者じゃないので意味が分からない」などという発言も目立ちます。

しかし、重要なのは懸念を示したり批判したりするだけではなく「どうすれば依存症に陥ることを防ぐことができるのか」という視点で考えることではないでしょうか。ネガティブな気持ちを抱えてしまうのは仕方がないことですが、いまこそ前向きな気持ちやそれを育む行動を大切にすることが、この危機を乗り越えることにつながるのではないでしょうか。

「飲酒を止めたいが精神的につらい」 4月に入って相談件数が増加

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––当事者の方からこの状況下でアルコール依存の悪化、増加を懸念する声は上がっていますか

ワンネスグループの依存症相談窓口(電話、メール、LINE)に寄せられる相談の内容を見ると、4月に入り「アルコール依存症」についての相談が増加し、相談件数全体の3割を占めるようになりました。これはギャンブルやネットゲームなど他の対象よりも件数が上回っています。

当事者からは

「急に時間ができ、日中からビールを飲む生活が続いている。体調は普通だが依存症にならないか心配」

「もともと酒は好きだったが、自宅待機になってから酒が増えた。止めたいが精神的につらい」

という相談や

「公共施設が閉鎖された影響で依存症当事者ミーティングの開催が中止になり、どうしたら良いのか分からない」

という声も寄せられています。

当事者の家族からも、「コロナを理由に会社を休んで、朝から飲酒をしている家族に嫌気がさしている」という話を聞きます。

また、「相談電話の掛け方」にも変化が生じています。これまでは、当事者を含む家族が不在の日中にじっくりお話しできたのが、この状況下でみんな在宅しているため、家から電話をかけづらい。そのため、車の中から電話をされる方が多くなっています。

休校によりゲーム依存の相談も増加 親がのめり込むケースも

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––インターネットやゲームなどの依存症に関しても、在宅勤務や休校による影響が出ていますか

休校の影響により、「子どもが毎日長時間ゲームにのめり込んでいる」といった親御さんからの相談をほぼ毎日頂きます。

休みで家にいる子どもたちが親のタブレットを触ってトラブルになるケースや、子どもたちと一緒にいる時間が増えることでストレスを抱えた親がゲームにのめり込む、というケースなども相談として寄せられており、インターネットやゲームについては決して子どもたちだけの問題ではないことが見えてきます。

自分以外にも苦しんでいる人がいる オンラインの当事者ミーティングや電話相談活用を

––外に出られない現在の状況下で依存症に陥らない、もしくは悪化しないために本人、そして周囲の人間ができることを教えてください

簡潔にお伝えすると「できない・変わらない」という視点から、「やってみる・変えてみる」という視点に立った行動が大切です。在宅期間が長くなればなるほど行動に制限が掛っているように感じ、ストレスが高じていくと「(在宅では何も)できない・(ストレス状態は)変わらない」という受け止め方になってしまいます。

そのとき、「本当にそうですか?」と問いかけてみてください。何もできないというより、在宅での楽しみ方が分からなかったり、「どうせ試しても変わらない」とあきらめてしまったりしているかもしれません。

そこで、他の人がやっていて効果がある方法を真似てみる、明確な一歩を踏み出してみるということが大切になります。「飲酒量を減らすためにできる10のこと」はそのヒントになると思います。

また、回復に取り組む方々は、「自分だけが苦しいんだと思っていた。自分以外にも苦しんでいる人がいることを知ってホッとした。その瞬間、少し前が見られるようになった」と口を揃えて言います。

ワンネスグループでは電話相談をはじめとして、悩みを抱える方が心の内を打ち明けて頂ける場を用意していますし、YouTubeでも様々な依存症者の経験を配信しています。

【リンク】ワンネスグループ「依存症を知る」チャンネル

オンラインを使った当事者ミーティングを開催する方も見られますし、生きづらさを話し合うネットミーティングも見られます。

ご自身ではなく、ご家族やご友人でアルコールやネットゲームなどにのめり込んでいる方がいらしたら、その行動を咎めたり叱るような声を掛けるのではなく、「なぜ、そこまでアルコール(ネットゲーム)が必要になっているのか」という心の中の辛さに目を向けて頂き、その辛さをケアできる手段を紹介して頂くことが望ましいと思います。

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