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「”見えない忍者”と闘うために検査急増を!」ノーベル賞・本庶佑氏が示したコロナとの戦争論

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 「羽鳥慎一モーニングショー」(4月16日)では前日に厚生労働省クラスター対策班メンバーの西浦博・北海道大学教授が発表した「対策なしなら日本でも死者42万人、接触8割減を」という試算・提言をもとに番組を展開した。

 その中ではノーベル賞受賞者である本庶佑・京都大学特別教授がビデオ通話で生出演したことが、本庶氏が現状をどう見ているかに筆者も注目した。本庶氏は2018年にノーベル生理学医学賞を受賞し、京大「がん免疫総合研究センター」のセンター長に就任した医学研究の第一人者だ。

(羽鳥慎一キャスター)

「試算や提言について、どうお感じになりますか?」

(本庶佑・京都大学特別教授)

「私は数字自身にはあまり意味がないと思う。

だいたいこういう推計というのは経済の予測でも当たった試しがない。

ですかた正確な数字というのはやってみないとわからない。

いま明らかに持ちこたえている状況だというのは正しくてこれが(続くのが)1か月なのか3か月なのかは

まだ全然分かりません」

 そう前置きした上で次のように続けた。

(本庶・京大特別教授)

「ただ重要なことはこれ普通の風邪ならばみんなこんなに慌てない。

インフルエンザなら0.1%ほどの死亡率ですが、

これ(新型コロナ)は世界中で5%くらいの死亡率。

社会的なパニックを抑えるためには

いま求められているのは重症者を死なせない。

治療。ここに大きな力を入れないといけない。

感染対策には限界がありまして

いくら一生懸命やっても絶対ゼロにはなりません。

これは長く、繰り返し、出てきます。

ですから、いかに早く治療体制を強化するか、これにかかっている」

 前日のクラスター対策班・西浦北大教授の記者会見の言葉でも、なかなか危機感を共有しようとしない、政治家やメディア、国民などへの焦燥感が垣間見えた。

 そうした中でテレビ各局の報道番組や情報番組では様々な有名人や権威ある人を登場させて、危機が本格的に迫っている現実を視聴者にも届けようとしている。日本テレビ「news zero」で同じくノーベル賞受賞者の山中伸弥・京都大学教授をたびたび登場させているのもそうした意識の表れだろう。

 テレ朝「モーニングショー」では本庶佑氏を登場させた。

 番組では本庶氏からもらった新型コロナ対策のための緊急提言を紹介した。

本庶氏の緊急提言(1)感染者を検出するPCRを毎日1万人以上に急速に増やす

 PCR検査はきのうまでの1週間で一日平均で4677人。

 一日の最大可能件数が約1万3000件と言われているが、その3分の1程度に止まっている。

 人工1000人あたりの検査数を各国と比べると

 ドイツ16イタリア15.3韓国9.8アメリカ7.6''に比べ、日本1'''だと極端に少ないと番組では示す。

(本庶佑氏)

「PCRというのは検査(の行為)そのものと検体を採る、そして検体を実際に検査をしているラボに運ぶ、というステップがある。

決定的にサンプリングをするところと検体を届けるところ、ここにリミテーション(限界)があって、

反応自身は私たちの研究室でもやろうと思えばいくらでもできるし、動員すれば問題なく可能だ。

だが、体制としてもう少しきちんとしないと、保健所を使ってという(今のやり方)ではこれ以上は増えない。

抜本的に体制を強化する必要がある」

(羽鳥キャスター)

「もう検査数を抑えている状況ではないと?」

(本庶氏)

「ええ。まったくそうです」

 これまで番組内でPCR検査をもっと抜本的に増やすべきだというコメントを続けてきたのがコメンテーターのテレ朝社員・玉川徹だ。

 自宅からリモート出演していた玉川が本庶氏に質問した。

(玉川徹)

「本庶先生にぜひお伺いしたいのですが、

本庶先生が今回あえて『提言』という形で

PCR検査をもっと増やさなければいけない、

毎日1万人以上にしなければいけない理由として

先生はどういうふうに考えて、このように提言されたのですか?

(本庶佑氏)

「感染予防というのは、

ウイルスを撒き散らす側がどこにいるか。それを捕らえないと防御対策ができないわけです。

私はまず、忍者との戦いだけど、忍者がどこにいるか分からないのに防備を固めることはできないわけです。

まずそれをきちんと捕らえる

全体の忍者の数が減ってくれば、ターゲットが見えてくる。

全包囲の戦いはできない。

やはり決まったターゲットに絞るために感染を減らし、そして実態をきちんとマッピングする。

この2つが当面は必要なことだと思います」

(玉川徹)

「ということは先生、実態が見えていないと?

この検査数(日本での一日平均 4677人)では実態を見るには足りないということですか?」

(本庶佑氏)

「簡単に言うとそういうことです。

たぶん私は(実際には、いま分かっている数の)10倍くらいの感染者がいると思います」

(玉川徹)

「なるほど。先生はその10倍くらいの感染者は

PCRの数を増やして、感染者だけは全員とっ捕まえないといけないと

そう考えていらっしゃるということですか?」

(本庶佑氏)

「いや。8割の人は何も症状が出ないわけですから。

ただその人は逆にやっかいで症状が出なくて、

それを撒き散らしているわけですから

そこをきっちりと

行政なり医療側が認識していないと大きな間違いを起こしますからね。

やはり戦争というのは敵を知らないと準備できない。

そういうことを申し上げているわけです」

(玉川徹)

「いまでも『PCR検査を増やすと医療崩壊が起きる』と言って

PCR検査を増やすことに反対だと主張している人もいる。

そういう主張は先生はどう思われますか?」

(本庶佑氏)

「それにはすでに対策は打たれていて、

感染しても症状が非常に軽い、あるいは、無症状の人は別のところに、

正式な病院ではなくても、医師が一応コントロールしている施設、ホテルとか、リゾートとか、場合によっては自宅でも、きちんと管理すればまったく問題ない。

これは各国ですでにやられていることですから。

最初はそこが明確でなかったので

厚労省も少しビビっておられましたけれども

それはもうきちっと(感染の)レベルによって扱いを分けるということにすれば医療崩壊はPCRの増加によって起こることはないと思います」

 玉川徹が何度もこの番組で言い続けてきた主張(=まずPCR検査の数をずっと増やすべきだ)に本庶佑氏が全面的に賛同した言葉だった。  

 PCR検査を増やすことによって医療崩壊は起きる。だからいまは検査を増やす必要がないという主張は間違っていると。

 番組ではPCR検査を増やしていこうと東京都医師会が2 週間後をめどに都内に設置すると発表したPCRセンターの構想について、本庶氏の見解を尋ねた。

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