記事

新興国で生産し、先進国へ輸出するという「成功の方程式」が通用しなくなるとき

下のグラフは国際通貨基金のデータベースから作成した、新興国と先進国のGDP成長率です。

リンク先を見る

新興国と先進国は昔は似たり寄ったりの成長率でした。

ところが今世紀に入ってから新興国の方が先進国より遥かに高い成長率を記録しています。

これは「新興国でモノを作って、先進国へ輸出した方が儲かる」という考えから、グローバルな製造業の拠点が大挙して新興国へシフトしたことも一部関係していると思います。

先進国の成長率はだんだん鈍化しています。

このため先進国からの需要は伸び悩んでいます。

新興国で近年、生産能力が増強された関係で、設備は余り始めています。

過去に先進国の成長率が新興国のそれを上回ったケース(それは赤が青を覆い隠した部分)は二回あり、いずれも新興国の投資ブームの後に経済のアンダー・パフォーマンスが到来しています。

因みにこのグラフには載っていませんが、1970年代は原油をはじめとした商品ブームで新興国の成長率は先進国より高かったです。しかしオイル・ショック後の資源バブルが崩壊した80年代初頭には新興国はアンダー・パフォーマンスしています。

二回目はアジアの投資ブームが起きた1990年代前半の後遺症としての、バーツ危機に端を発するアジア通貨危機の際のアンダー・パフォーマンスです。

これらのスピード調整はいずれも高い投資リターンの確保を目論んだマネーが新興国に飛び込んだ後で、その投資が期待したリターンを生まず、資金が逆流したときに起きています。

現在、中国で起きていることはまさしくこの繰り返しで、企業収益でいえば「景気は良いのに……どうも儲からなくなっている」という状況がここ数年続いてきました。また中国に進出するコストは近年、賃金の上昇などからどんどん上昇しました。それが投資リターンを悪くしているひとつの理由です。

中国は(中国株を別として)まだ一度も大きな資本破壊(capital destruction)を経験していません。資本破壊の一例は不動産価格の下落です。資本主義経済では自然な景気の上下動があるので、その過程で資本破壊が起こるのはごく普通の事です。

今は中国から世界のお金が抜けており、過去にタイランドなどが経験した、長い調整期間を迎えるリスクが高いと思います。

次に世界全体で考えれば、先進国の成長率も下がっているし、新興国も上に書いたようにこれから成長率が下がり、世界全体が冴えない状況になってゆくことが予想されます。

あわせて読みたい

「世界経済」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。